裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

18日

水曜日

宮崎をどげんかせんといかん(鳩山法相)

で、死刑執行、と。

※書き下ろし原稿 楽工社打ち合わせ 朝日新聞書評委員

横浜のベイ・ブリッジの夜。
水路にかかる橋の上でテリーや岡っちが芝居の稽古をやっている。
一方で防波堤の上では映画の撮影。
滝田裕介が顔面に大けがをしたメイクで出ている。
私はそれらを眺めながら、倉庫街前の露店をひやかす。
漢方製剤などを売っている露店の転院がチャーリーブラウン。
マンガではなく、本当の人間だがチャーリーブラウンそっくりで
身長も高い。かなり気味が悪い。
……ひさしぶりに夢らしい、脈絡のまったくない夢だった。

朝8時半起床。
空梅雨か、今日も晴れ。
9時朝食、スイカ二切れ、ヨーグルトに到来もののアプリコットソース。
人参のスープ。

亀井静香、保坂展人などの死刑廃止議連が、鳩山法相に
宮崎勤の死刑に対し抗議書を送ったというニュースに違和感。
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2008061700757
「凶悪事件は減っておらず、死刑制度に犯罪抑止力がないのは明白」
と主張したということだが、実際問題として、殺人、強姦等の
凶悪犯罪は日本においては激減しているのが現状だ。
http://pandaman.iza.ne.jp/blog/entry/515564/
↑ここなどを見ればわかるが、2007年における殺人認知件数は
1199件。55年前、1953年における3066件の半分以下である。
そして、死刑廃止の傾向にあるアメリカの研究で、
「死刑は犯罪抑止の効果がある」
というデータがちゃんと出ている。
http://www.usfl.com/Daily/News/07/06/0611_007.asp?id=53910
「コロラド大学のネイシ・モカン教授(経済学)らが2003年に
データを分析し、06年に同じ調査を見直した結果、死刑を1件
執行するごとに殺人が5人減り、逆に死刑を1回減刑するごとに
殺人が5件増えることが分かった。
01年以降、死刑の犯罪抑止効果について数十件の研究が行われて
いるが、いずれも死刑には犯罪抑止効果があると結論している」
(ちなみに言うとモカン教授は死刑廃止論者である)

死刑廃止運動自体に意義がないとはいわない。
しかし、感情に走り、人権々々と振りかざしているだけでは、
存続論者からこういうデータをつきつけられただけで、
論破されてしまうだろう。結局、その運動のウサンさだけが
印象づけられてしまわないか?

午前中は日記、スケジュール立てなど。
それから書き下ろし原稿、再開。
動きがある場面ではないので、サカサカ進むはずが……
逆にこういう場面では自分の文章力のなさが際立つ気がして
筆が躊躇するのか、なかなか前へと行けない。
たった十数枚のものなのに。

昼は弁当(肉タマネギ焼きのお菜)。
アマゾンで医薬品を買う。
ケンコーマートだと、医薬品の場合、注意事項が呈示され、
それらを読んで承諾の上買うか買わないかを選択するが、
アマゾンではワンクリックで買える。
買っておいて言うのも何だが、いいのかな。
幻冬舎Nくんに、7月末の出版の件メール。
と、共に暮れの件も。さあ、これはどうなるかね。

3時半、家を出て新宿へ。
京王プラザで楽工社オタクアミーゴス本、打ち合わせ。
ちょっと早くついたのでロビーで読書。
作家の大下英治氏(らしき人)が、ソファに背をもたれて
熟睡していた。

待てども人来ず、おかしいなと思って、階下の『樹林』に
行ったら、そこにもう来ていた。
京王プラザ、と言ったら樹林なのか?
私はフロント横のC&Tなのだが。

打ち合わせ、楽工社のK山氏ともう一人、新人の人。
なにしろオタアミの著作と言えば前に出したのが11年前(!)。
それからわれわれも当然変化し、オタクシーン全般も変化した。
ネタは蓄積されているが、それをただ出しても売れない、
と岡田さん指摘。岡田さんらしく図を使ってシステマティックに
説明する。私は全体のコンセプト呈示をやり、眠田さんは
版権やスケジュールのことを気にしていた。
……本当にこの三人、よく言えば役割分担がキチンとしていると
いうか、悪く言えば個性がバラバラというか。

打ち合わせそのものは45分、私が10分遅れて行ったので
正味35分、それでもおおまかなコンセプトと売りポイントと、
本の基礎になるイベントをやることとかがそこで決定。
眠田さん曰く
「充実した打ち合わせだったねえ!」
と。残りの時間でK山さんと、別の共著での私の原稿に対する
質問と、個人の著書との打ち合わせも出来てしまったので、
確かに能率のいい打ち合わせだったと思う。

そこから大江戸線、築地市場駅前。
朝日新聞書評委員会。
前回かなり取ってしまったので、今回は少なめに。
それでも欲しいものがいくつか。
腹がこの時点でかなり空いていたが、
うな重弁当が出たので喜ぶ。
しかも五代目野田岩のもの。
見た目からして、竹葉亭と全く違う、というか、
竹葉亭のうな重はうなぎが横にご飯の上に乗っているが、
ここのは縦に並んでいる(写真参照)。
これはディフォルトでこうなのだろうか?
食べながらジュセリーノの予言の話題など。

前担当Kシュウ、トンデモ本大賞の光デパートさんの
発表がやけに気に入った模様。
「まさかあのネタでバイオテクノロジーにまで持って行くとは」
と。あの力技はちょっとJ・ブラックバーンの『闇に葬れ』を
髣髴とさせるな、そう言えば。

で、今回はなかなか、競り苦戦。
花丸のものは取れたが、対抗が丸ひとつだった(しかも欠席
委員のもので、欠席の場合同点は出席者に回るのが原則)
のは無駄弾を撃ったという感じ。
あと、これは楽勝だろうと一つ丸ですませたところに
やたら希望が殺到したり、花丸でくる委員がいたり。
同点で争った本を相手が絶対譲らぬ、という気迫のH先生だったので
ツイ、譲ってしまったり。
結局、七冊を選んでゲットは四冊。
まあ、かろうじて勝ち越してはいる。

担当Nアニキと打ち合わせ、次の書評をどうするか、で、
某社の本を“これが何と言ってもザッツ・カラサワでしょう!”と。
私にとっては前にこの社の本を諸般の事情で取り上げられなかったので
敵討ちみたいなものだが、しかし今度のも分厚い。

帰り際、H大のM塚先生に
「唐沢さんは料理もなさるんですねえ」
と声をかけられる。私の日記を読んでいらっしゃるらしい。
うへえ、とオソレイル。
アラスカで、Sさん、Hさん、Oさん、担当の方々と雑談。
『裁判員法廷』に登場した某人物のモデルについて、
Sさんとアツく語る。
いや、出版界怪人物伝を書くとしたらぜひとも、入れたい人物
なのである。

夜景楽しみつつハイヤーで帰宅、雑用なんだかんだで
2時近くまで。
風呂場の換気扇のフィルターもごしごし掃除。
最近は暑くて汗をかくので、黒シャツの襟が塩吹くことあり、
帰宅して脱いだら、洗面所で水に浸して、そのまま風呂場に
吊るしておく。常時換気のおかげで朝までには乾き、
汗の汚れも臭いも取れ、シワも伸びている。
オレは何てアタマがいいんだろう、と自画自賛する。

※左竹葉亭、右野田岩。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa