裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

2日

火曜日

踊るYahoo!に踊らぬ Yahoo!

 同じYahoo!ならせらなきゃソンソン。朝7時半、起き。8時に朝食の約束なので、あわてて用意し、なをき夫婦(ドアの外で待っていた)と朝食。今日は通り沿いに面したレストランの方で朝食。メニューはたいして変わらないが、なんとなくこちらの方がモノがいいような気がする。ハムとソーセージ、豆パン、なぜか温泉卵、ライチとブドウ。なをき夫婦、去年はジンギスカンが食えなかったというので、今日の夕方(彼らは今夜帰京)、一緒に行くことにして、K子に予約を頼む。

 タクシー相乗りで実家へ。昨日とはうって変わった好天気。ゆうべの残りのカニサラダと雑煮で酒。こういう環境で仕事は出来ない、と長年の経験でわかっているので(『美少女の逆襲』書いていたとき、段ボール箱一杯に資料を詰め込んで送って、一冊も読まずにまた送り返したことがあった)仕事は持ってきていないが、仕事どころか日記も書く気にならない。二階で本を読みながら、ゴロ寝。読書用の本も持って来てないので、21世紀の読み初めはおふくろの書架にあった塩野七生の『ローマ人の物語』にする。二巻の『ハンニバル戦記』から読み出したが、これが巻置くあたわざる面白さ。ハンニバルとスキピオの攻防に、文字通り手に汗を握る。裏者らしくない読書だが、こういう風に純粋に読書の快楽に淫することが出来るのも、仕事から切り放されている正月の実家という環境だからだろう。

 ボイラー室に、これまで中学・高校時代買い溜めたマンガの本を収納していたが、ここを改装するということなので、なをきと二人、本を整理する。これまでに貴重なものはほとんど二人のどちらかが東京へ持っていってしまったが、それでも、望月三起也の初期単行本など、珍しいものがいくつもある。ボイラーのススで手が真っ黒になり、うがいをすると真っ黒なタンが出る。K子は所得申告の計算。私の2000年度の収入は昨年よりトホホの一○○万円増しにとどまる。連載に時間を食って単行本刊行の遅れたのが何冊かあるため。もっとも、連載増加でK子の収入がある程度安定しているので、夫婦コンビだとちょっとした高額所得者。なをきと、克・亜樹の『ふたりエッチ』が八○○万部超えた話などをして、ちょっと天を仰ぐ。

 実家にあるパソコンはソフトがすでに古くて、ホームページなどもちゃんとは見られない。帰省中はパソコン通信のフォーラムやパティオのみ。官能倶楽部、裏モノ裏パティオ等に新年の挨拶。裏々で某掲示板の青臭い書き込みににみんながケッ、と嘲笑い初め。睦月さんは今日が誕生日。おお、立川談志と同じ日でありますか。TVでは『宮本武蔵』。『バガボンド』人気で正月ドラマスペシャルにしたものだろう。主演の上川隆也という役者、まるで顔を知らない。お杉婆あを吉田日出子がやっているのに驚いた。

 5時半、タクシー呼んで四人、サッポロビール園へ。なんだかんだとしゃべり散らしながら、羊とビールでいい気分になる。最近は生ラムが流行りだが、私と弟はやはり子供の頃から食べ慣れている、冷凍の圧搾ラム肉の方が好み。何より肉にいかにも羊らしい臭みがある。本家モンゴルでは臭い羊肉にさらに臭い香草を添えて食べるという。草原の民の知恵だろう。臭みを消すためにはさらに臭いものと合わせる。文章のコツも案外このへんにあるのではないか。臭みを消そうとして個性まで消してしまう若い文章書きのなんぞ多き。三人前に冷凍肉をさらに一枚追加。なをきがオゴってくれた。

 まだ7時ちょいと過ぎ、という時間なので、ホテルに戻り、一階のバーに行く。英国調を追及した渋い内装のバーにもお鏡が飾ってあるのが笑える。K子はワイン、私はアイリッシュ・ウィスキー。芳醇たる香りと野趣を残した風味が好きである。二ハイ飲み、部屋で『ハンニバル戦記』読みながら寝る。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa