裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

16日

月曜日

黒部と太陽

コスモスの杉浦太陽、初代ウルトラマン黒部進と共演!(深海獣零号)

※『私の1冊』スペシャル収録

朝9時半起床。
今日は12時半収録現場着だから忙しいぞ、と思い、
朝飯もちゃっちゃと終らせる筈が、母と話し込んでしまった。
朝鬱なので、こっちはただ聞いているだけだったが。

で、自室に戻り、入浴の準備などしているうちに
日記つけて、雑用連絡いくつか済まし、いつもの朝とほぼ
変わらぬ仕事ができる。
あれ、普段の日がのんべんだらりしすぎなのか?

12時、家を出て、タクシーで四谷三丁目。
ところが運転手が、もうベテランぽい年齢なのに四谷三丁目の
場所を間違えるというポカをやり、しばらくウロウロする。
腹を立てて警察署のところで降り、地図を頼りに現場へ行くが
今度は私が道に迷い、さらにウロウロ。
しかし、四谷三丁目という街も一歩路地に入ると
昔ながらの東京の、凄まじく入り組んで袋小路だらけの
複雑怪奇な町並みになる。やたら古い屋敷があるかと思うと
デザイナーズマンションがその隣に建っていたりする。
昭和の匂い芬々の酒屋さんに道を訊いて、やっとたどりつく。

『私の一冊』スペシャル、書庫居酒屋『ひらいし』にて。
会員制バーだそうだ。階段のところがずらりと書庫になっていて
五千冊の本がある、という。見ていくと、元々社の最新科学全集
とか、ときおりへえ、という棚揃え。

メイクをしてもらう。メイクの女性が、
「ずいぶんお久しぶりです」
と挨拶してくれる。数年前、
『コンテンツ・ファンド』というBSだったかCSだったかの
番組でメイクを毎度してくれていたとのこと。
「ああ、あのときの!」
と、しばらく出演者たちの思い出話はずむ。

フリーアナウンサーの宮本隆治さんNHKアナウンサーの
首藤奈知子さん、ゲストの季里さんに挨拶。
ざっと立ち位置、座り位置などのダンドリだけ決める。
あとはまったく台本無視した感じで話すが、まあ、NHKに
合わせたいい話をするものだ、と自分で感心(?)してしまう。
「お声の発生が素人じゃないですが、舞台とかやっていらっしゃい
ましたか?」
と褒められて少し鼻を高くするが、しかし舞台は確かに踏んでいる
ものの、基本的な発声とかまったくやっていないので、上っ面
だけなのである、私の声は。

一部終り、しばらく雑談。宮本さんはお若く見えるがNHKを
定年退職してフリーになったという。勤務時代のエピソードいろいろ。
『素人のど自慢』の司会をやったとき、合格した高校生の女の子にマイクを
むけると、恋人と別れたくやしさを歌にぶつけたと言い、カメラにむかい
「おい! これからもいいライバルでいような!」
と(彼氏がライバルなのか、彼氏をとった女に言っているのか)
指さして叫んだのが微笑ましかったが、
「では、おところお名前を」
と言ったら、
「え! 言うんですか、ここで?」
と狼狽しはじめた。どうも、“おところお名前”を、
「男の名前」
と聞き違えたらしい。これには笑った。

最初は私は全三部中第一部のみの出演ということだったが、
一部からゲストがずっと最後まで居残る、という演出に変わった
ので、ほぼ半日の拘束となる。
次がデジタルアーティストの季里さん。
彼女とは年齢も感性もバランスがとれていろいろ話ができて
盛り上がった。

最後のゲストが大物で、脚本家の早坂暁先生。
いつも喫茶『時間割』で顔を会わせていた(挨拶などはしなかったが)
仲である。御歳80歳とは見えず、ガンから心筋梗塞から、
お体が病気の巣とも見えず。そもそも、50歳のときにこの二つを
患い、医者から余命一年と言われたそうである。
で、お勧めの本が正岡子規『病臥漫録』。
ちょっとNHKでは使えぬ固有名詞もいっぱい出てきて、
宮本さんがあわてていたのが面白かった。
首藤さんは地味に可愛い。衣装がアンナ・ミラーズ風だった。

結局、収録5時半までかかる。
終って、早坂先生と“時間割”ばなし少し。
10年間、あそこを使っていて、早坂先生とも100回以上は
顔を合わせていて、やっと、無くなってからご挨拶ができた。
先生も蔵書というのは歳を取るにつれて重荷になる、
生きている間に始末しないといけない、とおっしゃる。
本の整理談義も少々。

バーテンダー役のビビる大木さん、すれ違い。
また今度も『熱中夜話』、よろしくお願いしますと挨拶しておく。
NHKの人に、『檀流クッキング』は番組の幅が広がって
ありがたいセレクションだった、と言われてちょっと嬉しかった。
放送は28日(土)。
http://www.nhk.or.jp/book100/

せっかく四谷三丁目まで来たのだから、と丸正に久しぶりに
寄って買い物、地下鉄で帰宅、6時半。
このところずっと原稿書きで引きこもり状態だったので、
こういう仕事が一日入るというのは刺激になってよし。
途中、ハッシーから衣装のことで電話あり。

帰宅して、仕事一本、と思っていたが、さすがに疲れて今日は
何も出来ず。昼がほぼ抜きだった(弁当が口にあわずほとんど箸を
つけなかった)ので腹も減り、早めに飯にする。
重曹豆腐鍋の残り汁にご飯を入れて温め、ポン酢と梅肉で味付け
して豆乳雑炊。汁の中の重曹成分が、ポン酢と梅肉の酸に反応して、
シュワーと泡立つのが面白い。
後は酒、つまみにホタルイカの酢みそ和えと、鶏のハツを
塩茹でにしてポン酢で和えたもの。

DVDで『アウターリミッツ』。マーティン・ランドー主演の
『生れて来なかった男』、ラルフ・ミーカー主演の『太古の魚』、
それに昔から大伴昌司のグラビアでずっと見ていた人面アリ
ザンティ星人の登場する『蟻人の恐怖』。この回にはギャング役で
ブルース・ダーンが登場するがすぐ殺されてしまう。彼の情婦役の
オリーブ・ディーリングが、いかにも情婦といった雰囲気の
不幸顔で印象的。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa