裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

11日

水曜日

割烹・コリオリ

「真っ直ぐ帰ろうとしても、何故かカーブしてこの店に来ちゃうんだ」。朝、7時起床。朝食は貝柱粥とスグキ。いよいよ梅雨入りか、という天候。憂鬱である。メール山ほど。まあ、大会の集計とか、次回会場の確保に関する打ち合わせとか。それにしても、ひとつの大会が終わってまだ数日とたたないのに、もう来年の会場押さえに奔 走しなければならない。コミケみたいなものである。

 朝、母から新アドレスのお知らせがくるのでメール入れる。札幌ではやはり孫が可愛くて口実をつけては顔を見に言っていたそうだ。山本会長からは、大会の壇上でも言っていたが、夏コミ受かりましたの報告。なんと壁際だそうな(と学会自体は角席やお誕生席はあっても、一度も壁際になったことはない)。娘さんがコミケデビューするかどうか、という話題で、大会のトークタイムでは植木さんもその話になり、かなりウケていた。オタク族にとっては、娘が初デートに行くよりも、初コミケ体験の方に“大きくなったものだなあ”という感慨がわくのかもしれない。で、自分のサー クル手伝いから独立して、ブースをとるというのが嫁入りか。

 昼は外に出て、キッチンハチローでランチ。ハンバーグステーキにサーモンクリームコロッケ、それとその脇になぜかおでんの大根とジャガイモがつく。ゆうべのこの店の賄いの残り物か。奇妙な和洋混淆だが、こういう変なものほど、なくなると“個性ある店がなくなったよなあ”となげかれることになる。出来るだけ長くこの店にも続いてもらいたい。コロッケ揚げたてで衣も中身も熱々、上顎の粘膜が火傷してペロ リとはがれた。

 それから東急ハンズで買い物、さらに東急本店地下で晩飯の買い物。今日はK子がポーランド語教室の人たちとクリクリでオフ会(ネットじゃないからオフ会とは言わないか)なので、チョンガー夕食。帰宅したが、やはり揚げ物ランチは今の体調の腹にはこたえ、しばらく横にならないとやってられない。水野悠子『江戸東京娘義太夫の歴史』(法政大学出版会)読む。こないだ中公新書の『知られざる芸能史・娘義太夫』読んで面白かったので、仕事にちょっと使おうと思い、それならとこちらも買ってみた。7500円という大著。重いもので、寝転がって読むと手がくたびれてかな わない。面白いが脳に血が行かず、すぐ眠くなる。

 太田出版Hさんから、来年の大会での太田の立ち位地についてMLに発言あり。われわれのようなシロウトの、しかも余技団体があれだけの大会を、いっちょやってみようかという気になれたのも、太田出版という名のある会社が協力を申し出てくれたというバックがあったから。これについてはいくら感謝しても足りない。一方で、この大会の内容の出版権は太田にあるのだから、もう少し他の部分では太田以外の版元をカマせてくれてもいいのでは、という声もある。道義と利潤との板挟みもあり、い ろいろ頭を悩ませるところである。

 モノマガジンから今日じゅうに原稿(6枚)くださいとの電話。あわてて用意していたネタメモを繰るが、ちょっと早急には使えないものであることが判明、別のネタをどこかから探し出さねばならず、過去のメモフロッピーをいくつかあさる。結局、2年前に書き付けておいたネタを使うが、冒頭で少し書き足した部分がどんどんふくらんでいき、とうとうそこのみで枚数を使い切り、決めたネタは結局未使用のまま、また元のフロッピーに戻ることになった。それにしても、書籍資料がほとんど検索できない状態にすでに書庫がなっている。頭を抱えていたのだが、片瀬(芝崎)くんから、また書庫整理にうかがいましょうと、実にいいタイミングでメール。まことに有 り難い。

 9時、夕食、鶏ガラスープを温めて鴨肉とクレソンをぶち込んだだけの簡便水炊き鍋。それと自家製男体山着け(スルメとニンジンのダシ醤油漬け)。LDでコロンボを見て、黒ビール小カン一本、焼酎梅干入り二杯。10時ころK子帰り、いろいろと話する。K子はコロンボが嫌い。せっかくあれだけ一生懸命な犯人が可哀想だ、とい う。

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