裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

2日

金曜日

エンガチョはお早めに

今年の年賀状に使いたかったセリフに“牛の糞にも段々”ってのがあるが、
いい言葉なんだが使えねえよなあ。

※寝正月、テレビ正月

朝、某出版社から電話の夢。
打ち合わせの途中で“何、これ、すげー!”などと
電話の向うで夢中になってるものがあるらしく、
こちはイラつく。

10時起き出して、朝食。
喉のヒューヒューはおさまったが、熱がある。
風邪らしい。年末に無理しすぎたというほど仕事もしていないが。
朝食は雑煮。

今日は何の予定もなし、寝正月と決め込んで風邪薬のんで
ベッドの中。資料本読みつつ。
具合悪いし、体動かしてもいないので腹も減らず、
昼食は抜く。

資料本、残念ながら途中で面白さ減速。
何とか読み切る。
起き出してテレビをザッピングしてたら、安っぽいCGの
巨大昆虫がうごめいているテレビがあったので、
テレビ東京のB級映画かと思ったら何とNHK。
『プライミーバル』という古代生物SFものだとか。
イギリス製のドラマらしいが、『恐怖の巨大グモ』ってサブタイトル
なのに、話の途中でクモはいなくなっちゃって、ムカデとの対決
になるというのはいかがなものか。

とはいえ、こういう金のかかってなさがイギリスのテレビっぽい。
昔のクォーターマス・シリーズ的な雰囲気がある。
会話のしゃれっ気がイギリス風味なのかな。
ツイードのジャケットを来た科学者が出てこないのが不満だが。

そのあと、またNHKで(この三が日で受信料のモトはとって
いる気がするな)『福家警部補の挨拶』。
見ながらパソコン使い、原作をすぐアマゾンで注文。
なので、まだ読んでないので何とも言えないが、
たぶん、文章で読むとうまいミスリーディングになっているの
であろうと思われる草刈正雄の教授の愛妻ぶりが、映像にすると
すぐネタバレしてしまう。
ここらへんにミステリの映像化としてはひと工夫あるべきだった
ように思う。もっとも、倒叙ものだからそんなに気にならない、
と言えばまあ、そうなのだが……。
『オッカムの剃刀』という言葉の使い方にももうちょっと
アイデアが欲しかったし、猫を使っての(!!!!)
カムフラージュも、本格推理でそれってありか、と思わず
ブラウン管の前で叫んでしまった。

しかし永作博美の福家警部補は傑作なキャラクター作り。
報告書をマンガで描くというあたり爆笑。
草刈正雄のあの口調、池田成志の堂に入った殺され役ぶり、
大杉連の極限オーバーアクト、小松政夫の電線音頭、掛布に
ついて大真面目に解説する小泉孝太郎、いずれも上出来で、
軽めのドラマとしては非常に楽しめる作品だった。

ただひとつ、原作では縁無しだったという主人公のメガネを黒縁に
したのは(『名探偵コナン』へのオマージュか?)、メガネフェチ
にとっては許されざる改変なのではあるまいか。なにしろ、
あのアロマ企画のメガネフェチビデオは、わざわざ”縁無し編”
“黒縁編”と分けて、一本に混在させることをせず、
「さすが、わかっている。縁無しなどと一緒にしてほしくない」
「こっちこそ、黒縁がいいなどと言う変態と同じビデオを買いたくない」
と大評判になったくらい、両者の間には深い溝があるのである。

8時、母の室で夕食。
おせちの残り、焼肉などでホッピー飲んだあと、牡蛎の佃煮で釜飯。
家メシの気楽さがよし。
テレビでずっと『おんな太閤記』。
森光子のナレーションがひどいとネットで騒ぎになっているようだ。
確かに、幽鬼の声を聞いているような案配のナレーションで
あった。

とはいえ、ドラマがつまらないので(戦国時代に何かというと
“戦のない国を”とか、そんなセリフが出てくるとしらけるのである)
見ているとしまいに、いつ森光子のナレーションが入るか、そっちが
楽しみになってくる。ここまで凄いと放送事故まがい。
事故であれば弥次馬根性で見なくてはならぬ。

見終わって、さらに『立川談志まるごと10時間』。
こんなにテレビ漬けになるのも正月ならではである。
談志がNHKで“芸”の神様、みたいに扱われるのを見て、時代を
しみじみ感じる。30何年前、NHKの落語番組で『鉄拐』を
やって司会の江國滋、ゲストの阿刀田高を苦笑させ、“困った
もんです”と言わしめたのが談志の真骨頂、と思い込んで
きた年代なので。それでも『粗忽長屋』には流石、と感心するが。
4時ころの、『立川流とんでも事件簿』あたりで寝る。
談之助もいないのにトンデモの語が使われてるのは、NHK側の
皮肉か、と苦笑しつつ(談笑はいたけどね)。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa