30日
日曜日
ジーコ啓発セミナー
個々の選手がそれぞれ自分の持つ最大限の能力を発揮して……(そんなこと言っててチームの戦略をおろそかにするから)。
朝7時45分起床。入浴、おそるおそる体重を脱衣所で量ってみるに68キログラム維持。なんとかこれで本日のエアボード、大丈夫であろう。今日は朝食は自室で、K子に買っておいてもらったサンドイッチとトマトジュース缶で。
某誌に以前原稿を書いたが、実は某流行作家の代原だった。彼がギリギリで落としたので急いで書いてくれと頼まれて書いた文章だったのだが、あるmixi日記で、その原稿に感動した、と書いてくれた人がいた。急場の代原だっただけに、それでも人の心を動かせたかと思うと、やってよかったと思う。
外はピーカンの天気。K子がネットで天気予報のサイトを見て、
「うわあ、今日の名古屋の気温!」
と叫ぶので
「何度?」
と訊いたら
「教えてあげない」
と。その中で、ジェットエンジンで飛ぶエアボードに乗る。焼け死なねばいいが。
9時半、家を出て東京駅へ。『通販生活』編プロの担当の女性2人、カメラマンさんと八重洲中央口改札で待ち合わせるがなかなか巡り合えず。のぞみ車中はバラバラ。どうやら私だけグリーン車のよう。申し訳なし。車内で週刊新潮とウェッジ読む。
1時30分名古屋着。とりあえず昼食を、と名古屋駅構内のきしめん店に行くが長蛇の列、仕方なく地下のみそカツ屋に。“金鯱定食”なるみそカツとエビフリャー(メニュー表記)のつけあわせ定食を食べる。食べながら八谷さんについていろいろ情報を聞く。いいなあ、このオタク度。
途中でゆめすけさん、明木さんからそれぞれ電話。駅の改札で待ち合わせ、会場の名古屋市科学館まで、私と明木先生はゆめすけさんのバンで連れていってもらう。科学館裏の白川公園の噴水そばで準備に余念のない八谷さんに挨拶。すでに皆神龍太郎さんも大阪から到着して取材していた。
もう、快晴もいいところ、日差しは暑く、白い石膏ボードステージの照り返しもあり、実演壇上はフライパンの上にいるような感じ。むき出しのジェットエンジンがキラキラと陽光を反射していた。実験開始まで、われわれは科学館地下の喫茶スペースで待てるが、八谷さんたちは大変だろう。実際、あまりに機械が直射日光で温められて熱くなり、温度表示器の液晶画面が写らなくなったりというトラブルもあったようだ。
やがて一回目の実演(これは見るだけ)。八谷さんとその助手の人は消防服か宇宙服のような厚手の耐火服を着込んでおり、見るだに暑そう。しかもジェットエンジン、音は覚悟していたほどではないが、排気がかなり熱い。ときおりバックの噴水の飛沫が飛んでくるのが心地いいくらい。エンジンをのぞきこんでいる私の写真など撮影。裏側はおそろしく単純な作りであった。
動かすのが三年だか四年ぶりだと言うので乗ってみる八谷氏が何度も落っこちる。見ててダイジョウブカと心配になったが、要はこれは自分で蹴って動かさねばならないからで、乗ったものをスタッフが押してくれてすべっていくだけなら簡単。応募してきた小学生たち、達者なもの。これなら自分にも出来る、と自信をつける。しかし、八谷さんはコスチュームを脱いで、吐きそうな表情。脱水症状と熱中症であろう。ペットボトルの水を頭からかけてもらっていた。聞いたら“この服に殺されるかも”とのこと。要するに怪獣のぬいぐるみ。
われわれは地下でクリームソーダなど飲んで体を冷やして、さて3回目。今度は私と、同じ科学館で1人乗りヘリコプターの展示を担当している女性(坂巻たみ)さんと、それに会場にいる子供たちの有志を乗せる。驚いたことに
「たとえこの実験で事故が起きて怪我をしたり死亡したりしても主催者、実演者を訴えたりしません」
という同意書にサインをすることになっている。カメラマンさん大喜びで、やや緊張した表情でサインするところを写真に撮る。エンジンが一回目はさすがに負荷がたまって煙を噴いたりしていたので、壇上往復はやめて、片道だけになる。それでもやはり緊張。さっき八谷さんに
「唐沢さん、体重どれくらいですか」
「68キロです」
「うーん、どうだろ、そこらがギリギリ限界かな」
などと言われて気になっていた(一応は80キロまで乗れる設計にはなっているらしいが)。ここまで来て重くて浮かびませんでした、では恥をかきに名古屋まで来たようなもんである。
で、実演開始。最初子供たち三人がすべったあと、坂巻さん、最後に私。最初は四つんばいのへっぴり腰だったが、途中からひざつきに形を変える。爆音と共に、すーっ、と体がすべっていく感じ。これは快感。途中で自分の体の重心を変えることで、端っこにぶつからないよう方向を操作することにも成功した。時間にしてほんの4〜5秒のものだったが、何とか成功、面目を保った感じ(写真は八谷さんのサイトから借用)。
その後、坂巻さんの1人乗りヘリの説明などを聞いて、地下の会議室で八谷さんにインタビュー。現在はナウシカの乗っているメーヴェみたいなグライダーにハマっているらしい。その映像も見せてもらう。
「航空力学的に言うと人間(操縦者)がむき出しのまま、というのは非効率的極まりないんだけど、しかし、人が空を飛ぶというコンセプトで一番大事なのはそこ」
ということを熱く語る氏はカッコよかった。
対談のあと、マイミクに誘われる。実は私の日記の愛読者であったらしい。
「あの、ダジャレなのに高度な用語を使っているタイトルにしびれまして」
とのこと。何でもやっておくべきだなあ、と思う。オタクアミーゴス
の頃からのウォッチャーで、
「今年はこれで岡田さんに会い、唐沢さんに会えたので、後は眠田さんに会うことを目標にします」
とうれしそうに言っていた。
そこで『通販生活』スタッフとは別れ、宿へ送ってもらう。栄にあるロイネットホテル名古屋。ゆめすけさんはそこからお店へ、私は明木さんと皆神さんを待たせてチェックイン。なにしろ暑く、八谷さんほどではないにしろ汗になったのでシャワーだけざっと浴びて、ロビーに降りると2人、濃い中国のUFOばなしをしていた。
タクシーで『楽』へ。生ビールで乾杯、実にうまい。ゆめすけさんは
顔を完全に日焼けさせてしまっていた。甘エビ、まぐろのお作り、カニクリームグラタンパイ、そしてマグロの兜焼き、松茸の土瓶蒸しなど豪華も豪華。このメンツなので話題もはずむ。やがて、マイミクのむっじーなさんが奥さんと息子さんを連れて参加。息子さん来年受験だそうで本職が大学教授の明木さんがいろいろおどかすようなことを言っていた。
10時過ぎ、仕事が有るのでそれくらいから参加、というじゅんぺいさんは来ず。大阪に帰る皆神さん、及びむっじーなさんの奥さんと息子さんと別れ、カウンターに席を移し、ゆっくりとゆめすけさんと落語ばなし。先日の談笑の会のことから発展させて、落語論、寄席論。濃い話を誰はばかることなく出来てうれしい一夜であった。次に談之助さんとロフトで会をやるときは、ぜひとも『楽』が休みの月曜に、ということなので、それをさいとうさんに伝えるべくメモ。
12時近く、ホテルまで帰る。明木先生が見送りに来てくれたということはよほど足下が危ないと思われたのだろう。ノドが渇いたので、そのあとすぐ出て、近くのコンビニで買い物する。もっとも、せっかく買った飲み物に口もつけずにベッドにひっくり返って寝てしまう。