3日
月曜日
「ウルトラマンさん、好きな時代は?」「昭和ッ」
ウルトラマンシリーズ、そろそろくたびれてきました。
※インタビュー本原稿 志水家探索 フィギュア王原稿 打ち合わせ
朝3時起床。
昨日やりかけになっていたインタビュー原稿を
仕上げて5時45分ころ送り、
8時までまた寝る。
8時再起床。
シャワーのみ浴び、朝食代わりのプラム一個食べて
8時半、家を出る。
地下鉄駅までの道で電話二つ、偶然だがどちらも新企画の件。
映像企画ひとつ、本の企画ひとつ。
いずれもすぐに形になる、というものではないが。
丸の内線で新宿、そこから埼京線で武蔵浦和、さらに
武蔵線で乗り換えて東浦和。
ひえださん、皆神さんと待ち合わせて、故・志水一夫邸に
向う。入院などで見舞にも葬儀にも出られなかったが、
その埋め合わせと、故人の遺した蔵書の始末を、お母さまから
皆神さん、私、ひえださんが託されたため。
皆神さんと、
「いよいよあの伝説の志水宅をのぞけると思うとワクワクするね!」
と話し合う。
東浦和駅でお供えするお菓子を買い、タクシーに乗り合いで
志水家へ。玄関をあけたとたん、段ボール箱がうずたかく積まれて
いる。これ、全部本だそうである。家の中へ通されてちょっと度肝
を抜かれる。階段、廊下、リビング、とにかく広いお宅の、
台所など水回りのところをのぞいてほぼ全て、本で文字通り
埋まっている。階段は三重になった本で一杯になり、体を横に
しないと上れない。いや、家のほとんどに、真っすぐにして歩ける
スペースがない。ことごとく本、本、本……である。
もう十数年前になるか、『カルトな本棚』という本を出したとき
志水さんにも取材を申込んだが、かたくなに拒否された。
たぶん、このような状態の家を他人に見せるのを嫌がった
のだろうが、その時はまだ、仕事場で志水さんは仕事をされていた
はず。晩年は仕事場までが本に埋もれて入れなくなり、台所で
原稿を書いていたとか。つまりその時に比べても数倍の数になって
いることである。
本当に大きなお宅(造りも凝っており、ご両親のご自慢らしいが、今では
お客すら呼べない)であるが、二階の部屋と踊り場に続く部屋全部は
本で埋まって、そもそも内部に入れなくなっている。何度か試みた
が、積んである本が崩れそうで断念した。この廊下の先にもう一部屋、
“ありそうだ”と予測はついたが確かめられない部屋すらあった。
部屋に入れず、本を取りだせないのだから、書庫としての機能はもはや
喪失している。増殖する本に乗っ取られた家という感じである。
いかにも志水さんらしい無計画さ、と微笑ましくもなるが、しかし
彼は自分の買った本に追い出されて仕事場にも自分の寝室にも
いられなくなり、最後はリビングのソファで寝起きしていた。
ガンで腰にかなりの痛みがあったのだが、病院にかかるのが
遅れたのは、ソファで無理な格好で寝ているから痛むのだろうと
思っていたからだという。
本に殺された、と言っていいと思う。
自分を蔵書家、などと自称していたのが恥ずかしくなるような、
恐ろしくなるほどの本の量である。
とはいえ、うらやましいとかさすがである、とかはここまで来ると
ほとんど思わない。自分が先日、書庫の大整理を行ったのは
本当に正解だった、と胸をなで下ろした。
そもそも、ここまで蔵書数を誇っても、個人蔵の限界は、ある冊数
を超えると整理がつかなくなるということである。
国会図書館が職員とバイトを合わせて1000人近くの人間を雇い、
常時、整理と分類、本の修復などを行っているのは、それだけの
人数が本の管理には必要だということだ。
それが出来ないと、本は勝手に増殖していくかのように持ち主の
住居空間を侵し、かくのごときいいお宅をかくのごとき魔境に
変えてしまう。
お母さま、80代とは思えぬお元気で、ニコニコと迎えてくださる。
本当に息子と仲がよかったのだと思い微笑ましいが、この本の増殖
を何とか意見できなかったものか。お菓子、お抹茶、お紅茶と
次々と。唯一その顔が曇ったのは、
「志水一夫さまいらっしゃいますか」
と女性名で電話がかかり、それが何かセールスの電話だったときで、
「息子は、亡くなりました」
と言って電話を切ったそのときだけ表情がけわしくなった。
お気持ち思い目を伏せざるを得ず。
ひえださんが何度も遺影に話しかけていた。
皆神さんと話す。いま、某組織が引き取りを考えてくれているが、
果たして全てを向うの予算で引き取ってくれるのか。
古書店に売るにしても、梱包と発送は誰がやるのか。
労力は誰が出すか。何にしても、一朝一夕に片づく問題でなし。
バスで東浦和まで戻り、駅前のつけ麺屋で今後のことを話す。
私は、あれだけの冊数だと、ひと部屋の本をざっと分類して
段ボール箱につめるだけで一ヶ月以上かかると思う。
志水さんの研究対象には、新書や文庫などの雑書でしか出てない
ものも多く、売れる本とそうでない本をより分けないとまとめて
売ることも出来ないのである。故人は散逸させないことを
のぞんでいたというが、さて、それが可能か。
来たときの順序を逆に東京へ。今日は夕方から次の打ち合わせが
あり、時間が半チクなので、喫茶店に入りポメラで仕事。
これでフィギュア王原稿書き上げて、それは夜に改めてメールした。
5時半、神谷町で某プロジェクト打ち合わせ。Sさん、Sくん。
後からKさん。
某企画、最初の案と、種々の意見訊いてまとめた案では大分
相違あり。全く別のアプローチ必要となろう。
終ったあと、軽く焼鳥屋で一杯。
帰宅、メール類に返事等して、改めて風呂入り、出てマッコリの
ソーダ割り飲んでふう。押尾学の逮捕、ドラッグだけならともかく
同室で女性が死んでいたというのに驚く。
有名なオレ様スター、ドラッグ、六本木ヒルズ、死んでいた
女性、と、派手は派手だが道具立てが通俗サスペンスドラマみたいだ。
12時就寝。