裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

13日

金曜日

遠山のクエン酸

このTCAサイクルが目に入らねえか!

※企画書書き 『冬木透conductsウルトラセブン』

朝8時半までぐっすり。
その後もだらだらと。
天候不順、気圧乱調。
しかし、乱調のおかげか、頭の中で妙な考えグルグルするうち、
ひとつ、本の企画浮かぶ。
サブ企画(メイン企画を持っていくとき、脇に添えて出す
予備の企画。案外こっちの方が面白がられたりする)として
まとめてみるか。

9時半、朝食。
その後メールチェックし、日記つけ、ファックスされた
原稿の最終稿を確認し、企画資料をネットで検索したりして、
アマゾンで注文する。

企画、ちょっとメモしてみる。
何か面白いものになりそうな予感がする。
もうひとつの方(メイン)も、かなり個人的には気に入って
いるんだが……これはプレゼンが難しそうだからな。

別件で17日、打ち合わせする会社から丁寧な会社へのアクセス
説明あり。ここまで丁重に迎えてくれるところは珍しい。
こことの打ち合わせは企画もなにもない、手ぶらでの勝負なのだが、
何とかいい結果が出せるといいな。

今日は別府明華ちゃんと、彼女の知り合いの紙芝居師さんの
ライブを見に行く約束をしていたのだが、昨日になって、
桜井浩子さんから、冬木透コンサートのチケットを
取っておきました、という報せが来たので、そっちの方いかざるを
得ず。いや、発売と同時にソールド・アウトだったこの
コンサートのチケットをとっていただいた、というだけで
感謝しないといけないのだが。
2枚とってくれているというので、あわててネットで募集。
モナぽさんが手をあげてくれた。

昼は掻き揚げ弁当。
3時ころ、雨パラつきだし、そのせいか急激な睡魔に襲われる。
書き下ろし原稿書き、途中で放棄してベッドに。
そのまま気絶。
目が覚めたら4時、そろそろ出かける仕度しないと。

バスで初台、ちょっと早く着きすぎた感じだったが、
すでにロビーには、普通のクラシックコンサートの客とはあきらかに
違う人種とわかる方がぞろぞろ。
どんな場所でも常に自分基準でしか服を選ばないのは
オタクの特徴で、それはそれでそういう会だからかまわないのだが、
首タオルはさすがにどうですかね。
あと、ウルトラ警備隊のコスプレで来ていた人もいた。
よく入れてもらえたなあ。

と学会のK谷さんS井さんご夫妻に会って挨拶、
隣のカップルに“『熱中夜話』のヒーローソングの「熱いというのは
濁点だ!」は名言でした!”と言われる。

その他、業界人の方々いろいろと再開、挨拶。
開田夫妻、みなみさん、ロトさんなどなど。
クロークはABC順になっているので、もちろんMの棚へ。
M78って番号が来ればいいな、と思っていたが残念ながらM17。
オメガ星雲か。

もなポさんとも無事、落ち合えて入場。
三階の桟敷席だったが、実はこの東京オペラシティコンサートホール、
この三階席が音響的にはオススメ、らしい。
とはいえ、通路が狭く、手すりが低くて、歩くとちょっと怖い。
右側の席だったので、舞台左の司会者席はほとんど見えず、
桜井さんの姿は確認できなかった。残念。

さて、最初にウルトラセブン登場、こういう演出は私はちょっと
テレて駄目。セブンが最初に指揮台に立ち、やがて冬木先生
登場して交代。
第一部は『ウルトラコスモ』。
1993年の円谷プロ30周年記念祝典曲。
ブルックナー風の明るい感じの交響曲で悪くないのだが、
ちょっと演奏している東京交響楽団がとまどっている感じあり、
何ヶ所かアレ? という場面があった。
後でネットを見たら、あれは写譜ミスのためだったのではないか
という指摘あり。私は、リハのときに張り切りすぎた冬木
先生が、本番ではちょっとお疲れで、指揮のリズムが
ゆっくりめになってしまい、演奏者たちがとまどっていたのが
原因ではないかと思ったのだが、どうだろう。

そこでトーク、森次晃嗣氏、ひし美ゆり子氏、飯島敏宏監督、
満田かずほ監督に冬木先生。司会のTBSアナウンサーの
ダンドリ悪く、あまり盛り上がらず。トーク司会のプロ(?)
としては、ちょっとイラつく。とはいえ、『セブン』最終回を
ダンとアンヌが再現したところでは満場大喝采、大感動。

そこで15分の休憩。
ロビーに出て、パンフレットを購入。
出淵裕氏とかが普通に並んでパンフを買っている図がオカシイ。
マイミクのFKJさん、カンパンマンさんに挨拶、それから伯父と
このあいだ飲む機会があったというファンの人に挨拶された。
潮健児のファンだということだが生前の潮さんには会ったことがなく、
『星を喰った男』もこのあいだ、やっとネット古書店で買ったら
2000円したということである。
引っ越しの際に書庫から、潮さんのアルバムが出てきたが、
これらを足して新装版を出そうかとも思う。

第二部は『交響詩ウルトラセブン』。
1979年の発表。78年に『スター・ウォーズ』が日本公開され、
SF映画の曲がフルオーケストラで交響曲風に演奏される、という
ことが日本の音楽会でちょっと話題になった(それまでにも宮川泰
が『宇宙戦艦ヤマト』で試みていたが)。その流れに乗ったもの
だと思うが、しかし今聞いても素晴らしい。いや、今回の演奏が
これまで聞いた中で最高かも。

私はセブンのBGM、と言えば何といっても怪獣登場のときの
ドラの音が最高、と思っているので、今回、それがたっぷり聞け、
さらに席がドラのポジションをよく見られるところだったので
嬉しかった。

それから、少年少女合唱団、そして歌手の中西圭三氏が登場して、
ワンダバマーチ、さらに『ウルトラ警備隊のうた』を。
ワンダバはやはり男声合唱団で聞きたかったが。
あと、何で『ULTRA SEVEN』をやらなかったのか?
実相寺系のピアノ曲(例の12話やペロリンガ星人、メトロン
星人の回などで使った)などもほとんどなかったし。
まあ、オトナの事情もいろいろあるのであろう。
全体的には素晴らしい出来であったし、最後に、今日が偶然誕生日
という冬木先生にセブンが花を私、中西氏がハッピーバースディを
歌い、最後は客席に向かってセブン主題歌を冬木氏が指揮するという
イベント性も結構。

終ってまたオタク仲間と。パンフに原稿を書いていた早川優さんにも
挨拶。樋口真嗣、原口智生の両御大も来ていて、樋口さん、
「業界大会だな」
と。

加藤礼二朗夫妻も来ていて、ごっちさんにご飯食べましょうと
誘われ、河崎実、福田裕彦氏などと、近くの居酒屋『こころ』へ。
大混みになるちょっと前に入れた。
ごっちさん、『黄昏モンスターズ』の日本狼男が脳に焼き付いて
離れないと。

さて、メンツがメンツだけに、会話がいや、濃くなること
濃くなること。そこだけ、一般常識を離れたアンバランスゾーン、
いや魔空空間となる。大江健三郎から前谷惟光まで。
業界の裏ばなしから誰も知らないようなマイナー特撮作品の話。
ごっちさん、置いてかれっぱなし。私、彼女をなぐさめて
「この世代はね、百万回こういう話を繰り返して、幸せに死んで
いける特権的世代なんだから」
と言う。なぐさめになっているかどうかわからないが。

福田氏は『ギララの逆襲』で音楽を担当している。
私が今日の演奏のドラの話をしたら、
「ドラの借り賃は高いんだよ!」
とのこと。ギララのときは監督からドラを入れろという
注文があったのだけど予算がなく、ドラだけ後で音を作って
ハメ込んだのだとか。

場所がいいせいか、店が大混み。なかなか注文もとれなくなって
きたので、12時で解散。帰宅して、黒ホッピー軽く飲んで、
と思っていたが、目が冴えて(昼寝したせいか)2時までに
四ハイ、飲んでしまった。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa