裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

23日

火曜日

テクノ歩くの死んじゃうの

 あなたならどうする。朝7時起き。朝食、サーモンサンド、スイカ。今朝も寒し。新聞にマルセ太郎死去の報。以前、ジァンジァンの楽屋を訪ねたことがある。猛禽のような鋭い目つきが無茶苦茶印象的だった。ただ、猛禽類は猛禽類でも、ハヤブサやワシではなく、モズのそれのような感じは、した。額や手のあたりの皮膚が白なまずのように脱色しているのがちょっと気味悪かったが、死因は肝臓ガンだとのことで、あれは抗ガン剤の副作用だったのだろうか。性格も容貌も芸人にはまったく適していない人だったが、ジァンジァンの舞台の、あの暗い空間に独りで立っている姿が、こ れほど似合う人もちょっといなかった。日記つけ、K子に弁当。

 イーストプレス『フーゾク魂』原稿、書く。字数の計算を二度ほどあやまって、書き直す。今回から枚数がちょっと増えて八枚となる。書く内容に不自由はないが、お笑いでとおすには少し多すぎるし、まじめに論じる場ではなし、調子をどのレベルに設定するか、少し迷う。書き上げて、Gくんにメール。図版用のブツを取りに来てもらう。

 昼はカレーライス。レトルトのホタテカレーというのをかき込む。電話数本。去年暮れにあった週刊P誌の連載ばなし、前の睦月さんの連載と内容がカブるので、取りあえず棚上げとなる。ただ、編集のNさんがまだこの企画に未練あり、来週一度メシ食いながら打ち合わせということにする。ダメになったから言うわけではないが、ちとこの企画、このまんまの形で実現するのが恐かった(いろいろと周囲にサシサワリのある内容になるはずであった)ので、形を変えて持っていきたいと思う。

 続いて海拓舎、といきたいところだが『Memo・男の部屋』の原稿十枚。これもなかなかスタイルが決まらず、書いちゃ直し書いちゃ直し。6時までかかる。その次が週刊ポストの映画評原稿。担当のKさんと電話で今後の打ち合わせ。『創』の新連載も、企画のみ書き出しておかねばならず。

 肩がキンキンに凝り、そのせいで胸が苦しくなる。心臓ではないと思うが、一時呼吸までが苦しくなったので、用心に救心のドリンクを飲む。ストレスだろう。少し休んで、やっと海拓舎にかかる。なまじ昨晩送った部分、絶賛の評価が担当のFくんからメールあったので、リキ抜けず。バブル時代の文献を資料として山ほど読んで、何かアタマが少しクラクラしてくる。海外からやってきた人たちが21世紀の日本の状態を絶賛している文章など、今読み返すと恥ずかしくなるほどである。あの頃の日本は、まさに夜郎自大といった感じであった。

 9時までやってまだ残っているが、今日は限界。新宿新田裏のすがわらでK子と食事。にぎりは白身、甘エビ、アナゴくらいで、後はイワシとイカのお造り、マグロのブツ、筋の部分の網焼きなど。黒ビール一本、日本酒二合。

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