裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

25日

日曜日

芸協の白石さん

「ご要望ありがとうございます。残念ながら当芸協では立川流との合併は
考えておりません」

※D社原稿(一章分) 『2009円宇宙の旅』千秋楽

夢でうなぎ屋に行く。大変に旨いうなぎ料理を出し、政界の重鎮や
有名俳優の贔屓も多いというが、一般には無名。
なぜかと店の人に訊くと、天然うなぎには3種類あって、
泥の中にいるもの、牛や馬、人などの死骸につくもの、
そして川に流した呪いの人形にまとわりついているものがあり、
後のものほど味がいいのだが、縁起が悪いと言われて
普通は商売には使えない。うちは人形をちゃんと供養して
使っているんです、と言う。
……毎日の日記を読み返すと、夢のパターンが少し多彩すぎる
気がする。私の脳は、いったいどういう基準で
「今日はこういう夢」
と選んでいるのだろうか?

朝9時半起床。
どうも最近、朝うつのケあり。
朝食、今日もジュースとロールパンドッグ。ソーセージとサーモン。
新聞に鳥海永行氏死去とあり、驚く。23日に、67歳。
ちょっとデジャブを起したのは、一年前の一月に同姓の鳥海尽三氏の
訃報があったばかりだったから。
タツノコ・プロダクションの黄金時代を築いた二人トリウミが
一年しか間をおかずに亡くなるとは。あ、そう言えばこの二人が
クリエイトした最もユニークなキャラクターであるベルク・カッツェ
役の寺島幹夫氏も先月亡くなっていたのだった。
ガッチャマンのパロディ漫画を、札幌・狸小路のはずれにあった
民芸喫茶で仲間たちと創作していたのが、私のやさぐれ青春だった。
昭和は遠くなりにけり。

そう言えば小島一慶が女性に暴行容疑で訴えられたという報道も
あった。小島一慶・林美雄・野沢那智・白石冬美の4人が歌う
『赤頭巾ちゃんバスストップ』を、今でもソラで歌える身として
何とも言いようのない事件だが、彼がもう64歳というのにショック
を受け、かつ、64歳で婦女暴行容疑をかけられるというのも、
元気すぎるというのも悲劇というか。

自室に戻って日記つけ。
それから入浴して、D社原稿書き。
400字詰め18枚は一日仕事でないといけないのだが、
事務所引っ越し、公演などで3日もかかってしまった。
これではいかん、と反省。
何とかの質のものにまとめて完成させ、編集のMさんにメール。

ニンニク味噌でミソタマゴを作り、温めたパックご飯に
ぶっかけてかき込む。
その後、家を出て下北沢、楽園。
マチネが終ってみんな客席で仮眠をとっている。
何か空襲のときの緊急避難所みたいである。
札幌のでんたるさん、昼間に来てくれたようで、
「『黄昏モンスターズ』より今回の方がいい」
と言っていたとか。ジブリっぽいのは苦手らしい。
Sくんなどとしばらく話し込む。
プロデュースの話、スポンサリングの話。
本の企画などもちょっと売り込む。

千秋楽だけに客席も順調に埋まって結構。
客入れの最中、『黄昏モンスターズ』の予告
まず、今回の舞台のスポンサーである高須クリニックのCMが
流れ、次に最終回にちなみ“終”を舞台にコントを4本やって、
それからお芝居だが、このコントが篦棒に笑えた。
菊ちゃん得意のブリッジを見せる『ブリッジ刑事』は、
岡っちの二代目ブリッジ刑事のわけのわからなさが最高、
他は『女子バレー部』『北斗の拳』『ボーグ星人』。
『北斗〜』と『ボーグ〜』は前にも見たが、初めて見た
『女子バレー部』は、まったくのアドリブで構成される、コント
とも言えないスケッチなのだが、もう、死ぬかと思うくらいに笑う。

その後、芝居(タイトルがついにつかない!)。
このあいだ、“一時間という時間が快感”と書いたが、
今日はさすがに千秋楽だけあってみんなギャグとかを乗せていき、
30分近く延びた。
松下あゆみ、今日は蹴りでなくパンチでNCをぶっとばしていたが、
聞いたら前回に入れた蹴りで足の筋を痛めたとやら。

終了後、バラシの時間をT社のA君と一緒に雷やで少し話す。
不況下のライターの生き残り術など。

それから『文福』で打ち上げ。
最初はT田くん、しら〜さんなどの席で、さらにNCとあゆみの席、
もやし、菊ちゃん、じゅんじゅんなどの席と回る。
黒ホッピー三回、お代わりしたか。
ワイワイやって、12時お開き。
すぐ2月の稽古にかからねばならないので、普通の打ち上げのように
朝まで、とはいかない。

はれつ氏にタクシー相乗りを奨められたが、いや、まだ早いし
電車の中で29日の撮影の打ち合わせをちょっと乾きょんとも
やりたいし、と思って駅に行き、改札をくぐろうとポケットに
手を突っ込んだとたん、携帯を店に忘れたことに気づき、
文福にUターン。あぶないところだった。
そしたら、ちょうど勘定終って出てきた一巻きにつかまり、
「二次会、行きましょうよー」
と拉致されて、バー・キタザワに行くハメになった。

ここで音響・照明のミヤッキ、よっしーとちょっとお仕事の
話が出来たのはよかったか。
早さんとは、WAHAHA本舗の話などを。
何か酔って騒いで、2時半ころ、結局タクシーで帰るハメになりにけり。

*写真は“月の女神”風乾きょん

Copyright 2006 Shunichi Karasawa