13日
日曜日
サセ子バーガー
「ああ、私のふっくらしたバンズであなたのパテをはさみこませて!」
※同人誌原稿 劇団芸協観劇 ルナ稽古
血圧降下剤の副作用で(と、決めつけてみる)
朝がだらだら。目が覚めたりまた寝たり。
6時頃にウトウト状態で見た夢。
本の朗読で、その朗読者の手元がアップで。
ページをめくると、そのセリフのところにキャラクター
の姿が立体映像で浮かぶ。長谷川町子のキャラクターである。
最初はあたりさわりのない話が、転換部でストーリィがちょっと
大人向きというかエロになる。そこの転換部を受け持つキャラ
(『エプロンおばさん』のクスノキさん)が、他のキャラに
「あんた、そんなエロ話を子供に聞かせていいのか」
と談判される。
後半、岸本加世子が男装して出てきて、この朗読のテーマソングを
歌う。ハッピーOK、オールOK、OKOK、オールOK……
という歌詞。戦後歌謡にありそうだな。
10時結局起床。
日記つけたりメール連絡したりの雑用多々。朝食はカットフルーツと
調整豆乳。
同人誌原稿後書き。つい力入ってアツくなる。
予定入れたりキャンセルしたり、それが二転三転したり、
やれめまぐるしい。公演前にヘアカットにもいかねば。
ヘアカットのS先生が今年一杯で出産休暇に入るので
年内にお祝い持っていかねばならぬ。
11時45分に早めてもらって昼食。
牛肉の焼肉風炒めでご飯。
懐しい味。
食べ終ってすぐ外出、中央線で三鷹まで。
武蔵野芸能劇場で青野武さんからご招待いただいた
劇団芸協公演『泪橋 置き忘れた荷物』(宇野信夫作)。
入り口で青野さんにご挨拶。
宇野信夫の一幕劇2本の上演。
『泪橋』は戦後まもなくの下町を舞台に、粗暴な大工亀吉と、
献身的に彼に尽くす女房のおりん、彼女に秘かに想いをよせる
大工仲間の銀助の心情を描いたもの。胃病で自分の命が長くないと
予感している亀吉は、その不安といらつきを、女房に暴力をふるう
ことでなだめている。おりんは亀吉が自分に暴力をふるう理由も
承知し、じっと堪えてはいるが、かばってくれる銀助の好意も
嬉しく感じている。そんな銀助の想いを見てとった亀吉は、
三百五十円(半日分の手間賃)払えば、おりんと二人で晩飯を
食わしてやる、自分は映画にでも行っている、と持ちかける。
銀助は奮発して牛肉を買ってきて、おりんと二人で牛鍋をつつくが、
何故か亀吉はなんだかんだと理屈をつけて、家から出ようとしない……。
いかにも宇野信夫の好みそうな、人情噺の世界。
死の不安、自分が死んだ後、恋女房が他人のものになるという
焦燥にかられ自暴自棄になる大工・亀吉の葛藤と、ラストの
感情のほとばしりがなかなかのものだが、やはり一幕劇というのは
プッツリと感情の流れが断ち切られてしまうようなところがあり、
ちょっと物足りず。亀吉役の永田一朗氏好演、銀助役の石田直也氏、
インテリ下宿人役の渡辺信明氏適役。ただ、永田氏の顔が、職人刈り
にしているせいもあるが、昨日追悼上映会に行ったばかりの
角ちゃんそっくりで、女性の扱いがヘタだった(五味伸一氏談)
角ちゃんがダブって仕方なかった。
もう1本の『置き忘れた荷物』はもうちょっと時代が下った昭和30
年代。神田の老舗甘納豆屋の主人・彦太郎は、仕事一筋に生きて
きた堅物だったが、息子に店を譲ったとたん、近くの喫茶店の女給・
マリに惚れ込んでしまい、店の金を使い込んで息子にばれ、世間体も
悪いと荻窪のアパートに蟄居させられてしまうが、嫁が毎月こっそり
差し入れてくれる小遣いをそっくりマリに渡し、将来は二人でお店を
持とう、などと話しあっている。一方、アパートの隣の住人である
