裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

19日

水曜日

東京を逃走した女やサカイ

山梨にはようついていかん。

※『虫皇帝』試写 ルナ稽古

夢というより眼を閉じて横になっているとき頭に浮かんだイメージ
だが、お茶を飲んでいる、その茶碗の中に黒や黄色の豆が浮かんで
いるというもの。何なんだ、このイメージは?

朝早めに眼が覚めてしまい、その後寝たり起きたり。
9時半、起床。
朝食、スープ、洋梨の若いの、茶碗蒸し。
茶碗蒸しは栗の甘露煮とタケノコが入る。

残暑見舞の住所整理など。
12時、家を出て新宿。
ケイズシネマにて映画『虫皇帝』試写。
アルゴのHさん、ウレシそうにいかにこの映画がトンデモないか
話してくれる。

テレビカメラが入って、企画・監督の新堂冬樹氏が挨拶。
ほんの数分のためにMCのお姉さんが入り、田丸麻紀が来て、と
宣伝も大変である。

で、映画だが、構成もテーマもなく、とにかく虫好きでちょっと
悪趣味のコドモが、金に糸目つけずに世界中から集めた高そうな虫
同士を戦わせてみた、という映画。
それぞれの虫たちの生態など無視して、水棲昆虫のタガメを
水の外で戦わせたり、本来がハンターであって戦闘能力はあまりない
カマキリをサソリと戦わせたり、大きさにあきらかにハンデのある
相手を戦わせたり、組み合わせも恣意的でフェアでない。
勝ち抜き戦でもないから、毒虫軍のリーダー(?)ダイオウサソリ
と、昆虫軍のリーダーのヘラクレス・ヘラクレスのどっちが
強いのかも、対決がないからわからない。
「どの虫が一番強いのかは虫好きの永遠のテーマ」
と新堂監督は言っているが、幼少時から昆虫図鑑が愛読書だった
身として、こりゃ単なる悪ガキのお遊びなだけじゃねえか、と
思わないではない。ねこじるのマンガをちょっと連想する。

しかし、実際の戦いには、これはプロレス見るのと同じで、
興奮してしまうのも事実。オオエンマハンミョウの強さには、
もっと大物とこれを戦わせろ、と心の中で叫んだし、
水棲昆虫なのに外で戦わされた国産タガメが大奮闘の末、
フラットロックスコーピオンを見事に捕らえて喉元にくちばしを
突き立てたときなど、歓声をあげそうになった。
とはいえ、メインエベント(?)のダイオウサソリ対国産カブトなど
凄惨で眼を覆いたくなるばかり。会場には子供たちも来ていたが、
トラウマになりゃしねえかなあ、と心配になった。

そう言えば、と思いだすが、子供の頃、札幌の家に業者が8ミリ
の映写機とフィルムを持ち込んで、上映会が開かれたことが
あった。それがまさに昆虫映画で、ハチの生活を解説したもの。
スズメバチとミツバチの戦いや、生殖の終ったオスバチが巣から
追い出され(嫌だ嫌だと抵抗するのを足蹴にするように追いだす)
野垂れ死にをするシーンなどはかなり後までトラウマになった。
あれはどういう催しだったのかな。実家は薬局だから、
ローヤルゼリーのメーカーなどがサービスと教育のためにああいう
フィルムを持って各薬局の家庭を回っていたのだろうか。

一旦帰宅して、郵便局へ行ったり買い物したりの雑務。
メールやりとりなども。
昼は自室でカップやきそばで済ます。
こういうのもたまにはよし。

5時15分、家を出て地下鉄で荻窪。ルナティック稽古。
コミケ等で二回ほど休んだのでひさしぶり。
とはいえ、今日は休みの人多く、特に女性陣は麻衣夢も希依ちゃんも
由美ちゃん明華ちゃんもいない状態での稽古なので、場の感じをつかむ、というところ。
また種無しカリカリ梅、何ヶも食べる。

稽古中に某件メール報告、思わず“ヨシ!”と小さく叫ぶ。
何のヨシであるかはもうちょっと先になってからお教えします。

9時15分稽古終り。次の稽古は一週間後(!)なので
またハッシー、シヴさん、一哉アニキと飲みに。
“かみや”なる、いい感じに汚い居酒屋。
それでもあの神谷バーの系列らしい。なるほど、デンキブランも
メニューにある。鯨カツ、ぬたなどとってカンパイ。
舞台の話、役者同士の話では置いてかれること多し。
さっきのヨシの件でメールなど打つ。

終って、9月公演のこと、劇団の今後のことなど
ハッシーと屋台でラーメン啜りながら。
帰宅して、テンションのみはやたら上がり、
わけもわからずベッドにもぐりこむ。

※写真は虫皇帝のワンシーンだが、ヨシ、のときはまさに
こんな気分。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa