裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

31日

水曜日

千秋楽、打ち上げ〜カラオケの記

朝8時起床。朝食、談四楼師匠のカレーパン、小さめなのを二個。FRIDAYコラム一本書き上げる。

とにもかくにも、週刊誌三本、月刊誌十数本の〆切をクリアして10日間舞台に立ち続けたのはなかなかのこと、と自分で評価しておく。

今日で最後、ホッとはするがやはり一抹の寂しさあり。台風の影響で風、強いが雨はすっかりあがる。楽日が雨というのはスッキリしないのでこれはよかった。

12時15分、小屋入り。楽屋の荷物を少し整理する。特にダメ出しもなく、開場。さすが楽日だけあって立錐の余地もない入り。

アスペクトK田くん、二見Yくん、三才ブックスのT、Sのお二人など来てくれている。他に植木不等式氏、S井氏夫妻、S山氏などと学会関係者多数。客席が濃いからでもあるまいが、受けるうける。

ほぼ全てのギャグにワッ、と反応が来て、これで2時間だと最後はお客がバテないか、と心配になる。

座長のアドリブ冴え渡り、三橋さんが感服していた。私の雑学ネタもまずまず。出来不出来はともかくも、これまでの中で最もパーフェクトに“矢部先生”という人物像は出せたかと思う。

おぐり、久保田の姉弟の実質的主役二人はもとより、みずしなさんの円法の、投げやりな輪廻解説、金沢くんの西山さんの関西ネタ、奈緒美さんののほほんツッコミ系キャラ、島さんの“イェーイ”、林さんの真奈美師匠のキレぶり、川瀬さんのお母さんのグズり、三橋さんの九さんのヘンさ、山本くんの細井のネコだましのときの反応など全てがベスト。

座長嬉しそうに、しかし不満もちらつかせて曰く
「この反応を初日から連続させるのがウチの目標なんだが」
と。いろいろ考えはあるが黙っている。終わっての挨拶、しみじみ。

お客出しでの物販、『雑学授業』は全部ハケ、『名もニュー』は三冊残して完売。改めてこういう場での物販の強さを思う。終えてすぐバラシに入る。

下の劇場での公演の障りにならないよう、撤収時間がタイトなので大急ぎ。おぐりが千草そのままのキャラで指示を出していた。看板女優がこういうことやるのはプロデューサー的には困ったものなのだが、今日は同じ舞台に立ったもの同士という共有感覚で頼もしく思う。

それにつられて私も作業に混じる。最初は釘ひろいくらいだったが、だんだんハリキリモードになって、照明の降ろしまで手伝い、慣れない人に指示したりする(!)。昔とったキネヅカで案外うまいじゃないかと自画自賛するが邪魔だったかもしれない。

8時、魚民で打ち上げ。第一陣でみずしなさん、照明の小糸さん、三橋さんと四人で入り、野球、相撲談義。やがてみんな揃って乾杯。ビールがうまい。稽古に入ったときはやはり気負ったところがあったが、今回は日が進むに連れてリラックスしていった感あり、入りも受けもよく、いい思い出になったと思う。ただ、単なるいい思い出になったのでは何にもならんが。真奈美師匠の林さん中座。

そのあとで座長から、実は林さんのお母さまが公演中に亡くなっていたことを聞き、驚く。そんなそぶりは楽屋でも舞台上でも、かけらも見せなかった。

役者は親の死に目に会えないのが親孝行と言うが、本当に役者としての根性の座ったひとだな、と感服。11時過ぎ解散、15名ほどのメンバーでカラオケへ。

私もつきあい、『新造人間キャシャ−ン』『恋のメキシカン・ロック』『なぜか埼玉』『スカイキッド・ブラック魔王』『ゴマスリ行進曲』など歌う。みんなは5時の始発までいたようだが、私は2時ころ明日もあるので辞去。

最後に、この劇団へのプレゼント・ソングで山本正之の『少年の夢は生きている』を歌っているうちにちょっと自分でジン。自分の人生はひょっとして素晴らしいものなのではないか?と思えてきた。思っただけだけど。

タクシーで帰宅、半身浴しながら鼻歌で『少年の夢は生きている』繰り替し
歌って4時、就寝。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa