裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

12日

金曜日

地下と京都と蟻酒、の記

朝7時起床。
母が小野家の墓参りに行ったので台所からアボカドを持ってきて朝食、それと自室の20世紀。
新聞は御巣鷹山日航機事故から20年、という話題でいっぱい。
20年が長いか短いか、今の私にとって微妙なところ。なんだ、まだその程度かと思ったが、おとつい幻冬舎のトテカワYさんが“トラッシュポップフェスティバル”で感動して、私の本を出したいと思い出版界に入ったという話を書いたことを思い出し、ふと、それって私が“裏モノ日記”つけはじめてからの期間内のことなのだな、と気づいて愕然とした。日記を公開でつけはじめたのが1999年から。トラッシュポップフェスティバルが2001年で今から4年前。たった4年でも、人一人の人生が変わるには充分すぎる時間である。
20年と言えばやはり長い。
10時半、出勤。
車中、蜂巣敦氏から恵贈いただいたちくま文庫『怪奇譚』読む。オモシロイ!
京都までに片付けなくてはならないものに週プレ二回分、週刊現代マンガ評、SFマガジンなどなどが。
SFマガジンが量的に大物だが、これはまあメモっておいたものがあるから大丈夫だんべえと明日のことに。
東急ハンズで京都用の杖を買う。
こないだロケハンした山道が、やはり私の足にはちとつらいので、登山用の携帯杖を用意していくことにした。帰りにタパス・タパスに寄ったが、コミケ帰りらしい、男性三人組が隣だった。
電車男を地で行っているスタイルの奴が一人いた。
まさかコスプレじゃないだろうな。
コピーなど雑用いろいろ、
二見書房Yさんからサイン会決定の報。
有楽町三省堂とはなかなかのところ。日取り決めのためにおぐりゆかとメールやりとり。Yさんにコミケでまくチラシ依頼。また出てタントンで一時間揉まれ。交差点で信号待ちしていたら、
若い男性から
「アミノ酸の原稿書いた方ですよね!」
と声をかけられる。
「日本人が海外でホームシックになるのはアミノ酸がとれなくなるからだって、私も海外よくいくんで、あの原稿に感激しました!」
と握手もとめらる。
あの原稿は確かSFマガジンだったはずだが、さて、あれを読んだのか、テレビの『ごちそうさま』でも話したから、それ聞いたのか(しかし確かに“原稿読んだ”と言っていたが)。
3時、ジァンジァン跡ルノアールでジオサイトプロジェクト打ち合わせ。六花マネと。
8月26日(金)に虎ノ門地下共同溝で行われるジオサイト4でトークをやるのである。
……のつもりが、さらに総合司会と展示企画まで引き受けることになる。
ジオサイト、虎ノ門でのイベントは4年目の今年で実質幕引きとのこと。その回を仕切れるのはある意味、名誉。とはいえ、企画書を見たら
「本人が地下ファンで個人で何度もジオサイトを訪れ、出演を熱望」と書いてある。
開田さんに頼まれただけなんですけど。もっとも、私の出演は国土交通省も喜んでいるとのことである。
ルノアール出て(考えればここも地下っぽい地下)東武ホテルで六花マネと今後の打ち合わせ少し。
向こうの方のテーブルで、いかにもシンガーソングライターという感じの歌手の女性とレコード会社、テレビ局などが打ち合わせしていた。
先に彼女は帰ったが、そのすぐ後にわれわれも出た。で、私は仕事場のマンションに帰ったのだが、さっき打ち合わせしていたその子が郵便受けチェックしていたのに驚いた。芸能マンションなんだなあ。
日本テレビ『世界一〜』から連絡、やっと収録日決定、最もこちらにはありがたい時間で収録の運びに。よかったよかった。堺校長を待たせずにすんだ。
またコピー、電話連絡数件。
6時、東武ホテルロビーにてイマジカSくん、エースデュースK社長と打ち合わせ、新幹線チケットなど受け渡し。
その前に二見Yさん、コミケ撒き用のチラシ持ってきてくれて受け渡し。
Sくんと予算面などの詰め。さすがスタジオ押えなどに関して、妥協しないなという感じ。
京都撮影で興奮しているが、あくまでもこの企画の本体は佳声先生の紙芝居なのだ。そこを取り違えないようにしないと。あと、海外向け企画書のことなど。最中に橋沢さんも到着、顔合わせのみ。
どうせ15日に新幹線で一緒になる。
あ、まだ未定だが広島から講演のオファーも来た。ヒルヨル二回というのがキツいかも。
橋沢さんと幡ヶ谷のチャイナハウス。
開田さん夫妻、野球カード男さん。
あやさんは三味線つまびきのシーンがあるので野球カード男さんに今日、基本を習ったとのこと。話し弾んでいろいろ。
料理、いつもの焼き鳥、黄ニラ炒めの他にウナギの叩き団子と松茸のいためもの、スッポンのいためもの、そしてスッポンの卵の卵焼き。
ウナギ最高、卵焼きが濃厚。
〆はリーメン。
蟻酒を橋沢さんに体験させたら
「これ、一匹浮かんでいたら店に“ちょっと来い”になりますよね!」と。
マスターに、店内に『唐沢先生の雑学授業』ポスター貼ってもらうよう頼み込む。
お客さんに
「数学の先生ですよね!」
と言われるので、
「雑学です〜」
と訂正。
秋山先生や斎藤先生もどこかで「雑学なんか言ってみてください」と言われているのだろうか。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa