裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

14日

木曜日

パパラッチのパパラッチはみなパパラッチだ

右を向いてもパパラッチだ、左を向いてもパパラッチだ
(『テレホンショッキング』でやるとうまくシャレに聞こえないのですよ)

※打ち合わせ一件 『黄昏モンスターズ』稽古見学

朝、6時にパッチリと目が覚めて、ベッドから飛び起き、
よーしと仕事始めるが、30分もたたないうちに
また急速に眠くなって、結局9時まで寝る。
なんなんだ。

二度寝のときに見た夢。
某人が新聞の切り抜きを持ってきて読んでみろという。
意味不明な文章が書いてあるが、これは暗号で、
「ほら、こうして読むと“ひさしぶりだな”と読める」
というが、どうしてもその読み方が理解できない。
そう言うと相手は呆れて向うへ行くが、行きしなに
「アッタマ悪いな」
捨てぜりふを吐き、それがカチンときて
「オマエの説明の仕方が下手なだけだろ」
と言い返し、その後、凄まじい殴り合いになる。

簡易ベッド生活ももう一週間以上。
早く寝室での普通のベッドに戻りたい、と普通なら思うところ
だが、案外この簡易ベッドが気に入っている。
もちろん、寝づらいし不便なんだが、仕事場の隅で寝る、という
コンパクトさが何となく自分に合っているのかもしれない。
昔から、大きい家願望はない男であった。

9時朝食。
メロン大一切れ。
母はオリンピックが大嫌いだという。
勝つか勝たないか、見ていてハラハラするものはダメだし、
期待されていた選手が負けると、その心中を慮って
やりきれなくなるそうな。

コミケ開催を明日に控えて、大手同人誌印刷会社ポプルスの
製本機械が故障、100冊を超える注文は間に合わない可能性も、
という告知がHP上に。私のところの同人誌は、とあわててオノに
確認したが、『Bの墓碑銘(中)』以降はコムフレックスに
変えている、というのでまず、安心。しかし、トラブルというのは
最も起ってはいけない時期に起るもの。
とはいえこういうときに被害がどれくらいなのか情報を得るには
2ちゃんというのは便利な場所だな。

昨日の東スポに月亭可朝の逮捕に関する記事。
なんでもあまりの可朝の夜のねちっこさに相手の女性が
ヘキエキして体が持たん、と別れ話を切りだして、
それがストーカー行為につながったとか。
可朝70歳、相手の女性とは十数歳年齢がへだたっている。
しかもつきあっていたのはこの女性だけでなく、知り合いの
落語関係者もその交際相手というのがどれをさすのか
特定ができないほどだったという。
ストーカー行為はいただけないが、しかしこの絶倫は凄い。
タフだねえ、最近の老人は。
いや、これが実は今後の日本の大問題。
栄養が足り、視覚メディアによって刺激される前頭前野の
性的興奮力が30年前とは比較にならないレベルで増大し
(すでに今の性欲は下半身主導ではない。だからストーカーになる)、
エレクト力の衰えはバイアグラ等で楽にカバーできるようになり、
今の日本人は年齢とともに“枯れる”ことが
できなくなっているのだ。
もはや道徳とか世間常識で縛れる問題ではない。
老人にも性欲はありあまっている、ということを前提に。
それをどうにかするシステムを作っていかないといけない。

日記つけ、資料本とカミソリの替刃をアマゾンで受け取る。
ホッピーとオレンジーナも通販で注文。
オレンジーナはいつものソフトドリンク通販で品切れで、
なんとかルージュのみを楽天で見つけた。
最近の通販依存度の高さは凄い。

打ち合わせに新宿に3時半に出る。
タクシーのラジオで、山根一眞が、自分の父が日本最初の長編カラー
アニメ映画『白蛇伝』を作った人物である、という話をしていた。
原案参加の上原信は山根氏の父上のペンネームで、
上野原に住んでいたことがあるところからつけたとか。
父上は終戦後人形劇の劇団を作って公演していたのを
東映がそれに目をつけてスカウトされ、東映動画入社。
人形アニメを製作していたが、日本初のカラー長編アニメを
作るにあたり主要スタッフとして抜擢され、
中国説話の白蛇伝をアニメ化するというアイデアを出した。
山根氏の記憶では、最初のキャラクター設定などの会議は
山根氏の家で行われ、膨大な量のキャラスケッチを大工原章や森康二が
描いていたという。

上原信という名前もそのときだけのもので、父上はその後
アニメの世界にはとどまらず、塾講師などをしながら、
好きなことをやって一生を過ごしたという。
「死後、遺品を整理したら凄い量の資料類が出てきました。
そのうちこれは美術館に寄付しようと思います」
とのこと。
こういう草創期の話は大好きであり、真剣に聞き入ってしまった。
しかし、うらやましい話である。

新宿・珈琲西武で某製作プロダクション打ち合わせ。
昨日の日記で、“何かが変わりつつある”と書いたが、
いや、今日のは変わるも変わらないもない、久しぶりのダメダメな
打ち合わせだった。向うの出してきた企画がいかに
使えないものか、をことわけて丁寧に話して聞かせる。
「もう一度練り直してまたご連絡します」
と言っていたが、ご連絡なるもの、果たしてあるかどうか。

伊勢丹で、大阪の麻衣夢のお母さんへのお返し(以前、
扇子と祇園七味をいただいた)を選ぶ。まったく役に立たず、
かつセンスのあるものを選ぶのがなかなか大変。

一旦家に帰り、K子と寝室の状態打ち合わせ、
荻窪へ出かける。
天沼会議室であぁルナ稽古。なべかつさん、菊ちゃんら出演者たちに
『山本ひろし物語』DVDを渡す。テリーが
「開田裕治に自分の顔を描いてもらうなんて怪獣でもなければ
滅多にないから、嬉しいなあ」
と喜んでいた。

『黄昏モンスターズ』のラストシーン。
クライマックスが終り、その後のシーンで、不覚にもウルっと
きてしまった。日本の喜劇には、やはりこういうシーンが
不可欠なんだなあ。そこを敢て自分はナンセンスだけで行く!
という行き方を決して否定はしないが、年齢と共に、やはり
涙が大事な要素であることに気づいていく。
ただし、笑いはある程度強引でも気にならないが、涙の場合、
強引にラストにそれを持ってくると、わざとくさくなって
鼻持ちならなくなる。今回はそこが非常にすんなりといっている。

ラストシーンで特出するはずだった俳優さんがどうも
出られなくなったらしく、なんと、いきなり私にやれ、という指示が。
そういうときには絶対しり込みしない性格なので演じてみるが、
やはり演じるのは楽しい。最初にいきなり大きくコケてしまい、
爆笑をとってしまった。
……とはいえ、確実に出がNGの回も多い。さて、どうするか。

終って、魚健さんに飲みに行きましょう、と誘いをかけるが、
案外同調者が多くて、シヴさん、ハッシー、乾きょん、岡っち、麻衣夢、
音響のMくん、それと手伝いに来ていたS崎くんと総勢9人。
荻窪の『安安』という焼肉屋で、飲み、食いながらワイワイ。
魚健さんが、なんだかいい具合の酔い方をしていたのが面白かった。

終って、ハッシー、岡っち、Mくんとさらにつけ麺屋で飲んで
ラーメン食って、いや、最近にない狂乱の飲み方であった。
これじゃ痩せないなあ。
帰宅3時! これもいかんぞ。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa