裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

31日

木曜日

可愛い魔女ジニーはボラギノール

殿、切れ痔なのね!

夜中に足がつり、起きたり寝たりで寝不足、やっと明け方に落ち着いて眠って、朝起きたら8時半。急いで入浴、9時の朝食にはまにあう。コーンスープ冷製、スイカ、巨峰数粒。

明日の講演に使う映像データがオノから送られたがムービーにエラーがあるとかで開けず。そしたら講演代理会社から電話で、そっちでもやはり開けないとのこと。オノに連絡とるように指示する。

日記つけ、今日のラジオ収録の用意をする。資料持っていくためには、やはり仕事場に一回寄らないといけない。データの開けない件、ちょっと深刻らしく、オノはそっちの問題解決のため、ラジオ(TBSで12時半から)は遅れるとのこと。

タクシーで事務所まで。資料揃えるが、見つからないもの多し。やはり整理整頓は必要だなあ。あんとか放送できるくらいのものは揃え、そこから大急ぎで赤坂TBSへ。収録は半からだが、その前に小学館『サブラ』の取材を一階の喫茶店で。毛髪について。インタビューはウケる話をどんどんフるのでOK。その場で写真撮られるが、どうも私は正面写真以外は決まらない。

半ピッタリにインタビュー終え、9階第4スタジオ。昼時なのでおにぎり、カツサンドなど出る。もっとも私は弁当をすでに家で使っているのでそんなに食べず。雑談しながら打ち合わせ、最初のお題が“辞書”、それから“チョコ”。打ち合わせしながら辞書をパラパラめくっていたら私も知らなかった雑学ネタがポコポコと出てくる。改めて辞書は偉大だなあ、と。電子辞書ではこうはいかない。もちろん、電子辞書の恩恵は受けるだけ受けている身ではあるが。

ネタもかなり仕込んだ“辞書”より、ほとんどぶっつけの“チョコ”の方が話が広がったり。海保さんのグダグダぶりが今日は特に面白かったり。アルミホイルの話が出たが、花まるの薬丸さんはアルミホイル恐怖症で、しかし料理などを扱う番組でアルミホイルがときおり
使われるので、そういうときは薬丸さんに注意するため、ADが“アルミ出ます”という注意カンペを出すそうだ。

2本、怒濤のイキオイで収録し、3時半ころTBSを辞去(オノは2本目に入るころ来た)。赤坂まで来て何も店に入らず帰るのも珍しい。しかし、ラジオは面白い。ぐだぐだしゃべっているだけのように見える(聞こえる)かも知れないが、仕事でやるグダグダはただのグダグダとはまた違うのである。とはいえ、グダグダしゃべって結構いいオアシがいただけるのだから、気楽な稼業と言われてもこれは仕方あるまい。悪口とかされるのも当然。悪口されるのが嫌というやつらは本当に、されないだけの立派な仕事をしているのか? いや、どんなに自分が一生懸命だって、立場を違えた人間にとってはそれが腹立たしいことだってあるだろう。悪口に対し怒る方が傲慢なのではないか。

仕事場に帰り、今日じゅうに、と談笑本の対談部分に手を入れ、編集部に送る。さらに解説部分のゲラに赤を入れる。最中に地震。それも、普通は最初の立揺れ(P波)のあとに大きな横揺れ(S波)が来るのに、体感できた最初が小さな横揺れ、それからすぐにドンッ、と突き上げるような縦揺れが来た。
「こら、ヤバい!」
と感じるタイプの地震だったが、別段本が崩れたりとか、そういうこともなし。

和の○寅から野菜届く。今日、お礼にチョイ飲みに行こうか、とオノを誘うが、明日が早いこともあり、たぶん一旦飲むとチョイ飲みでは効かなくなるだろうから、と辞退される。じゃ、とネギとかトウモロコシ持ってタントンマッサージに行き、揉み込んでもらう。途中、オチていたようだが記憶にない。

それから東急で買い物し、帰宅。郵便受けにチラシ類ごっそり。チラシ用ごみ箱が設置されており、そこにドサッと捨てるわけだが、どうも資源の無駄という気がして仕方ない。そう言えば、イラク派兵反対チラシを自衛官宿舎の郵便受けに入れて訴えられた坊さんが無罪になったが、政治家が靖国に詣でると政教分離の原則に違反すると騒がれるのに、坊さんが政治活動するのは問題にならないのか?

9時、夕食。アサリむき身とナスの煮物、串カツ。なんの本だったか、先代の金原亭馬の助がテレビ局の食堂で、いつも収録が終ったあと、
「串カツとこれ、二つ(“これ”のところは仕草で)」
と注文し、コップ酒を二杯、目の前に並べるというのを読んで、カッコいいなあ、と思い、さすがに家でコップ二杯は並べないが、串カツのときは日本酒にしている。

二十代半ば、原稿持ち込みでいろんな編集部を回っていたとき、初めて採用してくれたのがマガジンハウス社だった。会社が東銀座にあったので、その帰りにうなぎの竹葉亭の地下で(今はたぶんあんなじゃないだろうが、当時の竹葉亭の地下は土間作りの、大衆食堂みたいな感じのスペースだった)祝いのコップ酒をきゅーっ、とあおった。祝い酒というのは不思議なもので、高級な雰囲気で高級な酒では祝った感じがしない。ウイスキーでなしワインでなし、日本酒、それも手近なコップにとりあえず満々と満たしたものでないといけない。安酒でもなんでも、とにかく祝わないではいられない、というその急場の感覚が大事なのである。いま、私の周囲にいくつかの大きな企画がとりまいて動いている。これらに関して誓い将来、関係者たちと美味い祝い酒をコップでのめるよう、がんばろう。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa