裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

14日

金曜日

三方トワイライト・ゾーン

 大岡食わねえ、たったサーリング(意味不明)。朝7時45分起床。豆サラダでいつもの通り。そろそろ飽きるか? 金沢のS井さんの実家(食器問屋)『丸一』から巨大な荷物届く。K子が食器を注文したのかと思ったら、中には酒、フグの糟漬け、ヌカミソ漬け、タクアンなど。漬け物類はS井さんのお婆ちゃんの手作りの一品。福遠方より来るという感じ。なんと、チョコレートも入っていた。私にとって、これまでで最高齢の女性からいただいたチョコレートである。大感謝。ホワイトデーには何かお返しせねばなるまい。花急便に電話、今日初日の芝居『テレスコープ』に出演の 談之助さんに花を送る。

 午前中は、OTCから頼まれた平成オタク談義のネタ出しをする。これまで不定期放送だったこの番組が6月あたりから年4回の季節レギュラーとなり、時間もこれまでの30分から一気に2時間ワクに拡大するというので、その企画会議用のネタが欲しいということで、いろいろ考える。語り合いたいゲストの顔が浮かんでくるものでなければならず、あれこれと算段。格闘技、007、実相寺昭雄、ピープロ、などな ど。12時半くらいにメール。

 陽射し暖かいので青山まで出て、とんかつ志味津でカツカレー。巨大なる皿から、あふれんばかりのカレーが運ばれてきてギョッとするが、あっさりとした味ですんなりお腹におさまるのが不思議。カツカレーのときのカレーはあまりカレー自体が自己主張しないような、間の抜けたカレーがいいのだが、ここのはまさにそんな感じ。

 食べながら、近所の酒屋で買った週刊文春を読む。わかぎゑふが中島らもの逮捕についてコメントを出しているのが興味深い。らもファンには、彼のアル中は神格化されているようだが、周囲の人にとっては、とてもそんなものではなかったらしい。泥酔して糞尿を垂れ流すたびに劇団の男の子たちが体をきれいに拭いて病院にかつぎ込む。躁病になるとやはり部屋中に糞尿をまきちらかしながら、人の顔先でライターを点火したりする。夜中にいきなり電話してきて“明日、朝日新聞の誰それと大喧嘩するからな、一応言うとこうと思ってな”などとわけのわからぬことを口走り、実の息子からまで“もう、あの人とはやっていけません”と見放される。文春としては、彼のその躁鬱の原因が上記の朝日新聞の誰それにあった、となればよかったのかも知れないが、わかぎによればそれは直木賞の候補に三度もなりながら、三度とも落選したことが大きいという。特に三度目の正直と周囲に期待された『永遠も半ばを過ぎて』が落ちたときには、相当落ち込んでいたらしい。つまりは文藝春秋にそもそもの原因があった、ということで、文春としては藪蛇なインタビューだったかも。

 紀ノ国屋で買い物して帰宅。アスペクトのコラム原稿を必死でやる。途中で旅行などに行ってしまって肩身が狭いが、まだ村崎さんがあとがき原稿を書いていないのが救い(変な救いだが)である。全11本のうち、6本送ってヘバる。悪意のこもった 原稿を書くのは本当に疲れる。

 8時半、夕食の準備。カブをおろしてみぞれ鍋にし、葉っぱは炒めて炊き立てのアヤメ米に混ぜて菜飯にする。それを金沢から到来の漬け物で。これがじつにうまい。食がすすみすぎる。漬かりすぎたら、細かく切って水で洗い、生姜のみじん切りと合わせてかくやにしてもおいしいだろう。フグ糟漬けは酒のつまみに最高。塩辛さを和らげるため、クリームチーズと一緒に食べると、これもまた、なかなか。

 DVDで『サインはV』。いよいよジュン・サンダースの骨肉腫は、吐き気を伴うまでになった。……吐き気が出てくるとまずいのか? 医者の役で糸博。『天空の城ラピュタ』の親方、『ポケットモンスター』のアルジー、『とっとこハム太郎』のロコちゃんのお爺さんなど、老練な演技を見せる声優だが、この頃は若い若い。酒から焼酎(メローコヅル)に変え、三杯。気持ちよく酔った。

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