裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

1日

土曜日

役者と古事記は三日やったらやめられない

古事記研究の醍醐味は君、やったものでないとわからんよ。

※『地獄の楽園』昼夜公演

朝8時半起床。
さて、今日から『地獄の楽園』、文字通り地獄のマチソワ
(マチネとソワレの二公演の略、というあまり頭のよくない
演劇用語)二日間である。
かなり演技も体が覚えてきたので、体力と怪我に気をつけて
乗り切ろう。

入浴、朝食代わりに二十世紀梨一個。
なかなか結構。
日記つけ、各種連絡事項。
あっと言う間に時間たち、11時に母の室で昼食、
冷し中華。

http://www.youtube.com/watch?v=pwHqGyobmcM&mode=related&search=
↑このあいだ『特ダネ!』の温故知人で藤岡琢也をやって
いたので。しかし、今みると当時のCMはいいかげんだねえ。
北海ガニ(アブラガニ)と言っているのに画面に出ているのは
毛ガニだし(ラーメンに添えられているのはちゃんと北海ガニ)
そもそも、あんな立派なカニがあるのにインスタントラーメンを
作るか! と、子供時代、われわれの世代はたいていツッコミを
入れたのではあるまいか。

1時、下北沢。
琴重ちゃんの稽古に少しつきあう。
テンポをよくしたら格段によくなった。
ネットで芝居の評判をみると、“さすがこの劇団の役者はみんな
達者で”という意見があったが、その裏にこういう努力がある。
佐藤歩ちゃんもこのあいだ、古文書の長台詞のところを、
まるで言い立てのように楽屋で凄いスピードでやっていて
驚いた。それだけ頭に入れている。
松ちゃんと麻衣夢ちゃんも、中日過ぎても打ち合せ余念がない。
文士劇感覚で参加している自分が申し訳ない。

本日は昼夜共に席が完売。

昼の部から凄い熱気と密度でトバしてみんな演じていた。
マチソワの初日故に力が入っている。
テリー兄さんの“謎の連続殺人鬼講座”は何度楽屋で
聞いても爆笑、さらに麻衣夢ちゃんの
「ソンビは脳天が弱点よ!」
は鉄板で爆笑の渦が。
そんな中で、毎回微妙な線をキープ(変な表現)している
NC赤英のギャグにハマる人間が最も多いのではあるまいか。
ソワレは定番の韓流ドラマつっこみがワケわかんなくなって
テリー佐々木に
「居酒屋でのダベりだよ、それ!」
と突っ込まれていた。

私らのパートもやっと手に入って笑い確実にとる。
こうなると芝居は楽しい。
麻薬みたいなものだなあ。
私の方の業界にいる某氏がやはり劇団にハマって
「収入が三分の一になった」
とウレシソウに話していたが、そうなるともう完全にジャンキー。
理性は保たないと、と逆に用心するほど。

つつがなくマチネ終わり、物販も好調で売っていた
『Bの墓碑銘』、残り三冊。
合間に八木橋くんによる写真撮影、集合写真&各チームの写真。

昼休み時間を利用して渋谷の仕事場に行き、五冊ほど補充分を
持ってくる。下北で、定食屋『千草』の“ニンニク醤油の
揚げ豚定食”を掻き込む。
北沢八幡の祭りばやしが響いていた。

劇場に戻ってソワレ準備。
メイク二回するのは初めてだが、今日のメイクでほぼ完成。
夜の部、さらに充実した舞台。
助川玲くんの富田刑事のところも大ウケ、結構!

客の顔というのはよほど舞台慣れしないとよくわからぬもの
だが、今日のソワレは知り合いの顔も多く、やりながらよく
確認できた。開田さん夫妻のニコニコした顔や最前列
にいたでんたるさん@北海道、さらに元『創』のKさんの
笑顔が張り付いたように固まって笑っている表情などが見えて
楽しい。

ラスト、ロウソクの炎もやっとハラハラせずに使える
ようになる。終っての挨拶時、知り合い多々。
アスペクトK田くん、ラジオライフTくん。Yくん夫妻。
みんな、なぜこのような出来の日に来ないかと思う。
これだったら“いい舞台に出た”と胸をはれる。

Yくんの奥さん、琴重ちゃんの演技のファンになったとの由。
開田あやさんは、この舞台と丸かぶりで行われている
某大規模イベント(と学会関係がこれに食われて今回ほとんど
来られなかった)に出演してきた由で、
「なんでみんな客の笑いもとらないで偉そうに長々しゃべって
いられるのかわからない!」
と怒っていた。エンタテインメントジャンルのイベントとも
思えぬその偉ぶり(SFファンがエリートであるという
根拠のない高慢さ)が、私があの業界から離れた理由。

なんと、『トンデモホラーシリーズ』に出てくれた
(佐々木テリー、乾ちゃん、岡っち、高嶋ひとみちゃんと共演)
天海麗ちゃんがマネージャーと観に来てくれていた。
何か興奮状態で、
「とっても面白かった!」
と言い、
「私も出たーい! 出してー!」
と本気の目で乾ちゃんに言う(連絡確実に出来るよう、
携帯のメルアドまでメモして渡していた)。
鉄は熱いうちに、であるが急いでハッシー呼んで、
マネージャーと挨拶させる。
「次回公演出る?」
「出る出る!」
と。これは(まあ売れっ子なのでスケジュールの問題も
あるだろうが)実現すれば面白いことになりそうな予感。

ダメ出しもほとんどなく、観に来ていたた久保広宣にちょっと
頼みごと。内緒の企画であるが、これほどの役者を使わぬ手はなし。
トウパンが大入り続きで足りなくなったという騒ぎ。
ポカンとしているYくんの奥さんに
「トウパンとは“当日折り込みパンフ”の略です」
と解説する。

でんたるさん一行4人と、TくんK田くん、渡辺克己、
Yくん夫妻と、近くの『雷や』で乾杯。すぐハッシーも
駆けつけ、でんたるさんと札幌ライブのこと話していた。
渡辺さんがハッシーに
「出られなくてくやしかったろ!」
と言われてホントにくやしそうな顔をしていた。
しかし芝居は魔物である、麻薬である、性悪な美女のような
ものである。

もっと飲みたかったが、明日のこともあり、11時半に
解散(ハッシーは渡辺さんとさらにもう一軒いったらしい)。
でんたるさんは代金のほとんどと、帰りのタクシーを
おごってくれた。作家としては甘えたくないところだが
今日は役者モードなので、“ごちそうさまでーす”と
お旦に頭下げて帰り、ミクシィ日記のみアゲて寝る。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa