裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

10日

日曜日

東京湾大ワナビー大会

みんなが埠頭で知ったかぶりの業界話を披露しまくる夏の大イベント!

※パチスロNEOキャプション 木原浩勝さん打ち合わせ 花火大会

人間の闘争心や憎悪をエサに巨大化し、変形していく、
ゴジラのような巨大な怪物の夢。
夢でのその怪物の姿は、まさにゴジラの、出来の悪いゴム人形
だったが、それが逆に不気味さを増幅させていた。

朝8時半起床。
簡易ベッドのマットレスは背中でバネが数えられるような
代物だが、別に体が痛くなったり凝ったりしないところ、
まだ若いな俺もと思う。
赤塚不二夫、河野澄子さんと続けて、長い間眠ったままの二人が、
目をさまさぬまま亡くなった。起きたくないなどと言っていては
バチがあたるとは思うが、しかし眠い。

9時朝食。
ホワイトアスパラガスのスープ、巨峰のようでもっと大粒の
甘いブドー、バナナ半本。
自室に帰って入浴後、メールやりとり多々。
『トンデモ音楽の世界』の販促用ライブの出演、好田タクトさんに
お願い。快諾をいただく。

12時半、パチスロNEOの図版が送られるのでキャプション
つけて返送。弁当使う。掻き揚げ弁当。今日のはこのあいだのように
塩辛いことなく、美味々々。

3時、渋谷に出る。駅前東急地下でおみやげの品を買い、
モアイ前でハッシーと待ち合わせ。9月の『ホラリオン』で新耳袋
トークをやっていただく木原浩勝さんの事務所に挨拶に向かう。
木原さん自身が出迎えてくれて、高級住宅街中にある仕事場に。
マネージャーのHさんとも挨拶。

『ホラリオン』ご協力のお礼と、トークの形式をいろいろと
打ち合わせる。こちらが思っている以上の、
「いいんですか」
というようなまでの協力を申し出てくれて、ハッシーもちょっと
感激するより先に驚いているような状態。
http://www.aalunatic.com/ticket/080902horrorion/main.html
↑木原さんの新耳袋トークは9月3日、12日、17日、22日。
予約は上記サイトで。

「怪談はね、行き着くところ必ず落語や演劇といったライブ芸と
つながってくると思うんです」
と木原さん。私もそれは全く同感、というか、書いたものは
すなわち語るもの、演じるものと思って書いている。
だから、はっきり言って金にならない芝居や落語に私は傾倒して
いるわけだし、木原さんも怪談イベントをやりまくっては、
編集者に怒られているという。
「暇が出来たら書くから、というと、“あなたは作家なんだから
ものを書くあいまのことを暇と言うべきなんじゃないですか”と
怒られるんだけど、仕方ない。ものを書くってのが一番、やっている
ことの中で退屈な作業なんだから」
と。お互い、暇を一番忙しいことに使っているから、いや、
全く暇がない。
「唐沢さん、お互い、世間からみたらもうトシヨリなんだから
無理しない方がいいよ」
と言われるが、何、本人が一番生き生き無理している。

打ち合わせと共通の友人連の雑談など。あと、ついこないだの
佳声先生の『化物婚礼絵巻』のことも相談。1時間ほどいろいろ
しゃべりまくり、終って、ハッシーと渋谷へ戻る。
以前関係していた劇団はどうしようもないところだったが、
実力に比して大きい舞台で公演したり、マスコミへの顔出しが
出来ていたりしたのは、文化人、芸能関係者、マスコミ業界人
などに実に巧く取り入り、そのルートを利用していたせいである。
これは劇団運営術として、当然の行為であり、決して
否定されるべきことではない。
「うちの方がいい芝居を作る」
と言ったところで、舞台の評判・口コミだけでは知名度も集客数も
たかが知れている。

そして、私や木原さんの言でわかる通り、文化人たちというのは
実は演劇という、極めて効率の悪い、儲からない、しかし、いや
だからこそ、充実感だけはやたらにある世界に関わっている人たちに、
無茶苦茶なあこがれを抱いているのだ。私のように舞台にまで
立ってしまう、という物好きは少ないにせよ、みな、何らかの形で
関わりたい、協力して、“身内スタッフとして打ち上げに参加したい”
と思っているのだ。
これを利用しない手はない。利用というと言葉が悪いが、
木原さんも絶対に“利用されたい”に違いないのである。

これから稽古に戻るハッシーと別れて、山手線で浜松町。
アンドナウの会の夏の慰労会で、東京湾大華火。
日の出駅のところで他のメンバー(IPPANさん、オノ&マド、
バーバラ、キョウカちゃん)と待ち合わせ、入場して埠頭に
設置された椅子席に陣取る。会場到着が5時半くらいで、
7時の開演にはまだだいぶ間があるが、座ってすぐビールビール、
つまみつまみのやりとり。

キョウカちゃん、去年は長野の花火旅行に一緒にきたが、いや、
そのはしゃぎよう、騒ぎように
「可愛い悪魔」
というあだ名を奉られたほどであった。
一歳年を重ねて、今年は外見はさほど変わってないが、
「今日はよろしくお願いします」
などと挨拶するくらいオトナになっている。

7時、花火開始。天候が曇りなのでどうかと思っていたが、
高い位置にある雲なので花火には支障なく、また、去年のような
猛暑もなく、むしろ涼しいくらいの気候で、実に過ごしやすい。
とはいえ、この埠頭会場ではいちいちの花火の種類などのアナウンス
がなく、ややダレ気味ではあった。

1時間半の光と音の饗宴を終え、浜松町駅まで。

去年は大混雑で豊洲まで橋を渡らせられてえんえん40分近く歩いたが、
今年は何しろ有料席だから、そんなこともなく楽々。
とはいえ、ポツポツと雨あり。
携帯の天気情報によると、中央線沿線が突発的雷雨だった
そうだ。家の雨漏りが気になる。

浜松町駅でIPPANさんと別れ、中野まで中央線。
そこでオノ&マドと一緒に降りて、うどん真希で二次会。
最初はもう会場でのビールがぶのみで胃がかなりバテていたが
焼酎がうまくて、徐々にピッチがあがり、最終的にかなりいった。
支払いを心配したが、今日は特別焼酎半額日だった。ラッキー。
ワイワイと人物月旦、コミケの同人誌や特製Tシャツの話などして
盛り上がる。12時ころ、帰宅。
まだ雨漏りはしておらず。

写真は花火、“悪魔”キョウカちゃん、東文研Tシャツ。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa