20日
金曜日
亭主蛋白
では、この試験官にご主人のザーメンを・・・・・・。朝6時に目が覚める。植木不等式氏より恵贈のマーク・ミナシ『いつまでバグを買わされるのか』(植木不等式監訳・ダイヤモンド社)などを読んで、またウトウト。最近、よく日記に夢の話を書くが、それはこういう起床手順なので、このウトウト時に見た夢をよく記憶しているからである。今朝の夢はかなりスペクタクル。夫婦でオバケ屋敷に入るが、そこには本物の殺人者がおり、巨大な十徳ナイフをふりかざして襲ってきて、K子が殺される。私も何故か持っている巨大ナイフで応戦するが、敵は今度は本当のオバケになり、集団で現れ、それらの首がスッポ抜けて襲ってくる。私は、自分の息が突風になることを利用して(なんだ、突然)首を吹き飛ばすが、なにしろ後から後から襲ってくるのでいささかあぐねる。ふと見ると、首が抜けた後の胴体はきれいに整列して、並んで待っている。これをメチャクチャにしてやれば、と気がつき、全部ぶっ倒してやると、首ども果然大混乱で、どこへ帰っていいか判らなくなり、女の体に男の首がくっついたりして大騒動となる。私はそのうちに、マゴマゴしている若い奴から一人々々、窓から突き落としたりして殺していく。
7時半、起床。朝食、私はいつものとおり。煮卵、自家製のを試みてみるが、なかなか味付けはうまくいった。K子にジャガイモとタマネギの繊切り炒め。メールに返事、数通。みやもとさんとのやりとりの中に、“やっぱりね、そうでしょう!”と言いたくなる、胸のすくような一語あり。一日じゅう、気分よく過ごせる。
好美のぼる先生の奥様から電話。光文社文庫の『ホラーマンガの逆襲』をお届けしたことの御礼を述べられる。引っ越しの際に、好美先生が“これは僕の宝物”と言って大事にしていた初期単行本の、段ボール箱に入れてしまっておいたものが三十冊ほど出てきたので、これを唐沢さんにお預けしたい、と言われる。好美先生のお体が悪くなりはじめたころ、奥様が外出先から帰ってくると、先生がそれを庭で焼こうとしていた、というエピソードにちょっと衝撃を受けた。自分の死期を感じて、生きるハリにしていた宝物までをもこの世から消去しようとしていたのか。四、五冊も焼いたところでその箱を取り上げ、押入の奥にしまっておいたのだそうである。
11時、歯医者。左奥の歯の根の治療、今日でフィニュッシュ。劇薬で根に開けた穴を洗うとき、薬品が歯茎を少し焼く。これは仕方ないが、消毒のため熱した鉄器具を、唇に間違って触れられたのはイタかった。帰り、コンビニで昼のおかずにシューマイを買って帰る。原稿書き。2時ころ、週刊アスキーをどうにかアゲて、K子の仕 事場にFAX。シューマイと大根の味噌汁で昼飯。
それからメディアワークス、『キッチュの花園』の前書き、キャプション、連載時の時事ネタ部分書き直しなど、全部で七〜八枚ほど、4時までかかってアゲ。メールする。今日、歯医者やなんだかんだで、風呂(私は風呂は午前中に入るのが習慣)を使えないでいたので、そうだ、じゃあトコヤで髪洗ってもらおう、と思い、新宿まで出る。これまで髪をのばし放題にしていたのだが、何回か切らねばと思い、しかし、自宅で髪洗って髭剃ってしまうと、もう一度トコヤで髪洗ったりするのがモッタイない、とケチなことを考えて、なかなか行けないでいたのだ。なんでこんなところでケチるのか不思議だが、人間心理というのはよくわからない。
髪をやってもらっていると、受付の方で、なにやら電話口でモメている。クレームらしい。先日、客から“男に髪をさわられたくない。女性の理髪師はいるか”と問い合わせがあり、いると答えると、じゃあと予約を入れた。ところが、その当日、女性の理髪師が肺炎で休んでしまい、来た客が、どこか別のところを紹介しろ、と言ったので、近くの、女性の理髪師さんがいる店を紹介し、地図を書いてやったという。そうしたら、そこの店でも女性スタッフはやめたところで、男しかおらず、どうしてくれる、とクレームがついたわけ。最初、店長が一応あやまりに行く、ということで納めたが、すぐまた電話がかかってきて、いまさらあやまりに来てもらっても仕方がない、以後気をつけろ、で済んだ模様。まあ、商売、いろんなことがあるものだとは思うが、その客もまた、どうして女性にしか髪をさわらせたくないのか? そんなに気 にするなら、美容院に行けばいいのでは?
よく研いだカミソリで、一日ぶん伸びたヒゲをジョリジョリ剃ってもらうのはまことに気持ちがいい。これを味わいたくて、朝、自分でヒゲを剃ってしまうとトコヤに行きたくなくなるのかもしれない。帰りに伊勢丹クイーンズシェフで買い物。新宿二丁目を間近に見ながら、そうか、さっきのクレーマーは・・・・・・と気がつく。家に帰ってしばらく資料整理。ネット検索に、こないだからgoogleという検索エンジン使っているが、これがなかなか面白いサイトを捜し出してくれて、つい、読みふけってしまう。8時半、夕食。アサリの酒バタ蒸し、ニミッツステーキ、白身魚(赤カレイ)と紅玉リンゴのマヨネーズ焼き。缶ビール小一本、日本酒二合。