老婆・加津は、息子の嫁のヒステリーで家を追い出され、この
アパートで一人暮らしをしているが、嫁は毎日のようにやってきて
は、加津が自分に家を追い出されたと言いふらしている、
と義母を責めている。彦太郎は人事ながら加津の立場に同情するが、
加津はひっそりと堪えている。どうも、嫁は病気を持っているらしく、
その不調のいらつきを、義母を責めることではらしているらしい。
お互いの家の息子たちは、そんな父、そんな母を心配しながら
様子を見ている。やがて、彦太郎はマリに男がいたことにショックを
受け、酔って転んで腕を骨折。息子夫婦はそれを気に、彦太郎を
家に戻すことにする。加津は、東京にいては嫁のヒステリーが
おさまらないから、と息子に説得され、新潟に引込むことになる。
お互いアパートを去る日になり、二人は……という話。
この彦太郎役のお爺さんが達者でいい役者だな、と思ったら
『デビルマン』の不動明、田中亮一さんだったのに仰天した。
聞いているうちに、ああ、確かにこれは『トムとジェリー』の
ブッチの声だ、と納得いったけれど。
青野さんはアパートの管理人役で、カメオ出演。
こういう正当すぎるほど正当な演劇に身を挺している人たちを
見ると私のようなユルユルのコメディばかりやっている劇団に
関わっている人間が恥ずかしくもなるが、しかし現代における
演劇というものの存在は……とか考えるとコムヅカシクなるので
やめる。しかし、2本とも、“体の不調を暴力でまぎらわす”という
設定が出てきたのは、意図的なんだろうか?
パンフに青野さんが、『役者一筋』というエッセイを書いておられた。
今回で十九回だそうだが、ちょうど『宇宙戦艦ヤマト 復活編』
公開時期で、その吹替えのことなどが語られている。
最初、オーディションに行ったときは別の役だったのが、
終って帰ろうとしたら西崎Pに
「キミ、こっちも読んでみたまえ」
と言われて読んだのが真田役で、結局、そっちに決まったという。
本来受けた役はもう覚えてないとあったが、さて何だったか。
古代守であったか?
見終わって挨拶、中野に戻り、家で台本読み。
5時半、出かける前に、昨日の豆油肉(タアユバア)の残りを
温め、ご飯にぶっかけてかきこむ。美味、美味。
稽古場、やはりまだみんなセリフウロ、ただし役はかなり体に
入ってきていて、休息時の鳥越夕幾子ちゃんと藤田由美子ちゃん
のやりとりなど舞台の上の如し。夕幾子ちゃんと一哉のイキも
ぴったりあってきた。今日は主に、セリフや状況等をスッキリ
させるためのカットを中心にやる。覚えたセリフをカットされる
のは残念だが、
「あ、これで楽になった」
と思うところもあり。
毎日新聞さんの取材が稽古場に入る。いろいろと写真を撮って
くれる。終ったあと、板そば居酒屋『蔵の木』にて飲み兼取材。
毎日新聞S記者、ハッシー、鳥越ちゃん、由美子ちゃん、
一哉、シヴヲ、琴ちゃん。“先が見えてきた”という解放感
からか、蕎麦もうまく、盛り上がること。鳥越ちゃんも
風邪回復してアルコール解禁。梅酒をおかわりしていた。
Sさん、去年まで山形支局にいたというので、朝日新聞の
私の担当も山形でした、と言ったら
「Nさんですか」
と、知っていた。ユニークな人でしたねえ、と。
三々五々、終電で帰宅するが最後の最後までSさんと私と
ハッシー、残って演劇論、劇団論。私も酔ったときの特長の
おだて上戸になって、ハッシーを褒めまくってしまった。
ええい、来年は9月は演出だけで(以下略)。
タクシー乗りあい帰宅、最後に残ったSさんと、モノカキと
舞台の関連の話。家にたどりつき、
顔洗って、ベッドにもぐり込んだのが1時半。