裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

20日

土曜日

もんじゃで歓迎、の記

朝6時半起床。

やっと京バテもとれてきたかという感じ。土曜なので気も楽、というところがある。それでも原稿など、残っているもの多々。午前中は家で日記つけなどダラダラ。12時、仕事場行くついでに参宮箸・道楽でラーメン。ミソノリラーメンが定番だが、店長に
「センセイも(ここでもついに呼び名がセンセイになった)ミソ派になっちゃったね。こういう暑い夏はなぜかミソに転向するお客さんが多いんだよ」
と言われる。

1時仕事場着、FRIDAY四コマネタを書いてK子と編集部へ。ワンフェスのために上京しているカッチーこと勝又つかささんに電話、今夜の食事を誘う。お仲間もどうぞと誘い、最初、幸永でいいかと思い電話したら予約には人数が一名、足りなかった(だんだんここ、生意気になるな)。

せっかく京都から来た人をもてなすのだから普通の食事じゃおもしろくない。大木屋に電話してみたら空いている、というので予約。そしたらカッチーから、みんな遠慮して自分一人になったという。差し向いで大木屋のもんじゃというのはナンなので、急いで開田あやさんに電話、しかし裕治さん出て
「まだ寝てる」
という。じゃあ、と六花マネ、それからブレーンのMさんに電話して、なんとか四人確保。

ふう。

鶴岡から電話、しばらく話す。
例の件、
「そろそろ着地点、決めないとな」という話。
金属疲労的な、無理している部分を保持しながら飛行続けるのは例えどんなにその飛行が快調で、高空を飛んでいても必ず後でガタがくるし、大事故につながりかねない。人付き合いに関して、この歳になって学んだことは
「別れを想定した上でつきあわないと、かならず後くされができる」
ということであった。悲しいが仕方ない。

7時、日暮里駅。カッチー、早めに来ていた。改札でみんなを待ちながら撮影ばなし。ほどなく揃って、猫広場の猫を愛でつつ大木屋へ。大将と快楽亭の話。
「ありゃダメだよ、全然こたえてねえの!」
「いま、また家族と旅行とか行ってんでしょ」
「奥さんも別れて喜んでいるみたいだけど」
などと。いかにも芸人でここらへん、結構。

一般社会の法を超えてこそ芸人であったり役者であったり、私のようなフリーのもの書きであったりする価値があるんである。いきなりの予約だったのでメンチカツや牡蠣はなかったが、カツオたたき、巨大肉、そしてもんじゃだけで、そもそも関西人でもんじゃ初体験というカッチーを驚かせるには充分。肉はいつにも増して柔らかく、彼女も一口食べて
「うまっ!」
と驚いていた。京撮のスタッフルームで、江原さんTさん山田さんなどと
「崑(市川)さん80いくつでまだ元気やなあ」
「黒澤さんも最後まで元気やったし」
「監督ってみんな長生きなんでしょうかね」
「……そう言えば、みんな肉が好きやな、長生きの人は」
「そうね、やっぱり肉やな」
というような話をしたのを思い出す。私も死ぬまで肉は食い続けたい。

もんじゃはもう、ワンアンドオンリーの味という感じ。四人で二人前だったが、もう一人前程度は楽々OKであった。カッチーも満足そうでよかった。それにしても、彼女が二十歳というのはちょっと信じられない。六花もMさんも驚いていた。異様にしっかりしすぎなのである。そして野望もある。野望のある子というのは見ていて気持ちがいい。ただ、彼女の場合、顔にも態度にも野望があることがあまりに見えてしまうのが長所とともに短所でもあるな。もちろん野望は持たないといけないのだが、大成するのはなぜか、
「野望はあるのだがヌケている奴」
なのだ。不思議な話だが。

そこらで明日早いカッチーを返し、私たちは『酔の助』でさらに12時半まで飲み直し。マネージャーとブレーン相手なので、いろいろと急激に立ち位置が変化してきた私の、人的関係などの仕切り直しを早急に、というような話をする。

途中で落語会の流れか、さだやん(立川左談次)と龍志が入ってきた。同人誌の感想など述べられる。

結局麦焼酎一本空けて、終電終わってしまったのでタクシーで。

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