裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

20日

火曜日

勝手にしわがれ

「ぜめで、ずこじはガッコづけさせてくれ」

※電話工事待ち 電話打ち合わせ多々 『ルナティックサーキット』初日

寝ることが快感で、極めて心地よし。
5〜6本の夢を連続して見るが、明確な記憶のあるのは
以下の4本。
1本目・セーラームーンショーのような舞台劇。これが夜の部で、
私は昼の部の落語会にゲストで参加、どちらも押すな押すなの
盛況で、不景気の時代にも娯楽は強いなあと思う。
2本目・私は文化イベントの総合演出者であるが、もう何度もやって
いることなので、買い物などをしてのんびり会場に行ったら、
もうお客もぎっしりで、全部スタッフが準備終えていて、私は
面目をつぶす。演出助手の青年が、私の手から演出用ストップウォッチ
を奪うように取り上げて演出ブースに消えた。
この演出助手、黒づくめのセーター姿に黒縁のメガネで、
オリジナルの(?)登場人物だが、どういう経歴で、どういう性格で、
どういうエピソードがあるかも全て私は心得ており、覚めてから、
今さらながらに夢の設定力に驚く。
3本目。学校の校舎でインタビュー。古代の検地状況がわかる遺跡が
発見され、その研究報告レポートが本にまとまる。まとめたのは
まだ30代の若き大学の先生で、しかも、その遺跡を最初に発見
したのは、まだ小学生の、その先生の娘さんだという。で、レポート本の
最初には、それを発見したときの娘さんの作文が載っているのが
ほほえましい。ところが、その作文を読んで驚く。彼女がこの遺跡を
発見したのは、ある夕方、そこを散歩していて、地元の不良たちに
押し倒され、いたずらをされたのがきっかけだったというのだ。
娘さんはその体験を作文にあからさまに描いており、読んでいて
背筋が凍るが、父である先生には、遺跡の発見の方が大きなことで、
そっちにはまるで意識をとめていないらしい。学者ってのは……と
思う。
4本目・歌舞伎の大マニアの漫画家。描く漫画は軍事オタ漫画で
その分野では定評がある男だが、歌舞伎の大マニアでもあり、ことに
若手の中村ナントカに入れあげ、彼が大役をはる舞台のときは、
全ての公演に足を運び、かつ、オリジナルのてぬぐいを作ったり
友人一同でツアーを組むほどの凝りよう。テレビが取材したこともあり
「(一回の公演で)数ヶ月の稼ぎが吹き飛びますが、その舞台の
満足感がまた、次の仕事への意欲を呼びますから」
などと言っていた(ヒゲ面の40男。妻子あり)。
私も招待されて、十数名の同業者と共に彼にお礼を言うが、
彼は“じゃ、僕は今日は〆切があるので観られませんが、みなさん
楽しんでください”と挨拶して帰っていく。マニアなのに観ないのか
と思うと、一緒に行った同業者が、
「あいつ、病気でもう余命いくばくもないんだ。今日は病院なんだ」
と教えてくれ、ちょっと愕然とする。

9時半起床、朝食はこのごろ『ちぃ散歩』を見ながら。
バナナジュース、スープ。
ニュースで華原朋美が睡眠薬過剰摂取で錦糸町駅前で保護された、と
あり。錦糸町はこないだ立ち寄ったばかりなので、心理として
どうしても気になる。

平山先生から電話。例の、某企画のこと。
やっと書いたというので、送っていただいて読ませていただくことに。
とはいえ、この企画は前途多難。相手が相手だ。

昨日、ビデオ整理の最中にテレビでかかっていた松田優作主演の
ミステリードラマ、途中(と、言っても始まってすぐ)から
見たのだが、実に奇妙な味わいのある作品だった。
松田の髪形から、『家族ゲーム』の頃だろうと思って調べたら
やはりで、同じ1983年の2時間ドラマ『断線』。
原作は松本清張、監督は催洋一。キャストに風吹ジュン、辺見マリ、
三谷昇、加藤武など。松田の務める証券会社の部長役で、四半世紀前の
北村総一朗が出ていた。若いのにオノと二人で驚くが、考えてみれば
私が北村総一朗という俳優を初めて意識したのはさらにこのドラマより
9年前の1973年、NHKドラマ『勝海舟』での、坂本龍馬
(藤岡弘)の同志で悲劇の自死を遂げる饅頭屋長次郎役(当時35歳)
だった。今回の番組ではエンディングロールでもその他大勢扱い。
文学座同期の岸田森や寺田農に水をあけられたと嘆いていたこと
だろうが、ブレイクは1997年の『踊る大捜査線』だから
60歳のとき!
役者はいつ売れるかわからないもの。

NHKから電話。先日収録した熱中夜話『マニアック映画』、
第一回放映分として収録したものと第二回放映分のものを
入れ替えて放送することにしました、ということ。
第一回の私や石田先生のトークに“まとめ”内容がかなり入って
いたので、そっちの方が視聴者に伝わりやすい、という判断のよう。
こちらとしては別段問題なし。

昼は焼肉弁当。
飯にふりかけをかけて食べる。
今日は2時頃に電話線工事があるはずだ、と思って待っていたが
4時近くなってもいっかな連絡なし。
NTTに問い合わせたら、派遣工事ではなく局内工事で済むもの
だったので、そっちでもう終らせたとのこと。
なんだ。

下北沢へ向かう。
小劇場『楽園』、何か久しぶりに“帰ってきた”という感じあり。
ハッシー、テリー、乾ちゃん、T田くん、Sくん、受付の手伝いを
してくれる由賀ちゃん、証明のミヤッキーなどに挨拶。開場して
マイミクの隆さんなどと平山さんばなし。

7時半開演、まずは私も舞台上に上がらされて挨拶、
団員の若い頃の写真を誰だか当てるというゲーム。
岡っちが女の子としか思えぬ髪形、それから乾ちゃんの少女時代の
写真は、ロリ男たちにブロマイドで売れるのでは、と思うほどの
美少女。ビックリした。

続いての芝居。
タイトルすら正式に発表していないという(表のカンバンには
“入場無料。面白かったらカンパお願いします”としか書かれてない)
作品で、最初は青春恋愛ものの、ベタな展開。
大学を卒業した若者たちの青春群像。
それが途中から……一転して、になる。
新しさはないが、さすが手なれた演技陣のアドリブ満載の展開が
心地よい。お客さんたちもそうだったと見え、カンパに多額の
現金を置いていってくださる方多し。
しら〜が、松下あゆみの“蹴り”に感心していた。
極真カラテをやっているのでこれは当然。それと萌え声の
アンバランスが彼女のウリだな。

その後、文福で初日打ち上げ。
琴ちゃん、乾ちゃん、岡っち、T田くん、もやし、しら〜などと
同テーブルでワイワイ。オノが岡っちいじりしてとまらなくなる。
モツ鍋、牡蛎フライ、ポテトサラダなどで黒ホッピーやった
あと、12時過ぎ、ハッシー、本多さん、しら〜などと
バーキタザワで。オノが“え〜大丈夫ですか、ハッシーと飲むと
もう一軒じゃすみませんよ”と心配していたが、一軒で済む。
例の件もハッシーが譲歩してくれて一件落着。
ホッとして2時、帰宅する。いつ届くかと思った例のもの、
K子が持っていたらしく、机の上に置いてあった。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa