裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

29日

月曜日

念彼長州力

長州力を念じればプロレス界に維新は必ず起きます。

※帰京 『社会派くんがゆく!』対談

朝7時起床。昨日はエアコンで空気がカラカラだったので、今日はエアコンを止め、バスタブに湯を張って寝た。朝、さすがに寒くて目が覚めた。

朝湯、たっぷりと大浴場で使う。それから朝食。今日は納豆でなく、梅干し、サワラ味噌漬け焼き、高菜炒めなどといった総菜と味噌汁で軽くご飯一杯。味噌汁に生麩が入っているのがさすが金沢。

荷造りし、ビデオ類は宅急便で東京に送る。それから、迎えに来てくれたSさん(メトロン星人さん)と一緒に近江町市場。屋根などが明るくモダンなものに改装されており、古いものファンの私としてはちょっと残念。メトロンさんの懇意のや満当水産で甘エビとカニを見る。カニはいい金沢産のずわいが三杯で25000円という値。社長が
「今日はもうないけど、足とれとかのなら半額になるよ。二〜三日待ってもらえれば入るから」
というので、甘エビのみ持ち帰り、あとは代金預けて入ったとき送ってもらいダンドリに。

近くの喫茶店で少しメトロンさんと雑談。この店、昔、やはり近江町市場の帰りに入って、やたらコーヒーがうまいと驚いた店だったと思うのだが、中が広く改装されていた。ぜいたくかつ身勝手な希望だが、私のあと生きているうちは世間というのは変わって欲しくないのだがなあ。コーヒーの味は変わらずうまし。昨日話した企画で盛り上がる。メトロンさんも心底、こういうお祭りが好きな人だ。

ホテルに戻り、支配人さん、Hさん、Mさんたちに挨拶し、タクシーで送られて空港へ。運転手さんに、地元の森喜朗、奥田敬和の両大物政治家の森奥戦争の話など聞く。

空港でおみやげ物色。母へのおみやげに苦慮する。母はいわゆる珍味系は好きではないし、お菓子もそう食べる方ではない。奇麗で上品でコンパクトで、というのが何かないかと探したら、求肥餅の中に赤や黄色の色をつけ、金箔で紅葉を散らした、一見工芸品かと見まごう『加賀友禅』というお菓子があった。これを求める。

やれ、今回の金沢行き、行くまでいろいろあったが、まず収穫のあった旅行だったと思う。帰りの飛行機もスーパーシートの一番前の席。
また弁当が出るので携帯で撮ろうとしたら、スチュワーデスに携帯使用禁止と制止される。送らないで撮るだけでもダメなの? と訊いたら規則だという。電磁波を出すからだそうだが、しかしモバイルのパソコンが(ワープロ機能限定なら)よくて携帯がダメというのも釈然とせず。

50分のフライトで羽田へ。リムジンバスに乗って新宿まで。羽田〜新宿はだいたい50分の乗車である。書きかけの原稿のアイデアが今朝から固まったところだったのでバスに乗り込んですぐ、書きはじめたのだが、ふと、顔を上げるともう、新宿だったのに仰天した。原稿書いていると時間がたつのが早いこと。

事務所に出る。オノに金沢みやげのきんつばを。それから少し、金沢で知り合った人々のマイミク承認作業など。荷物いろいろあって、事務所がまるで倉庫の様相を呈す。
「事務所だか倉庫だかわからん」
と言うとオノ、すかさず
「倉庫ってことでひとつ!」
と。

4時、時間割にて『社会派くん』対談。それと、特別企画の話ちょっと。今月は事件が山のようにあって、対談時間がいつもの3割増しに
なってしまった。

帰宅し、ちょっと打ち合わせの後、仕事続き。幻冬舎トテカワから催促の電話あるも、いまはちょっと、別の仕事の方モードである。書いていて実に楽しい。書いている途中で自宅に場を移し、導入部のところ完成させて、筆を一応措く。こういうのは、どこかの温泉宿にでも泊まり込んで一気に書き上げるべきものなのだろうな。

10時近くになったが、夜食。買ってきた甘エビを、ぜいたくにも塩ゆでにして、醤油と腐乳でタレをつくり、中華風エビのカクテルにして、ひたすら殻をむき、三人前ぶんの甘エビをむさぼり食う。陶然とする。日本酒(久保田)、かなり進んでしまったがまあ、仕方あるまい。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa