裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

18日

水曜日

スキャナスキャナスキャナー、スキャナーを使うとー

 パソにパソにパソにー、図版が映せるー。朝、8時起床。朝食は小イカの丸茹で。酢味噌で丸かじり。それとサクランボ、コーヒー。台風が近づいているらしい。季節で仕方ないとはいえ、憂鬱である。黄連解毒湯、小青龍湯、それと救心。MLで、今回のトンデモ本大賞のレポートをSFマガジンに掲載してもらう件で少しやりとり。

 午前中、翻訳一本アゲ。なかなかのペースである。次になかなかのペースでない河出の原稿、前書きをダッダッと。書き出すと調子でてとまらなくなり、5枚の予定が7枚半となる。談之助さんから電話、『本家立川流』の座談会、今日立川流真打の寄合があるんで、その後にやっちまいませんか、とのこと。了解する。この気圧では、 家にいるより外に出た方が身体にカツが入るであろう。

 昼は野菜炒めでパックのごはん。大根の味噌汁。発酵茶をがぶがぶと。ササキバラゴウさんからこないだ送ってきてくれた東京大会の写真、基礎講座のときの舞台写真なのだが、スポットが当たっているせいか、会場奥から撮った写真では、その光が反射して、壇上の三人(植木、志水、皆神)が白く発光したノッペラボーの姿に写っている。人物だけが白いのはどういうわけのものか。なにやら宇宙人ぽいというか、た だいま転送中というか、そんな風に見えて面白い。

 3時15分、小雨の中、家を出て、銀座線で上野広小路まで行き、メンバーに合流する。志加吾の破門騒動の件を本来は(本人囲んで)やろう、ということだったのだが、本人がそれだけはご勘弁を、ということなので、急遽、談之助、ブラック、談生に加えて落語会の噂大王春風亭勢朝のメンバーで、“昨今落語業界噂の真相”とでも言うような座談会にする。志加吾の方は本人が談大との対談を原稿にオコして載っけ るとか。

 先に来ていたノスケ、快楽亭、勢朝さんと大昌園にて、まだ4時過ぎだというのに真露と焼肉で噂話大会。後に談生さんも加わる。録音準備してさてはじめるが、いやもう、ノッケから勢朝が飛ばす飛ばす。小朝の『六人の会』のことから始まって、志の輔、昇太、馬風、こぶ平、もう話が出る出る。歩く『噂の真相』みたいな男であるな。いかにもみんな落語家だな、と思ったのは、昨日昇輔のところにウチの女房が電話(もちろん別件で)したとき、彼がグズグズと鼻水を啜っていて、K子が“どうしたの?”と訊いたら“イエ、師匠が、死んじゃったんで……”と答えたので、“そんなことで泣くんじゃなーい!”と怒った、という話でみんな爆笑したこと。“師匠が死んで泣く弟子ってのはおかしいよ、それは”“笑うよ、普通”など、もうひどいものである。例え個人的には悲しくても、外に対してはふざけてギャグにしてみせる、 こういうのが“正しい”噺家の世界。

 そこで2時間半、なんとか座談会収録終わり、次は快楽亭の推薦で歩いてすぐの、女子プロレスラーダイナマイト関西の店『関西』へ。K子も電話で呼び出す。さらにここでまた話は続くが、後は世間話、談生の家庭のその後など、あまり外には出せない話。こっちは勢朝、談之助と中野武蔵野ホールの超放禁時代の(懐かしいねえ)話などにウチ興じていたが、K子は談生と、なにやら微妙な件の内輪話を延々としていた。この店はお好み焼き屋なのだが、つまみ、突き出し、卵焼きなど共に大変においしい。カウンターに小上がり三席くらいのせまい店だが、サラリーマンなどで満員になっていた。タビ(巡業)で出会った怪談ばなしなど、みなさすがに話題豊富で、面白いったら。背中あわせの席のサラリーマン三人連れが、ほとんど自分たちでは話さずに、こっちの談之助さんなどの話に聞き耳を立てていた。解散10時半。6時間以 上、業界の濃すぎる噂話を聞き続けて、脳髄がしびれた感じ。

 銀座線で帰宅、メールチェック。IPPANさんから報告。審査も通り、無事に東京大会会場、取れたとのこと。これで2004年6月19日(土)、トンデモ本大賞2004の開催は正式決定。今から予定を空けておくように。百草胃腸薬をのみ、翻訳する原書漫画を読んで寝る。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa