8日
火曜日
文学部伊藤文学科
薔薇族文学を体系的に理解します。あ、体系的は“カラダ系的”でヨロシク。
※T社原稿 『イングロリアス・バスターズ』観劇
朝10時近くまでフトンの中。
稽古のない日の、夜まで時間を使える怠惰を楽しむ。
とはいえ、セリフも覚えないとならず、連絡事項(スケジュール
調整)も多々あり。〆切りも連続で、さまで(然迄とちゃんと
ワープロに入っていた)のんびりとも出来ず。
朝食は豆乳飲んだのみ。
連絡仕事しながらDVDで劇団ノーコンタクツの『怪盗ルパン・
コリアスタロの秘密を奪え!』を見る。
劇場で見たときとはまったく印象が異って見えてくる。
やはり声が気になるが客演の前田綾香さん、いいねえ。
12時、昼食。
中華風鶏そば。わが家でラーメンというとこれである。
あっさり味で非常に美味。
それと果物(長野のヒコク氏から送られたリンゴと、甲州葡萄)。
T社原稿。
今日が〆切と思ってだだだと書いて送って、送ってから確認
したら9日だった。まあ、早めに送るのが悪いわけではないが、
そしたらもう少しネタを凝れた、という気もしないではない。
400字詰め11枚、3時間半で。
次の原稿にかかるが、気圧のせいか体調がおかしくなり、
ぴたりと筆がとまる。こういう時は気分を変えようと
新宿に出て、改装後のピカデリーに初めて足を踏み入れて
タランティーノの『イングロリアス・バスターズ』を観る。
いかにもタランティーノらしいケレン味に満ちた映画で
戦争映画の形式をなぞりながら全然戦争映画などでない、
“テンション映画”。極度の緊張をもたらすシチュエーションと、
その緊張からのヤケッパチな開放(というかエグゾースト)の
繰り返しで映画が進行し、その緊張と開放がクレッシェンドで
拡大していき、最後の一大エグゾーストで映画の結構から歴史上
の事実まで全てをブチ壊して終る。
サスガというかイクラナンデモというか、呆気にとられて
しまったことであった。うーん。
しかしこの映画の功績はそれまで地味な脇役俳優であった
オーストリア出身のクリストフ・ヴァルツという役者を見つけてきた
ことであって、『将軍たちの夜』のピーター・オトゥール以来の
ユニークなナチ将校を演じて、その印象の強烈なことといったらない。
語学と論理の天才で、子供がパズルを解くようにユダヤ人を追いつめて
いき、その自分のアタマのよさへの誇りが国家への忠誠心をも上回る、
超特大の自我を持つキャラクター。
その、天才的幼児性(ミルクやスイーツが好きという嗜好がその
比喩として使われている)キャラは、まさにこの映画の真の主役、
だろう。
そして、その変態大佐に疑いの目を向けられながらナチへの
復讐の念に燃えるユダヤ人女性ショシャナを演じるメラニー・ロラン
の美しいこと。顔の左側の目の脇に小さな傷があるのだが(それを整形
しもしないところがハリウッド女優でないヨーロッパ女優らしさ
なのだろうが)それがかえって整い過ぎっぽい顔にアクセントを
与えている。
あ、ブラッド・ピットも出ていた(笑)。
彼の、顎をつきだして少々顔をかしげて喋る演技は、ジョン・ウェイン
を意識しているように思った。確かに顔の四角いところなど、
似てきているような感じ。タカ派のウェインがやりそうな役だし、
ウェインの超愛国映画『グリーン・ベレー』にも出演している
アルド・レイが今回のピットのアルド・レイン中尉の役名の元ネタでは
ないか?
とにかく、観終ったた感想としては戦争映画という感じは微塵もせず、
どちらかというと『仁義なき戦い』あたりの深作作品を思わせた。
レイン中尉を菅原文太、ランダ大佐を岸田森、ショシャナを大原麗子、
ヒトラーを金子信雄、ゲッベルスを成田三樹夫に演じさせた映画の
ことを帰途、想像してニヤニヤ。そうすると、ダイアン・クルーガーの
役は岩下志麻か松阪慶子か。
帰宅して原稿書き続き。11時過ぎで筆を措いて、夜食。
クリームコロッケ、オクラおろし、アボカドのサラダ。
それに松前漬けで黒ホッピー。
DVDで『月へのミサイル』見る。いやあ、さっき観たのと
違って緊張のかけらもないこういう映画もいいですねえ。
ストーリィは例によりエロの冒険者さんのところ参照。
http://homepage3.nifty.com/housei/missiletothemoon.htm