裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

21日

土曜日

ギララとウララ

1984年ころにリメイクされていればこのシャレももっと
わかりやすかったんだが……。

※書き下ろし原稿(不捗) DVDデラックス原稿 三才ブックスコラム一部書き直し

と学会の活動をオペラにして舞台にかけるという
話がきて、喫茶店でその打ち合わせをする夢。
そこで横笛を吹いたりする。
妙に音楽づいていた。

朝8時45分起床。
日記つけ、メールチェック。
ゆうべロフトのさいとうさんから来た電話関係のこと、
いろいろあちこちに。

9時、母の室で朝食。
スイカ二切れだが、一晩冷蔵庫に入れるのを忘れていたら、
もう酸っぱくなっていた。この時期は足が速い。
ヨーグルトのアプリコットソースかけのみ。
それとコーヒー。

天気下り坂になり、雨降り出す。
台風が迫っているとやら。
今日は原稿、すすまんぞ、と覚悟。
すすまんとどもならん状況ではあるのだが。

社会派くん号外依頼あり。
ただし今の仕事のツマリ状況から言って、〆切が絶対不可能。
一日延ばしてもらう。

時間、無意義にたつ。
雨降りみ降らずみ、体調上がったり下がったり。
昼は母がオニギリを作ってくれたが食欲なく、
昨日のバーソー飯の残りのご飯をあたため、イカの塩辛で茶漬けを
掻き込んですます(オニギリは夜の間食に食って無駄にはしなかった)。

メディアワークス、書き下ろし原稿。
凄くノッて、アイデアも出ていて、非常に書いてて楽しいのだが
進捗せず、これは気圧のせい以外の何者でもなし、と
気圧のせいにしてはいかんのだが、どうにもこれは仕方がない。
アタマはそれでいっぱい。私のちょっとした事務手続きで
すむことも進まず、オノに連絡してください連絡してくださいで
切り抜ける。

一旦書き下ろし中断して、DVDデラックスの原稿にかかる。
DVDデラックス本誌についているDVDを見てみる。
みひろという名前のAV女優の子のプロ意識に感服、感心。
カラダ張らずにエラそうなこと言うやつらに爪のアカでも
煎じてのませてやりたい。

資料必要になったので、5時、家を出て渋谷の仕事場へ。
雨、大粒の雨粒がぽつぽつという状況なれど、その晴間を縫って
うまい具合に傘とかまるでいらず。
バスで新宿、まず小田急で今夜の夜食を仕込み
それからタクシーで宇田川町。

資料探し開始するが、箱詰めになってしまったと見え
見つからず。仕方なく、次善のものにする。
用事はそれだけなのですぐ帰宅すればいいのだが、
身体が疲れていてボンヤリ、黒澤明関係の本を読んでしまったり。

帰りもタクシー奮発。
とにもかくにもDVDデラックスを、と思ったが、ゆうべの
三才ブックス原稿に一部重複するところあり、
急いでそこを差し替えるためのものをまずやる。

やり終えてからすぐ、DVDデラックス。
珍しく今回は朝日の〆切と重なってない。
書き上げてK子とK谷くんにメール。
ここで9時15分。
完全にエネルギー使い果たした感じ(そんなに仕事して
いないが、そもそも今日は気圧で調子が悪い身体を無理に
動かしていたのである)。

小田急で買った串カツとハモ詰め合わせ(天ぷら、煮こごり、
糝薯、南蛮漬けなど)で夕食。
缶ビール、日本酒コップ一杯、ホッピー。
DVDでハンフリー・ボガートの『東京ジョー』。
『カサブランカ』に東京ローズのからむ話、とでも言うか。
1949年、昭和24年の日本が舞台。
戦前に銀座でバー『東京ジョー』(看板は“東京ヂョー”)を
経営していたジョー(ボガート)は、戦争が終わって日本に
帰ってきたが、なぜか滞在は二ヶ月しか認められず、
店は残っていたが、経営も許されないという。

一方で、ジョーは戦前に結婚していた女性で、東京ジョーの
歌手だったトリーナと再開する。トリーナは今は進駐軍の弁護士と
再婚しており、アーニャという子供もいる(トリーナは米国に帰化
したロシア人)。しかし、アーニャは何故か初対面のジョーになつき、
ジョーはアーニャは自分の子ではないかと思う。

旧友のイトーに、ジョーは日本のかつての有力者だった
キムラ男爵(早川雪洲)を紹介される。戦争中名パイロットだった
ジョーの腕を見込んで、キムラ男爵は韓国へ冷凍のカエルを
密輸することを依頼される。正式に許可をとっていると数ヶ月
かかるのである。ジョーは仕事を降りようとするが、
キムラはある秘密ファイルを見せてジョーに仕事を強要する。
それは、トリーナが戦時中、日本軍に協力して米軍向けの
戦意喪失放送を行っていたことだった。
協力しなければ、このファイルを公開し、トリーナを罪に落とすと
キムラは言い、仕方なくジョーは協力を約束する。

カエル肉の密輸は、優秀な助手の日本人パイロット・カミカゼ
の助けもあって(カミカゼはニックネームで、本名カマクラ・
ゴンゴロー・カゲマサ! 元伯爵という血筋だという設定なんで
こんな名を持ってきたんだろうが)トラブルもなく済むが、なぜか
正体不明の日本人がひとり、乗り込んでいた。

実はこれは試験飛行であって、次のフライトこそが
本当の仕事だったのだ。それは、キムラの陰謀で、韓国に
亡命している戦犯三人を、秘密裏に日本に帰国させること
だった。彼らは日本の軍人と、組織右翼『黒竜会』のボスで、
彼らの帰国によりキムラは日本にクーデターを起こす計画
だったのである。米軍情報部は、ジョーにトリーナの罪を
帳消しにすることを条件に、おとり捜査への協力を要請する。
しかし、キムラもさるもので、アーニャを人質にとって
しまう。もし、三人を逮捕させれば、娘の命が危ない……。

珍妙きわまる日本描写でもっと笑えるかと思ったら、
フィルム・ノワールの香りただよう、案外の佳作
(ラストをハッピーエンドと紹介しているブログもあったが、
私はあれはバッドエンドだと思う。トリーナの姿が最後、
ぼやけておわるのは……)。日本を舞台にした似たような
映画にジェームズ・キャグニイと『東京スパイ大作戦』(45)
があるが、あれに比較すると日本への理解が段違い。
やはりこの時期はハリウッドにも戦争で日本に駐留し、
この程度まで正確には日本を描ける知識があるスタッフが
多かったのだろう。ヒロインが住んでいるのも
中野コマエチョー(狛江町?)などと細かいし。
とはいえ、日系役者たちのカタコト日本語(早川雪洲含め)
はわざとやっているのだろうか。ヒロインの家の女中役の
カモ・キョーコという女優だけが、やたら流暢な日本語を
しゃべっていた。

ボガートの親友役で、テル・島田が出ていた。後にボンド映画
『007は二度死ぬ』で大里社長の役を演じるが、あれと
並んで、俳優生活で最も大きな役だろう。
明日のネタをもう一回さらって、1時就寝。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa