30日
火曜日
持ち込み成功、の記
朝7時起床。選挙の演説カーがうるさい。今日は打ち合わせ予定などがギチギチである。9時朝食。ナシ、バナナ。メールいろいろ。
『雑学授業』贈ったところからお礼メールなど。どこからのものも褒めてくれているのが嬉しい。実際、軽い作りではあるが内容はこれまで出したさまざまな雑学本以上に充実していると思う。
『Memo・男の部屋』から取材依頼。私が取材されるのではなく、取材する方。新橋の『あら皮』。こういう手銭ではとても食えない店にいけるのがライターという職業の有り難さ。
しかし出勤して食べた昼飯は『ペヤング塩焼そば』。時間が詰まっているからである。とはいえ、ガジェット食品としてこの塩焼そばの味はなかなか。
1時どどいつ文庫伊藤氏。ちんちん先生こと菊池さんも来る。ちんちん先生、このあいだ山寺歩きの最中に、やはり昔の神仏に興味がある俳優のTに出会い、いろいろ雑談を交わし、かなまら信仰についてレクチャーした。
T氏は大変にいい人で、ファンでもあったので嬉しかったが、先日ラジオを聞いたら、そのT氏がゲストで、菊池氏が彼に話したことを、あたかも自分が調べたことのように自慢げに話していたのでショックを受けたという。いや、そういうことはよくあるんです、好きな分野でおもしろい学説を聞いたときに、人にはそれを自分の説として話したいという願望があり、さらにその説を述べていたのが在野の無名の人であった場合、著名人には罪悪感がなくなってしまうんです。菊池さんが著名人にならないといけませんよ、それは、と言う。ひとごとではない。
私も『雑学授業』ではネットでの説を無意識に無断で引用したりしている可能性がある。必ずさらにつっこんで調べて、オリジナルに近いところまで持っていってはいるが、自省しないといけないことだろう。
2時、時間割。
三才ブックスS氏。語りおろし(になるか?)書籍の企画。ある分野の人々を徹底的に敵に回すやも、といういささか危ない企画である。が、またしかし、今の私が言っておかなくては、という企画でもある。どういう語り口にするか、頭を悩ますところ。とりあえず叩き台を作ることに。
時間ギリギリになり、そこから即効で東武ホテル。ロビーでバ−バラ・アスカさんと待ち合わせ。本日は彼女と九段のS出版社まで打ち合わせに向かうのである。その前に、内々の打ち合わせ。バーバラさんが作ってきてくれたS出版の資料が役に立つ。彼女の見るところ、この出版者は装丁センスが大変にいいので信用おけるだろうとのこと。なるほど、そういう見方があるか。
最中に携帯で、CXから、BSのクイズ番組にゲスト出演の依頼。内容を聞くがあまりゾッとしないので、マネージャーに通してくださいと言い、そっちで断わってもらうことにする。
タクシーで九段まで。道が混んで15分遅れる。俎橋の交差点から歩いて1分。通された会社の応接室といい、出て応対してくれた編集者U氏の人柄といい。まさに良心的出版社という印象。
ここの社長はかつてダイヤモンド社にいて、その関係で私の『古本マニア雑学ノート』を大変気にいってくれたそうだ。斎藤寅次郎自伝を出してくれているのが私としては嬉しい。
『スーパーマンからバットマンまで科学すると』
なんてものまで出ているのがと学会向けでもある。さて、何を企画としてこちらからプレゼンするか、実はバーバラさんとは全く違った系統の本を企画していたのだが、ほぼその場の思いつき的(と言って悪ければ直感的)判断で別のものに差し換える。
「こういう企画が実はありまして、それに関連したもので……」
と“あたかも10年前から持ち歩いていた企画のごとく”ペラペラと内容を話すと、向こうでも
「ほう、それは凄い。おもしろいですなあ」
と食い付いてきてくれた。バーバラさんも慣れたもので、最初からそれを用意していましたみたいな感じで脇から補足してくれる。
1時間半ほど話し、「社長にこの企画の件を通しますが、まず大丈夫と思います」というところまで持っていった。企画打ち合わせとしては大成功という部類に入るかも。
終わって近くの喫茶店でバーバラさんと今後の話。あと例により“売れるには”ばなし。正直な話、最初に会って話したときにはその“売れたい願望”のあまりのストレートさにちょっと引いたが、慣れてくると大変興味深い。彼女は今回のプロジェクトで、非常に有能なブレーンになってくれると思うが、もうひとつ、このヒトをちょっと逆に売ってみたいな、とも思えてきた。
このひとというより、このひとの理論を、かもやも。6時半、仕事場に戻りFRIDAY原稿ゲラ直し。8時、仕事場を出ようとしたら雨、しかもかなりの。驚く。8時半、下北沢でK子と待ち合わせ。
「『あら皮』取材仕事が来たがキミはその日はフィンランド語だよね」
と言ったら
「休む休む休む!」
と(笑)。
寿司の『福元』。
隣の席に、赤坂見附あたりに事務所のある映画製作事務所の人たちらしい若い男女三人がいた。何か景気いい話をしていてうらやましい。小肌、鯛、縞鯵など握ってもらい、おつまみにタコなど。うまいがどうも上品すぎるような感じ。
店のお姉ちゃんがアイドルなみに可愛かったので許すか。値段が『すし好』のほぼ倍。うーむ、それだけの価値ってあるかな。
バテて早く寝たいので、虎の子のキミコと飲み直すというK子と別れて、自宅に戻りベッドにすぐ潜り込む。バテ直しにはとにかく休息。