裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

29日

日曜日

味噌バタジェシカ

有名ファッションモデル、札幌ラーメン横丁を行く。

※書き下ろし原稿佳境 劇団ノーコンタクツ公演観劇

朝目が覚めたら9時、もう朝食かあつらいなあと
思ったが、それでグダグダしながら気がついてみたら
もう9時半、そうか今日は母が出かけているのだと
気がついて、さらに一眠り、10時半ごろに起床する。

日記つけながら朝食、何も買い置きがないので
パスタを茹でてホタテフレークの缶詰めとタマネギを炒めあわせ
極めて単純・簡単な貝柱パスタ。

いろいろ連絡行き違いあり、メールで訂正、弁解など。
最近頭がいろんなことが多すぎてパンク状態。
一方で進めるべきことはどんどん進んでいって、
テンションは上がる。

なをきからメール、昔札幌でわれわれがマンガ同人誌作って
いた時代に愛読していた某氏のサイトが閉鎖されていた件。
なをきが“こういうマンガを描きたい!”と本気であこがれていた
という人であった。人望もあり、私も、てっきり彼が島本和彦や
あさりよしとおなどより先にデビューして、われわれ北海道出身
業界人勢の先頭に立ってくれるものだと思っていた。

どういう事情か、結局彼はプロにはならず地元に残り地道に
サイトで作品を発表するだけにとどまっていたが、私などは
たびたびそこのサイトをのぞいては、新作を楽しみにしていた。
三十数年前と変わらぬ達者な線と構成だったが、逆に言うと、
三十数年前の作風があまりに完成されすぎていて、そこから脱する
ことが出来なかったのではないかと、今になって思う。

なをきも言っていたが、新人時代の作品に、あまりの完成度が
ある人間はその後伸び悩むことが多い。商業作品には、
読者や出版社の意向というものを汲んで取り入れる“ゆとり”の
部分が必要であり、これが無く、精密性の強すぎる作品は、
それが読者の嗜好とズレがあった場合に、修正の仕様がない。
まして新人時代の作品にそういう“のびしろ”である未熟さが
ない人というのは、いかに新人離れをした上手さがあろうとも、
使い物にならない場合が多いのだ。
この某氏の場合も、自分の作品世界を愛し、愛する故に、
他の人の介在を許さないまでに“独自”のものになってしまって
いたのではないか? と思わないではない。
とはいえ、その面白さは本当にすごいものだった。
せめてサイトの復活を切に望むものである。

昼はパックのご飯を温め、ノリのつくだに、きゅうりのキューちゃんで。
シンプルで美味し。味噌汁はカニ汁。冷凍でズワイガニのカニ爪を
買ったが、これを味噌汁の中に放り込むとダシ入らずでカニ風味
たっぷりのカニ汁が出来る。

原稿書き進め。
5時までに一章分完成(400字詰め20枚)。
あと二章、残っているわけだが、書き上げたこの一章が、
今回の作品の、最も大きな展開のある一章であったので
何か大きなヤマ場を越えた、という気になって息をつく。
ここから河井克夫さんに最初に原作を書いて渡したマンガ部分に
つながり、そしてその補助の一章、最終章となる。

5時、家を出て新井薬師。
『ウエストエンドスタジオ』にて劇団ノーコンタクツ公演
『もののけの姫』を見る。
『御利益』に客演してくれた麻見拓人さんの率いる劇団である。
あぁルナから大村琴重ちゃんが今回は客演している。
受付に松原由賀ちゃんがいた。
眼鏡っ娘でいたので一瞬わからなかった。

あぁルナからが今日はじゅんじゅんが来ていた。
で、内容は……というとこれが麻見さんから“内容は他言無用”と
挨拶があったので(笑)。いや、純粋なパロディなんですけどね。
麻見さんの何とも言えないギャグの間(殊に桃原秀寿とのかけあいが
よかった)、ギャグ芝居なのにも関わらず身体張った体技の数々、
狭い劇場の作りをうまく利用した舞台構成と、いろいろ楽しめて、
いい二時間を過ごせた。
ことに、舞台空間の使い方は、これが商業演劇でもなく、映画や
テレビでもない、小劇場演劇ならではの舞台空間利用であって、
ちょっと感服。ややめまぐるしかったかな、という部分はあったが。

役者に、いかにも役者という顔や体格が揃っているところも
よかった。顔が普通の人の芝居はやはりつまらない。
「あ、これは役者以外使い道がないわ!」
という役者が好きなのである。
琴重ちゃんも、最初は“また婆さん役か!”と思っていたが、
ちゃんとその後は男を取り合う(!)シーンもあったりして、
おお、と思う。

で、舞台挨拶終わった後に、何と、“次回予告”が!
次回の公演のワンシーンをそこで演じてみせる趣向だが、これは
今までどこの劇団でも見たことがなかった。
このアイデアは面白い!
次々回予告まであって、それが爆笑をとっていた。

出て、中野まで歩き、とらじで焼肉。
日曜で残念ながらレバ刺しはなし。
とはいえ、塩ホルモン美味く、豚足がねっとりとして非常に美味く、
満足してありとあらゆること話しながら真露小瓶2本あけた。
12時前に珍しく帰宅、メールチェックのみして寝る。
雨でホントは体調最悪だったのを寝る時点で思い出した。
前半は原稿書きに必死、後半は芝居と焼肉でそんなことを忘れていた。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa