裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

7日

月曜日

イボ痔は全て穴の中である

シャレとしてはきれいなのだが内容が汚い。

朝5時目を覚まし、ああ、ラジオライフの原稿を書かねばと考えるが体が異常にダルく、また寝る。
6時にまた目を覚まし、今日はNHKの収録もあって一日ツブレるから朝のうちにラジオライフの原稿を書かねばと考えるがノドの痛み、腫れもとれておらず、少しでも休んで収録までに普通の状態に持っていかねばと思い、また寝る。

寝るたびに夢で原稿を書く。内容まできちんと覚えている。ホントに見るものなのだな、こういう夢。夢で半分以上原稿を書き上げて喜んで目を覚ましてガッカリ。

7時起床、いよいよやらねばと思い、使う資料を開いて、さてどう使うか算段。だいたい頭の中でまとまったのでガリガリと書き出す。案外スイスイ進む。

9時朝食。青豆スープ、桃とスイカ。食べてまた原稿、10時40分に11枚、書き上げる。正味執筆時間3時間で11枚、まあ、まずまずといったところか。T田くんにすぐメール。

予定では12時に渋谷のNHK集合、ということでオノからかなり心配したメールが届いていたが、原稿書いてからゆっくりと支度をして、早目の弁当使うくらいの余裕があった。ピーマンと肉炒め。12時集合なのに楽屋に弁当の用意がなかったため、後で思うと食べていてよかった。

ちょっと頭の痛い問題が出来し、その件でメール。要は細かい連絡が行き届いていないということなのだが、間に立つ私が忙しすぎてその任を果たせない、ということもある。

体調もまずまず、と行きたいところだがやはり原稿書き一本済ましてエネルギー使ったが、ちょいバテ気味。微熱も出てきたようだ。早めについたのでロビーでスタッフとオノを待つ。

アマゾンのFさん迎えに来た。一階の薬局でユンケルと葛根湯ドリンクを買って飲む。4階のスタジオに入って、打ち合わせ。『私のこだわり人物伝・円谷英二』、これまでテキストの方をやってきたがいよいよ本編収録である。こんな風邪っぴき状態で別に不安なくスタジオ入り出来るのは台本がもうキチンと出来ているから、であるが、いざ打ち合わせで目を通してみると、やはりかなりこちらの独自構成で話さなければならぬところがかなりある。風邪のボケ頭でそれが出来るか? マー、ナントカナルデアローと度胸を決める。

第一回はゴジラ中心に。題して『ゴジラは日本人である』。ちょっとびくびくもので冒頭のナレーションのテストを。台本そのままをしゃべるのも芸がないと思い、楽屋で思いついた挨拶をしゃべるが、終ったあとFDさんが
「(カメラ)回しておけばよかったですね」
と言ってくれて、緊張がややほぐれた。

それからはサクサク。スタジオに円谷英二の等身大人形がある。この人形が着ている服装が偶然だが、黒シャツに黒ネクタイ、黒帽子という、私と同じ服装。隣の椅子に座って並んだところをオノとFさんが写真に撮っていた。

楽しみは毎回の次回予告。
「次回は“特技監督・円谷英二”が誕生するまでの過程に迫ります。
題して『先生はキング・コング』。お楽しみに」
という口調はまんま、『そのとき歴史が動いた』の松平アナの口調でやる。私はNHKではレギュラーをやったことがない。“次回をお楽しみに”は長年言いたかったセリフであった。
無事に収録終わり、控室に。小腹が減るが、おにぎりとかサンドイッチとかしか無し。風邪は大分軽減。しゃべると治ってくるのか。

で、1時間後ほどで第二回収録。『先生はキング・コング』。円谷英二の青年期にわたることなので、第一回ほど勝手にはしゃべれず。とはいえハリーハウゼンのことなど、ややマニアックにしゃべる。冒頭をセットの関係で最後に録る。円谷英二の発明した“パン棒”、“ホリゾント撮影”、“クレーン撮影”の手法を紹介し、アイデアマンの撮影監督から特撮の神様への道につながるにはある映画が契機となって存在した、という説明。しゃべっていて気持ちいいシーンだが何しろセリフが長い。一回目はラストで少しモヨり、二回目は途中が自分で気にくわず、三回目でやっと自他共に認めるOKが出る。これは気分いい!

収録終わり、ハテうまく行ったのかどうか(予定より30分ほど早く終ったのはうまく行った証拠、とスタッフの方々言ってくれる)よくわからぬまま、ジリジリ暑い夏の午後5時、解放さる。軽くメシ食って行こう、とオノを誘い、駅前の鰻屋『松川』で。

今日の撮影のこと、近々の某企画のこと、それに出すキャストのことなど。キャストの件はちょっと私には頭が痛いこともあり。悩んでいてオノに説教されたり。

ビール、燗酒、焼酎といき、うざく、茶豆、白焼きと頼んで、そろそろうな重で〆かな、というころ、話に出たオノの友人を
「呼んでみましょうか?」
と携帯で呼び出し、7時にハチ公前で、ということにする。彼を連れて『細雪』でも、と思ったが月曜で休み(オノを連れて行こうとすると細雪が休み、ということ、二回くらい繰り返されている)。仕方なく近くのもつ鍋屋で。

某友人(ちょっと理由あって名を伏せる)とは何回も飲んでいるがわざわざ呼び出して飲むのは初めて。真面目な話、ふざけた話、人物月旦、今後のことなど、話はずみ、仕事について、将来についてなど話す。私自身現在いろいろと方向性が決まらないでいた部分で大分サジェスチョンを受けた形となった。非常に嬉しい。

プライベートで名が出た女性もまた私のよく知る子で、驚きながらもそれもまたうれしく、多いに喜んでオノにオジサン呼ばわりされる。いや、若いカップルの誕生に喜べるのはオジサンの特権である。

かなり酔ったのだと思う、2人残してタクシーで新中野。ニヤニヤしながらベッドに潜り込んで寝る。K子は仕事場から2時過ぎに帰ってきた。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa