裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

29日

火曜日

山のミャオーの宮殿にて

小猫の王様が住んでいるんだ(ペール・ギュント談)

早朝何度も眼が覚めるが8時起床時はさわやか。
入浴、服薬、9時朝食。スープ、スイカ、いずれも少量。外は何か暑そうな雰囲気。

日記つける。思いがけず力入る。
『日本のいちばん長い日』DVDの解説書で、平田昭彦が仲代達矢より6つ年上であることを知る。『椿三十郎』では仲代は黒幕の家老の片腕である用人、平田はそれに反抗する若侍のリーダー。年齢が逆転しているので長いことそのイメージでいた。

週末の母校講演に使用するビデオ画像の指定をする。これに案外時間をくう。弁当使う。ナス炒めがお菜。2時に時間割で打ち合わせであるが、1時過ぎに家を出て、早めに渋谷へ着いてしまったのでひとまず事務所へ。初対面の打ち合わせで相手方より先に行っているというのはちょっとスタイルとして恥ずかしいので、少し時間をつぶす。その上で時間割へ。先方、メーカーさんと代理店さん、いま来たところで、ちょうどいいタイミング。

某大手代理店担当氏と、メーカーの製作担当者、営業担当者など総勢5名。“まさかご本人がお1人でこられるとは”と驚かれるので、「いま、マネージャーがひどい格好ですが来ます」
と言っておく。やがて暑い暑いという格好でオノが来る。これで5対2。それでもなお
「ご本人と直接お話が出来るとは」
とか言って恐縮している。

お仕事打ち合わせ。内容については守秘義務のことが出たのでまだ話せず。カタチになるのは来年3月。いま流行りの製品で、ちょっと大きい話である。K子のイラストも使うなら描きおろしで結構ですよ、と言うとまた感激ぽい口調で
「まさか描いていただけるとは」
と。本当に業界大手なのか、シュッパン業界が私らを今まで軽く扱いすぎだったのか、と首をかしげたくなるくらい。私が本格的に忙しくなるのは年明けくらいからであろう。

終って事務所に戻る。状況の変化がいろいろとあるのは喜ばしい。状況に変化がないとつい、現状に甘んじてしまう。週末の札幌講演の予定をいろいろオノと打ち合わせ。母校での講演というのはちょっとテレくさい。去年の学園祭のパンフを資料に送ってきたので見たら、私の在校していた頃の教科担任だったI先生(現国)とM先生(生物)がまだいたことに驚く。二先生とも去年で定年だったらしいが。講演終ったらなじみの古書店さんたちや、でんたるさんたちとススキノで飲み会の予定。

オノと『みやこ旅館』について雑談。楽しかったしセットもよかったが望蜀の思いとして、せっかく上下に別れた舞台装置なのだから、そこの対比をもっといかす(上と下の人の動きがはからずも一致するとか、セリフのやりとりがてれこになるとか)のギャグが欲しかったということで一致。オノは売れない演歌歌手を演じた渡辺シブヲさんを大層気に入ったようす。

それから8時すぎまでずっと談笑本の解説原稿書く。ワンパターンにならず、かつ全体を通して談笑落語の特異点が浮き出てくるような構成に苦労する。収録演題分だけ書き上げて、肩がむちゃくちゃに凝ったので自宅に帰って休む。グーと寝てしまった。起き出してビールと肉野菜炒め、枝豆など食い、DVDザッピング見。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa