裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

19日

日曜日

エステのジョー

「力石のような過激な減量でなく、エステ感覚で痩身!」

※トツゲキ倶楽部衣装合わせ、稽古

朝7時目を覚ます。
まだ少しゲホゲホあり。
ベッドで『ベルツの日記(下)』。
映画などでは二百三高地が落ちて日露戦争はすぐ終結した
ようにイメージしてしまうが、実際はそれからも長々とロシアの
反撃のニュースが伝わって、日本にいる人々は一喜一憂、
ハラハラしていたようだ。ここらへん、日記でないとそういう実情は
伝わらない。読んでイライラしてきはするが。

9時半朝食。バナナリンゴニンジンジュース、スープ。
天気よし。どこか旅行にでも行きたい気分。
入浴後、ネットをのぞいたら鳩山由紀夫氏のニコニコ生放送での
「日本列島は日本人だけのものじゃないんですから」
という発言で祭りが起こっていた。
「貧乏人は麦を食え」
に並ぶ名キャッチフレーズ(政治家失言部門)である。
しかも“貧乏人は……”の方は池田蔵相の発言意図をマスコミが
故意にねじ曲げて作り上げたものだが、今回のは堂々とご本人の
口から出ているところが。
さすが、フリーメーソンリーであった父・一郎ゆずりの
超国家コスモポリタニズムであるなあ、と感心。

古くはカント、近くはアインシュタインも主張したという
コスモポリタニズムは、インテリゲンチャの宿痾みたいなものである。
人間は勉強をしすぎると、現実というものが見えなくなる生物
なのかもしれない。理想を現実の上に置いてしまうのである。

インテリは学者や評論家になるにはいい。しかし、
政治家には向いていない。三木清は
「コスモポリタニズムは政治への信頼の喪失から生れてゐる」
と『新しいコスモポリタン』(昭和12)の中で言っている。
コスモポリタニズムがいけない、と言っているわけではない。が、
政治に信頼を喪失したものが政治家になってはいけない。
鳩山由紀夫という人は政治がわかっていない。
政治が好きでもないのだと思う。
政治がわかっていれば、こういうコスモポリタニズム的発言を、
この不景気の世の中で発することの愚は承知している筈である。
不景気で、みんなが自身を失っている世の中ではナショナリズムが
台頭する、これは歴史の常識だ。
そして民主主義というのは大衆の気分が政権を選択するシステムだ。
政治がわかっているなら、いま、政権交代政権交代と民主党が
お題目のように唱え続けているその最中に、こういう発言をする
ことがいいことだと判断するはずもない。
国民の大多数の間にたゆたう“空気”が読めないというのは、
政治家として致命的な欠陥と言っていい。
ニコ動での祭りが選挙や政治にどれくらい影響があるかわからないが、
見えるところははっきり見えた事件だったと思う。

昼は弁当、牛肉とピーマンの炒め物。
子供の頃の一番の好物だったおかず。
原稿書き進めていくが、気がつくともう5時過ぎ。
家を出て、急いで新宿に出、シアターミラクル稽古場へ。
第1回衣装合わせ。私はいつもの通りの格好でいいです、と。
中野順二さんと木内なおみさんの夫婦、まるで実写版サザエさん。

新しい台本手渡される。
私の出番、またあるがまだ“カッコいい場面には至っていない”との
こと。その部分読み合わせ駄目出しあって、冒頭からもう一度やる。
私は決してセリフ覚えのいい方ではないのだが、怪獣ものの博士的な
セリフだとすらすら口をついて出るのが我ながら苦笑。

このあいだの部分も、長いセリフ含めまず、問題なし。
あとはギャグの部分の身体の動き。
突如身体の具合が悪くなった演者がいたが、すぐ回復。
ワイワイやっているうちにもう10時半になってしまっていた。

帰宅して、夜食。こないだ作ってなかなかうまくいった
シャシリック、今回は少し長めにタレに漬けてみた。
うむ、漬け過ぎかも。
昼に母にもらったポテトサラダに、黒胡椒とカレー粉をかけて、
酒のアテに。

DVDでビリー・ワイルダーの『シャーロック・ホームズの冒険』
を編集したアーネスト・ウォルターのインタビューを見る。
撮影現場で一番エラソウだったのがワイルダーでなく、脚本の
I.A.L.ダイアモンドだったというのが面白い。

ミクシィのサービス一覧で、トップページの脇に出るニュースの
見出しに制限をかける。コラム類など、読みたくもない内容の
ものが多すぎる。
なんだかんだで2時近くまで起きていてしまった。

*写真はリアル波平&フネの中野、木内コンビと、博士(私)とその助手の
戸川役の北村清治さん。

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