裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

19日

木曜日

ヤク中堂々

ダーリン先生はヒロポン中毒でしたが堂々とされておりました。

※D社初稿ゲラ ダーリン先生お別れ会

朝10時起床。
やはり鬱々。
朝の鬱というのは、ものの本によると鬱病の典型的症状なのだ
そうである。午後になると回復するのではなく、症状がちょっと
軽くなるだけなのだそうだ。
もっとも、朝鬱の最も多い症状が早く目が覚めてしまって
眠れない、というものだそうで、私はいくらでも眠れる。

11時ころ。朝・昼兼用でホットドッグ(2日目)。
すぐD社原稿にかかる。本日戻しということなので、まず
初稿に赤入れ。これを1時半くらいにバイク便で出す。

それからまえがき、あとがき原稿を書き、さらに、編集部から
二ヶ所ほど、書き足しを求められていた部分を書く。
作業中に編集部Mさんから電話、メールなど。

四月はとにかく出版ラッシュ。
D社のこれ、R社から二冊、T社からも。
全部三月中に作業終るのか?

藤原紀香と陣内智則の離婚でネット大騒ぎ。
どうも原因は陣内の浮気がやまない、ということらしい。
ニュースのコメントを見ると、
「浮気は男として最低」
という意見が多いようで、保守化というより、
芸人という存在が一般人と同じレベルになってしまい、
「浮気は芸の肥やし」
というような“業界内常識”は世間では通用しなくなっている、
ということが見てとれる。さんまの頃とは時代が変わったか。

とはいえ、やはり人気というものが、その芸人の持っている
やや危ない“色気”による、という本質は変わるまい。
陣内は合コン大好き人間だそうだが、女性にかこまれてキャアキャア
騒がれるというのは、今のお笑い芸人の多くのモチベーションの
最大のものであろう。いくら結婚相手が藤原紀香であろうと、
家庭に入り込んで安住してしまったら、お笑い芸人としての
トンガった部分は摩耗する。
一般人的な安定感と、芸人としての色気を
両方完備しないといけないとなると、芸人のハードルというのは
ずいぶん高くなると思うんだが。

私はやはり、芸人は人外の人、として、ある程度の差別も受け、
しかし一般人の規範に縛られない自由を得ている、という
立場が一番、芸というものが輝くと思うんだが、テレビは
異形人外のものを締め出すメディアだからなあ。

5時半、家を出て丸ノ内線〜銀座線で浅草。
浅草ビューホテルダーリン先生お別れ会。
浅草ビューホテル、案外浅草駅から歩くのだな。
受付で鯉朝くんと会うが、まったくの平服。
これから上野広小路なので、記帳にだけ、と。

壇上に飾られたダーリン先生の笑顔のなんといいこと。
ぎじんさん、談笑夫妻、開田夫妻と挨拶。
アスペクトKくん、河崎実、ホーキング青山、待乳庵さんなどとも。
せーじ・けーすけのせーじさん、春風亭勢朝さん、
ポカスカジャンの(ショーゴさん以外の)お二人、立川談慶さん、
その他おひさしぶりの顔、多々。
せーじさんとはへらちょんぺ結婚という驚愕のニュースについて。
前に元気いいぞうに聞いて半信半疑ではあったのだが。

立川志遊さんに挨拶されて、老けたのに驚いた。
結核という大病をしたのは知っていたが。
しかしこの6月には真打昇進、まことにめでたい。
NHK−BSの『とことん! 石ノ森章太郎』の話になり、
ちょっと盛り上がる。こんなオタ話の出来る人だったとは。

玉置宏さん、青空球児さんの挨拶よし。
さだやんさんの、芸人らしい照れの混じった発起人挨拶、さらによし。
中にはもう危ないのではないか、と思えるような人もいたが。
河崎監督と話して、実相寺昭雄監督とダーリン先生は同い年で
あったということを知ってなるほどと思う。72ってのは早過ぎだな。
アスペクトKくんとは、ちょっとワルダクミの話。
待乳庵さんのところで、元全日本女子プロレスのアナウンサー、
今井さんとも久しぶりに会う。今度『笑撃! これが小人プロレスだ』
を某所で取り上げると話したら喜んでくれていた。
当時の小人プロレス3人衆のうち、国から身障者認定が受けられた
のはリトル・フランキーだけで、ブッタマンと角掛留造は
「健康体だ」
と言われ、厚労省から門前払いをくらっていたという。
ひどい話だ。

ノリローさんの挨拶まで残っていたかったが、原稿チェック
D社から帰ってきていたら急ぐので、8時半ころおいとまする。
記念CDをいただくが、これがダーリン先生のバックに注射器の
図柄。シャレが効き過ぎで大笑い。同じフロアで女子大の謝恩会
が開かれていたが、私と同じく会場を出た林家ぺー師匠が、
そのオバサン(というには若いが)たちにつかまり、際限なく
記念写真撮らされていた。人気商売のつらさ。

地下鉄の中で、ダーリン先生の女性遍歴の話をもっと聞いて
おけばよかったと思う。何人目の奥さんとだったか、
大げんかして出刃包丁を投げつけられたのが、頭の真上の柱に
ストッ、と突っ立った話など、爆笑ものだった。
今のおかみさんで4人目、しかも30歳下。
陣内智則などからみれば、いい時代に生きた芸人さんだったと思う。

四谷三丁目駅で降りて丸正で買い物。
くたびれたのでタクシー使ったら2500円もした。
原稿チェックは来ていなかったが、別の書き直しを一時間ほど。
その間に丸正で買った豚タンを茹で、10時半、夜食。
茹で豚タンにニンニクミソをなすったのと、ホタルイカの
スペイン風サラダ。ホタルイカをトマト、オリーブ、刻みニンニクと
混ぜ、ゆで卵を刻んだものを振りかけて、胡椒とシーズンオール、
オリーブ油とレモンで和える。
やっと、酢味噌和え以上にホタルイカをうまく食える方法を見つけた。

DVDで『続・夕陽のガンマン』。
やはり名作とはいえ大作でもあり、カット場面が多く、
日本語版(山田康雄、大塚周夫、納谷悟朗の伝説の名吹替え)で
見ていると、カットされた部分でいちいち字幕を切り替えねば
ならず、そのカットが細かすぎてちょっとくたびれる。

*祭壇 さだやん師匠挨拶

Copyright 2006 Shunichi Karasawa