20日
土曜日
スキゾこそものの上手なれ
タイトルに意味はない。朝7時起き。寝床の中で、今日の原稿の資料を読み、どう書くかのアタリをつける。朝食、カキフライサンド。食べてさっそくG4の前に向かい、原稿にかかる。まず週刊アスキー。資料がうまく生かせた。
こないだ、古書目録で、昭和初期の『薬局月報』というのの十数册揃いを、別に何 の宛もなく買ったが、これがなかなかアタリで、面白い。当時の日本の薬事のレベルを知ることもできるし、読み物がバラエティに富んでいる。ちょっと猟奇的なオモムキの読み物もある。インドの話で、ある富豪の家に強盗団が押し入ったが、いち早く警官隊に知らせがいき、彼らはあわてて塀にあいた穴から逃げ出した。最後の一人が逃げようとして、上半身を外に出したとき、家の召使たちが、逃がさじとかの賊の足をつかんで、中に引き戻そうとする。外からも賊の仲間たちが上半身をつかんで、外へ引っ張り出そうとして、人間の綱引きのような状態になった。やがて警官隊が駆けつけてきて、彼らも召使たちに手を貸し、力を込めてエンヤと引っ張ると、急に抵抗がなくなり、スポンと賊の体は塀の中に引き戻されたが、そのはずみで引っ張った者たちはドスンと尻餅をついた。そして、その賊の顔を改めようと覗き込んで、みんな一斉にアッと声をあげた。首がスッパリと切り取られている。賊たちは、仲間の口から自分たちに足がつかないように、彼の首を切り取って持っていったのであった、という記事。
昼は原稿書きで忙しく、またスパゲッティを茹でて簡便イタリア料理。AIWから送られた肉をちょっと用いる。今日は下町古書会なのだが、雑用多くていかれず。電話数本。Web現代Iくん、送った原稿のナオシに関する打ち合わせ。それからイーストプレスの新編集Gくんから、リニューアル誌面の新文字数のこと。新人なのと、容貌から心配していたのだが、電話での応対も、その後で来たメールの書き方も、堂に入ったもので、見直した。人は外見じゃわからぬ。イーストと言えば前編集のKく ん、青林堂に入社したとか。私の周囲から離れぬ運命と見える。
4時、芝崎くん来る。例の日記本についての件で、私のこの日記のファイルが欲しいというので、コピーして渡す。なにしろ量が膨大なので、重すぎてファイルが壊れて開けなくなっているものがいくつかあるのを発見。ちょっと恐くなる。芝崎くんが教えてくれたエピソードで、電子記録は二十年持たないと言われている問題について技術者会議が開かれたのだが、いい対処法が見つからず、ある研究者が“結局、原始人みたいに石に彫りつけておくのが一番確実ってことか”と冗談に言ったら、その席にいた専門家たち誰も笑わず、大きくうなづいたという。
芝崎くんに、ライターで食っていくには、という話少し。やや自慢ばなしに傾き、後口悪し。彼が帰るころには、外に降り出した雪がヒヒたるものとなる。今夜はすがわらで寿司でも、と思っていたのだが、これでは帰れなくなる可能性もあるので、夜の仕事は中止してK子に電話し、うちで夕食ということにする。急いで買い物に出て、材料買い込む。ポトフ風西洋鍋と、銀ダラの蒸籠御飯。ビデオでマグマ大使、カニックスの回。新宿西口のセットがかなりリキ入った作りであり、自衛隊の攻撃のシーンではヘリなども周りに飛び交わしていて、人気番組で予算が増えたのだなあ、と感慨にふける。家で飲むと、帰りを心配しなくていいので少し過ごしすぎるのが難点。