8日
木曜日
お着物地球紀行
次回はオーストラリアのウミガメの産卵を振袖姿で取材します。
※『世界一受けたい授業』録り足し録音
朝9時半起床、年賀状類まだポツポツ届く。
嬉しいものいくつもあり。
しかしあっと言う間に一週間過ぎてしまった。
そろそろ本格的稼働だが、まだ正月ぼけである。
マスミさんから、今年のオタク大賞について
先日メールをもらった。
8年目にして私はお役ごめん。
いや、解放感すさまじ。
もっとも、替わりにドタバタしているのが熱中夜話で
あるから、そんなに違わない。
書評用に小林まこと『青春少年マガジン』読む。
読んで泣く。小林まことはまさに同年齢。
身にしみぬわけとてなし。
大和田夏希、小野新二といった犠牲者の上に、
マガジン(に限らず漫画雑誌全ての)黄金時代は築かれて
いるのだなあ、としみじみ思う。これが当のマガジンに描かれた
ことが凄い……なんてことはみんな思う感想だろうが、
札幌に帰った大和田夏希氏にススキノでの遊びを指南していたのは、
実家の薬局の番頭をしていたSという男だった。
『タフネス大地』の作者が飲み仲間だということが大自慢で、
“漫画家、漫画家”と彼のことを呼び、
「お兄ちゃん(私のこと)、講談社で仕事したくない?
漫画家紹介してやろうか。講談社じゃ顔なんだよ、あいつ」
などと言っていた。実際は、当時大和田氏は講談社で連載がなくなり、
別の出版社に移ったが、やはり講談社とでは作家の扱いがまるで違い、
それが自殺の原因になったとも噂されているが、そんな時期だった。
業界の末端でそういう情報も漏れ聞いていた私にとって、Sを通じて
聞くそういうエピソードは何とも微妙なものだったのを覚えている。
没年が1995年。もう死後14年もたつのか。
昼は母の作ったカニチャーハン。
連絡色々。T新聞の連載、字数メモった紙を無くして途方に暮れる。
F社から話が来ている蓋棺録の本の資料をちょっと整理。
そう言えばなをきから、
「『Bの墓碑銘』新刊出たら一部とっておいてくれ」
とメール来たが、なかなかあれも最終巻が出せない。
4時半、家を出て、地下鉄で赤坂見附まで。
改札で制作会社のスタッフの男の子に拾われて、イマジカスタジオまで。
『世界一受けたい授業』、音の録り足し。
海外から届くはずのブツが届かないとかいろいろアクシデント
あって。
後録りはどうしてもナレーションぽくなってしまうので、
台本に手を入れてアドリブを加え、臨場感を出す工夫をする。
が、そうするとどうしてもケツがこぼれる。
「音をちょっと詰めればピッタリの尺になると思います」
と言われたが、やはり切ったり詰めたりだと面白くない。
「もう一回やりましょう」
と最後に吹き込んだものが、絵と見事にシンクロ、自分でも驚くほどの
完成度のものになった。
やっぱり、最後の1テイクってのはやっておくものですなあ。
収録はつつがなく終る。送ってくれたスタッフの子が感服したように
「……しかし、慣れてますねえ。アドリブとか、よく入れられるな。
僕なんか、いまだにスタッフなのにアガるんですよ」
と言う。決してアガリ症でないわけではないのだが、ここらは
芸能プロダクションやっていた余得というものか。
地下鉄で新宿まで。
新宿で知音に寄って中華素材を買おうとしたら、新宿の知音そのものが
無くなっていた。不景気のせいか、中国食品へのバッシングのせいか。
とにかく、ここくらいでないと、某書に
「魔物のように旨い」
と書かれていた、あの料理を再現できないではないか、と暗澹となる。
帰宅、原稿メモ書き程度のものを書いて、リハビリする。
その間に煮物を仕込んでおく。
8時半、夜食。
サトイモとネギの煮物。8番ラーメンについてきた、カマボコも
一緒に煮る。ネギの甘味がサトイモにからんで、大変上出来。
鶏ガラもほんの一片、加えたせいもあるか。
それと、ミョウガと釜揚げしらすの和え物など。
手近にあった『旗本退屈男・謎の暗殺隊』。
冒頭から、妖法を使う伊吹忍者の首領皎雲斎(山形勲)と、
陰陽師安倍清賢(香川良介)の呪法対決というアラマタ的な
シーンで始まり、呪いの人形の主まで陰陽の術で見破ってしまう
というオカルティックな展開。敵は雷まで自在に操るという法力を
持つが、これがあっさりと主水介に倒され、しかも黒幕の尾張邦宗
には“どうせ目的を達した後には皆殺しのつもりだった”などと
言われてオワリ。後は宇都宮釣天井まがいの仕掛けを使っての
将軍暗殺になる。じゃあ、冒頭で将軍を呪い殺そうとしていたのは
何なんだという、話のつながらぬことおびただしい脚本であるが
まあ、誰もこのシリーズにそんなもの、求めてないか。