裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

10日

木曜日

しばくテロ

「マホメットさまコケにしよったら、しばいたるぞワレ」

午前3時頃、いきなり咳の発作に襲われる。ゆうべもこの時間帯だった。ゲホゲホ、ゴホゴホと止まらなくなり、往生する。一旦おさまっても横になるとまた出る。起きていると出ないので、しばらくパソなどやって時間をつぶし、5時くらいにまたベッドに入る。風邪の症状そのものより、こういうことでの体力消耗がキツい。

8時、起床。入浴し、ボーッとなっている頭をシャキッとさせる。9時朝食。モモとネクタリン、スープ。メールチェック。仙台〜伊勢原のリレー強行軍になるかと思われた仕事は、伊勢原の方がキャンセルになったのでちょっとホッとする。
10月からの企画のことで、ちょっと変更の可能性が相手側から。日時、形式はまだいいが、スタッフ変更はちょっと困る。その旨、相手先にメールするようオノに指示。あと、某誌書評コーナーに新レギュラーで加わって欲しいという依頼。一ヶ月半から三ヶ月に一回担当。

パンフ原稿書いたAプロから電話、原稿よかったとのこと。ここは金づくというより昔から知っている人(元中野武蔵野館の支配人さん)の顔で頼まれた仕事なので、不義理せず本当にホッとした。

猫三味線DVD、評判はどうかとあちこちサーチしてみるが幸い評判よし。実写部分を邪魔だと言われないか、心配だったのだが、紙芝居ファン、佳声ファンという人のサイトに
「メイクとかどうよ?と思っていたのですが、実際一緒に見てみると、ストーリーの雰囲気に合っていたらしく、あまり違和感がありませんでした。それどころか、ちらりと入る映像で、紙芝居の絵が動いたような感覚があって驚き。(アニメみたいに動くじゃなくて、想像がうまく働く感じ)本編に忠実希望!の私としては、意外にも満足できるものでした。
これは演出が上手いのだと思います。
紙芝居の単調な動きに飽きそうなところに、実写がいい感じのスパイスに。この采配はすごいなぁ…としみじみ」
とあって嬉しくなる。

日記アップし、しばらく横になったら、睡眠不足でグーと寝入ってしまう。目が覚めたらなんと2時半過ぎ。3時から東武ホテルでDVDデラックスのKくんと打ち合わせ予定なのに。あわてて着替えてタクシー飛ばす。15分遅れで東武ホテル。打ち合わせ間に合う。

打ち合わせそのものは15分で終了。出て、昼飯を食いそびれたのでモスで照焼きバーガー一個買って、それですます。伊勢原がキャンセルになった代わり、というのでもないだろうが、熊本での講演依頼が12月に来ていた。生人形展についでに行けないかと思ったが、こっちは10月22日まで。やはりぴんでんさんの結婚披露に博多へ行ったついで、になるか。

原稿、『Memo・男の部屋』5枚。筆がノる、ということもなく逆に進まず苦労する、ということもなく。淡々とプロとしてのお仕事。とはいえ5枚を45分で仕上げたのはなかなか。

mixiニュースで拾ったネタ。
※※
ストリップ劇場経営者を逮捕=売春防止法違反、創業50年−名古屋

売春の場所を提供したとして、愛知県警中署などは9日、売春防止法違反(場所提供業)の疑いで、名古屋市昭和区鶴舞、ストリップ劇場「鶴舞劇場」経営船橋麻衣子容疑者(29)=公然わいせつ罪で起訴=を再逮捕した。

調べでは、船橋容疑者は4月26日ごろ、昭和区鶴舞のストリップ劇場で、踊り子の女性(45)が客の男性(78)に売春する際、8000円で浴室を提供するなどした疑い。

同劇場は家族経営で、今年が創業50周年だった。同署などはこれまでに船橋容疑者の祖母(76)=処分保留=ら7人を公然わいせつ容疑で逮捕していた。 

※※
親子代々経営してきた創立50周年の老舗ストリップ劇場を引き継いで奮闘する一人娘の頑張りを描く……ってNHKの朝の連ドラみたいな話じゃないの。女性経営者が29歳、踊り子が45歳、常連客が78歳という年齢の逆転もいい。主人公:菅野美穂、祖母:吉田日出子、踊り子:石田えり、常連客:長門裕之なんてキャストで、映像化されたのを見てみたい!(あるいは尾瀬あきらあたりでさわやかにマンガ化か)。

昨日の疲れと寝不足で全身カチカチ。よく、疲労の極地のことを“全身、綿の如し”とか言うが、私の場合は“棒の如し”である。今日は6時半からネイキッド・ロフトでバーバラの『企画の鉄人』のゲストでの出演だが、
「店から直行するから」
とオノには伝えてタントンに行く。こないだと同じ若い先生に、
「一昨日の凝り方とは全然違いますね」
と言われる。

揉まれながらいい気持ちで眠るでもなくウトウトしていたらオノから電話。
「もう着きますか?」
と言うのでいま、何時? と訊いたら6時半、と。驚く。あまりの凝り方に先生がたっぷりと時間をオーバーして揉み込んでくれていたのだった。
「早く来ないとバーバラさんが先生の私生活を壇上で暴露すると言ってます」
というので急いでタクシーに乗り、職安通りまで。

バーバラがつないでいたが、何か真面目な話だったようである。私生活バクロとかでも何でも、トークはもっとウケをねらわんと。あとは9月からの文サバの内容紹介、企画を通すということについて、など。堀有機さんなど常連の他は客層に女性が多く、またメモなど取っている人多し。ノドが途中から痛くなりちと苦労する。

終ったあと、私、オノ、バーバラ、斉藤さん、岡田デザインの岡田さん、大内さんたちとメシに。斉藤さんがちょっとショッキングな情報を。グリーン食堂が別の店に変わってしまった、という。

確認もあって行ってみると、韓国うなぎ焼きの店になっている。『クイクイ』という店らしい。内装は最低限の改装だったが、メニューは全くの違うもの。しかも、店の対応も非常に素人っぽい。何か、まだ開店して間も無いといった感じ。

うなぎ焼きというのを頼んで見る。目黒鰻という魚、とメニューにはあったが、小さめのうなぎの皮と骨を取り、ブツ切りにしたもの。焼くと、神経索なのか、うなぎの身の中から、白い半透明なヒモ状のものがニュル、と出てくる。それがしかも火にあぶられてグニョグニョと虫みたいに動く。かなりグロテスクである。こりゃ日本じゃちょっと流行らないな、と思った。味自体はプリプリ、コリコリしていて案外うまいのだが。

それにしても、補身ジョンゴルはじめ大豆鍋やドジョウ汁など韓国料理の精髄を味あわせてくれていたグリーン食堂の消失は私にとっては大きい。探せばこれだけ韓国料理屋のある大久保近辺、またおいしい店が見つかるとは思うのだが……。

いろいろと雑談しながら食べて飲んで。12時半、お開きにしてタクシーで帰宅。ちょっと飲み足りなかったのでハイボール缶を一缶。本日のマイミクさんの日記は前半は『のだめカンタービレ』実写化の件がやたら多く、後半は鈴置洋孝死去の件ばかり。

西手新九郎だが、トイレ読書で今日、読み終えたちくま新書・赤川学『子どもが減って何が悪いか!』のタイトルは、鈴置氏演じるブライト・ノアの
「殴って何が悪いか!」
というセリフが元ネタだそうである。著者は
「いや、たしかに、殴るのは悪いのだが……」
と自分ツッコミも入れている。東京大学大学院出の社会学者がその著書のタイトルをアニメからとる時代になった。私としては最も印象に残る鈴置氏の声は山本正之の『銀河熱風オンセンガー』のセリフなのだが。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa