6日
土曜日
昨日の酒に祟られた、の記
朝7時半起床。
起床というか、頭クラクラ、肩バリバリ。二日酔いにはかろうじてなってないという状態。ミクシィやる気力もなし。メールチェックしたら、読んだ記憶のないメールがいくつも既読になっている。昨日の晩、あれだけべロ酔いしながら就寝前のメールチェックちゃんとやってるということか。習い性というかなんというか。
チェックしたって覚えていなければどうにもならん。六花からのメールで、マドはゆうべついに路上で寝てしまったとか。
9時朝食、モモ、バナナ、ブロッコリスープ。12時まで寝たり起きたり、どうにか復調にまで持っていく。出勤、タクシーの運転手さん
「さっきそこまで、新宿の病院から85歳のお爺さん乗せたんですけどネ」
と話してくれる。
「一ヶ月入院している間に、自分のうちがどこにあるか忘れたというんですねえ。話もしっかりして、足取りも不安のない人だったんですが、ふつうの壮年の人が十年前に行ったお店の場所を忘れたというような感覚で、一ヶ月前まで住んでいた家の場所を忘れる。歳を取るってことは恐いことですよ」
と。参宮橋で一端下車、道楽でみそラーメン。
「最近どのチャンネル回してもカラサワさん出てるねえ!」
と言われる。そんなに出ていないのだが、そういう印象持たれているのは結構。
そこからまたタクシーで仕事場、今度の運転手、さっきそこでいきなり横道から出てきた車に後ろを引っ掻かれたと言い、“いかに自分がそういう事故にあう巡り合わせか”を嬉々として語る。あまり縁起のいい話ではないのでお客には話さない方がいいのでは。
仕事場で京都のKさんに電話。
今回のおぐりの猫のメイクをやってくれる人(屋外用。アップ用のメイクは開田さんに紹介受けた人に9月以降やってもらいスタジオ撮影)。
おぐりの顔はサイトで見てだいたいのマスク作成プランは立てたというので、猫三味線のお玉の資料を送る。それからおぐりに電話して
「顔のサイズを測って送って」
と頼んでおく。なかなかこういう注文も俳優以外ではされることがない経験だろう。
仕事山積だが今の状態ではトテモやっておられん、とタントンに行き、揉んでもらう。なんとかそれでエンジンかかったかという感じ。
原稿、まずガスエポックやり、それから薔薇族。
計15枚。限界。
鶴岡から電話あったのを幸い、そっちに逃避してしまう。
10時半、帰宅。家で地味にメシ。
もずく、明太子トースト、シャケ、ナスの塩漬け、御飯半膳。食いながら、母の見ていたビデオ『まあだだよ』を見る。正直言って、大金かけて映画にする内容ではないと思うのだが、そこはさすが黒澤で、カットカットはサスペンスフルだったり、上質のユーモアがあったり、重厚な人間性が描かれていたりする。ただ、その緊張感を映画一本の間持続させるパワーが歳をとるとなくなってしまうのだな。最後のパーティで、かつての教え子の孫たちに先生が言う挨拶、
「みんな、自分が本当に好きなことを、見つけて下さい。自分にとって本当に大切なものを、見つけるといい。見つかったら、その大切なもののために努力しなさい。君たちはその時、努力したい何かを持っているはずだから」
という台詞には、ちょっとジンときてしまった。
疲れているときにはこういう言葉への抵抗力がなくなるね。幸い、今の自分は大切なものに不足はしていないはずだ。今の私の努力がその大切なものの価値に見合っているかというと、まだまだ決して……とは思うけれど。
自室に帰りそのまま寝る。仕事する夢を見てうなされる。うなされることもない。