裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

19日

水曜日

君たちがいて僕がヰタ・セクスアリス

君たちに性欲を感じたものだよ。

朝、現代美術展に行く夢。ゴム製のひらべったい大きな展示物で、客がその前に立つといきなりガバッと動いてくるみこむ、食虫植物をイメージした作品などがあって楽しかった。

8時起床、入浴等済ませ9時朝食。スイカとスープ。雨しげし。よこなぐりに近い。日記つけたりして午前中はボーッと。極楽とんぼの山本が少女に淫行、というからロリだったのかと思ったら17歳の無職(高校生でもないらしい)だったようだ。セーラー服でも着ていればともかく、今日びの女性の成熟度から言って、そこらで未成年かどうか、などわかりようもないし、学校に行ってないのであれば、すでに(無職といえど)17歳は社会人なのではないか? そもそも刑事事件にもなっていないみたいだし(だから多くの新聞がいまだ“さん”づけ)。

強姦を肯定するわけでは決してないが、しかし正常な性機能を持った30代男性と夜中まで酒を飲んで襲われないと思うのは危機感が不足していると言って過言でなかろう(まして山本は女癖の悪さで有名である。ファンなら当然知っているはず)。生物としての種族保存本能がある限り、男性というのは性欲に逆らえない一面を持つ。これを防ぐには社会的規範による統制を厳しくして個人を教育せねばならず、そうなると今度は個人の人格無視、という声が近代的自我尊重教育を受けた世代から出るのは火を見るよりも明らかなことだ。最近の私は、そこで中庸を行ってまあまあ、なんとか……とするのはもう、無理なのではないか、という気になっているのであるが。

昼の弁当(京都のジャコ山椒煮きとキンピラゴボウ)使い、1時半、渋谷へ。雑用すませ、2時半、タクシーで永田町放送会館。タクシー券の関係上、決まった会社のタクシーしか使えず、拾うのにちょっと苦労した。NHKBSで『週刊お宝テレビ』収録。放送会館での収録は初めて。聞いたら、国会議員の討論番組などを録るためのスタジオであるらしい。

今日のお題は『私の秘密』、司会は第一回のときと同じ高山アナと麻丘めぐみ、ゲストは立松和平。私はコメンテーターではなくアナリストなので、コーナーでちょいとしゃべるのみ。台本がなまじあるとアガるので私、ダメになる。と、いうか、台本があるのなら私でなくてもいいのではないか? と思うのである。まあ、それでも私なりの解釈を加え、“お話はバッチリ”と言われたけど。

さらにゲストで、いまNHKに残っている4本のビデオのうちの一本に出演している人が出演。よくぞまあ、探し出したものだ。いわゆる珍名ネタの人だが、放映当時は地方にテレビのある家が少なく、誰も出たということを信用してくれず、後から番組の収録現場の写真が送られてきて、見せて回ってやっと信用してくれたとか。

雨の中、新中野に送ってもらう。今日は花を贈ってもらったお礼に和の○寅にでも、と思ったら水曜で休みだった。サントクで油揚、ニラ、ロースカツなど買って、つまみをちょこちょこ作って夕食にする。○寅から急にレベルが下がったがまあ、仕方ない。DVDでアーコフ・ホラーの『原子怪獣と裸女』、再見。デビッド・J・スカルをはじめとするカルチュラル・スタディーズ一派はやたらホラーブームと冷戦の状況を結びつけようとするがこういう映画を見るとそれもまあむべなるかな、と思える。目に見えない放射能と共産主義の恐怖というものはもともと結びつけやすいし。しかし、核を落とされた日本が、核時代の恐怖を巨大化する怪獣の破壊カタルシスに昇華しちゃって子供のようにはしゃいでいたのに、落としたアメリカがこういうノイローゼ的な作品を作ってしまうというのは、国民性の差か。結局日本人はヒロシマ・ナガサキという二ヶ所に原水爆のイメージを全部封じ込めてしまって、何も考えないことを選択したんではないか?

あと、『スター・ウォーズ/シスの復讐』のオーディオコメンタリーでルーカスはじめスタッフの解説を聞く(いや、字幕で読む)。
「あれもCG、こっちもCG、この場面ぜぇんぶCG」
という話ばかりで頭クラクラ。たまに
「この溶岩の噴出シーンは実際のエトナ火山の噴火の様子を撮影してきてはめこんだんだ。こういうのはCGではうまく表現できないんでね」
などという話が出てくるとホッとする。それにしたって、時間の問題だろうが。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa