裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

3日

火曜日

スイマーに襲われる

 千葉すずが僕を! 朝5時起き。体調は極めて良好。やはり天候が原因か? 昨日の日記つけたり、雑誌読んだり。7時半、朝食。ローストチキンの切れ端、クロワッサン、カフェオレに梨。実家への薬代の振り込みの金をK子に渡す。

 それから、二週間以上〆切を延ばしていた某誌原稿、やり始める。なんで二週間も延ばしたかというと、体調不良もあったが、最初の依頼のとき、テーマが私向きでないと思い、断ったのを、編集部で“ぜひに”と言ってきて、しぶしぶ引き受けたものであったため。どうも、面白いものが書けそうな気がしないテーマだったのである。それから、資料集めるのも気が乗らず、構成を考えるのもうたてく、ダラダラと延ばし続けているうちに、限度ギリギリにまで引きずってしまった。もうこれ以上は、というところで書き出してみると、案外スイスイと行き、原稿用紙八枚強を一時間かからずに仕上げてしまった。多少、テーマを私風にズラしたものの、出来あがりはなかなか面白いものになっている。なぁんだ、なんで今まで引き伸ばして、こっちも罪悪感を感じ、人にも迷惑をかけていたのか、という感じである。しかし、世の中なんてみんなそんなもんなのであろう。

 鶴岡の友人のライターが、仕事を一挙になくして無収入になったという話(詳しくは田村信のサイトにある彼の日記に書かれるだろう)。聞いてみると、まだ十数万の収入はあるのだが、それは全て事務所の維持費に消えるそうな。気の毒とは思うが、なんで、個人営業で事務所を持つのかな。あれは私も経験があるが、じつに怖い。毎月、かなりの額の金がゴソッと消えてなくなる。仕事があろうとなかろうと、であるところがイヤである。私の場合は芸人さんを何人も管理していたから仕方ないが、個人なら自宅の一部を事務所名義にしてFAX一本引いて、あとは通いのマネージャー(それだってよほど売れてなければいらない)の携帯を連絡先にしておけば、それで足りる話ではないのか? 出仕事のタレントや、自宅で出来るモノカキには、税金対策で持つ以外、事務所というものは実はほとんど役にたたないものなのである。

 資料探し続きでまた六本木に出て、結局空しく帰る。ついでに日産ビル地下の弁当屋で幕の内を買い、明治屋で晩の材料を買う。幕の内は、オニギリ二つ(焼き一ケ、ゆかり一ケ)とシャケ、サワラ、鳥空揚げ、ラッキョウ、山芋千切りの酢の物で、これで八○○円。日産ビル地下はこないだ廃業した店々がまだそのままで、半ゴーストタウン状態。隣から向こうの大規模工事現場を見ていた通行人が、“建設業保護のために町の顔がどんどん無くなっていくんだ”と話していた。

 メシ食って、メール何通か書く。気圧の変動激しく、眩暈がしてきたので中断し、新宿へタクシー飛ばしてサウナ&マッサージ。今日のマッサージは指圧中心のセンセイ(エスパー伊東そっくり)で、気持ちよく、かけられながら眠ってしまう。首から肩が腫れ上がったようになっているのがわかる。英語も日本語もわからぬ東南アジア人の客が、裸でそこらをウロつくので、係が注意するのに往生していた。“ガウン!ガウン! ウェアー!”などと、こっちまでそうなる必要もないのにカタコトになってしまうのがオモシロイ。

 7時、うちのマンションの下に開店したカフェバーで芝崎くんと打ち合わせ。今後のスケジュール調べ。上記のライター失業ばなししていたら、これからライター一本でやっていこうとしている芝崎くん、頭を抱えていた。太田のと学会白書本、まるごと投げられたそうで、データ量の多さに呆れていた。どうまとめていくか、も少々レクチャー。彼には今、私の本だけで三冊、いろいろ動いてもらっている。このカフェバー、喫茶店としてもバーとしても、ちと落ち着けない感じでダメ。内装も、いろいろオシャレにはしているが、以前入っていた税理士事務所の不粋さがまだ、残っている。

 8時、メシ造り。カブと厚揚げの煮物、鶏とカシューナッツの炒めもの、菜飯。ビデオでアメリカABC製作のオカルト検証もの。山奥でサスカッチに会ったというジイさんが、まるきりジム・ヘンソンの映画に出てくる人形ソックリで大笑いする。缶ビール小二本で眠くてたまらなくなり、本日のタイトルのシャレを思いついた後、寝る。やっと、昼のバテ寝から解放された。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa