裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

22日

日曜日

アラジンとモーホーのランプ

こすると出てくる……。

※快楽亭ブラック、唐沢俊一、旭堂南湖、名古屋『楽』三人会

夢で『荒野の七人』、クリスが集めたら四〇人くらい
ガンマンが集まってしまう。
「そんなにいらない」
とクリスが言うと、怒った四〇人のガンマンが
公会堂みたいなところに立て籠って銃撃戦が始まる。
が、オリジナル七人のいぶり出し作戦にかかって全滅。

朝7時起床。
入浴し、スイカ、ソーセージパン、アイスミルクで朝食。
旅行準備し、高座着用シャツなどカバンに詰める。
読書用には講談社現代新書で高橋昌一郎『理性の限界』。

9時版に出るつもりが何やかんやで9時45分、マンション玄関
出たところでクール宅急便が到着、仙台『一乃谷』からの
山菜(地震見舞のお礼らしい)と、『ホラリオン』フライヤー。
山菜は母に冷蔵しておいてもらい、フライヤーは名古屋に
数十枚持って行く。

丸ノ内線で東京まで。
銀の鈴で待ち合わせだが周辺がいろいろ出来てにぎやかになった
のに驚く。以前はただのスペースだったものだが。

オノ&マドと待ち合わせ、新幹線11時40分発博多行き
N700系。窓際席はコンセント着きで、パソコンなどで
仕事するのに便利。
もっとも今日は車中ではずっと今日のネタのメモなど(時事ネタ
を入れるので苦労する)読んで仕込み。

東京駅で買った弁当『貝づくし』、炊き込みご飯の上に
炊いたアサリ、シジミの佃煮、小柱の味付けが乗っている。
うまいが、季節が季節だけにアタらないかとちょっと心配。

名古屋は京都や大阪に比べるとだいぶ近いイメージ。
12時半に名古屋着。先に着いた快楽亭とゆめすけさん、
改札で待っていてくれて、用意のバンで『楽』に入る。
すでに受付の準備整い、われわれ一行は下の座敷席を楽屋代わりに。
南湖さんもすでに入っていた。

昼飯の準備もしてくれていて、これが何ともウレシイ卵かけご飯、
もちろん卵は名古屋コーチン。じゃこと牡蛎醤油をかけていただく。
それに赤だしのみそ汁。会の前に出す虫やしないとしては最高のもの。
いや、これは私もプロデュースするものとして常に心がけないと
いけないが、芸人さん呼んだときは、何は足らずとも食い物はふんだんに
しておくことが大事。人間、食わせてもらって文句言うヤツは滅多にいない。
「実に行き届いている会だねえ」
と感服して言うと快楽亭、
「こんなに行き届いて落語も聞いている人なのに、ご贔屓の
芸人がキウイというのがわからなくてねえ」
と。いや、好みばかりは。

なんでも、今回は前売状況が思わしくなく、かなりゆめすけさん、
胃の痛い思いをしていたそうであるが、終盤戦で追い上げ、
いざ蓋をあけてみると、押すな押すなで50人くらい入る
会場に70人からのお客様。下の座席の座布団をすべてかり出して
まかなう、という状況だったそうだ。

さて、開演。二階に案内され、袖の通路を通って(袖があるというのが
すごい。こないだのヨーロー堂でも客の真ん中を通っての出で
あった)、高座にあがり、
「いっぱいのお運びでありがたく御礼申し上げます)と、
“裏篤姫物語”(以前、ラジオライフで書いたネタが元)からはじめて
徳川将軍ホモ列伝、そして紀州へ。以前浅草でやったときに
飛ばしてしまった、
「吉宗はホモじゃないんだけど、演じていたのがあの松○健……も
ちゃんと入れて紀州へのツナギにする」
受けも十分にとれ、いい気分で“キシュー”とオチをやって下がる。

それから袖で南湖さんの『幻燈』を聞き、快楽亭の『道具屋』を
聞く。私は持ち時間30分できちんと下りたが、他の演者みんな
延びて、4時終演のところ、快楽亭が終わった時点で4時5分前。
4時半終演ということにしましょうとゆめすけさんと話し、
休息タイム10分の終りを袖の時計でじっと見ていたら、
急に時計の針が猛スピードでぐるぐる回りだし、見ていた私と南湖さん
仰天。針はぐるぐると回り続け、ちょうど24時間分回ったところで
ぴたりと止まる。聞いたら電波時計で、数ヶ月に一回、このようにして
自分で狂いを調整するのだそうだが、時計をじっと見つめている
まさにその瞬間にこういう動きに突入するとは。

で、三人上がって大喜利風に鼎談。名古屋ばなし、談志ばなし
(金ばなし)などやって、最後は今日子供連れもいたのに
あんな話でスイマセン、また呼んでください、と挨拶して
〆メ。我ながら時間ぴったり、盛り上げて、なかなかの司会進行役
ぶりであった。

それから、お客だし。サインを求められたり、握手攻めにあったり。
みなさん喜んでいただいたようでよかった。
なんとQPさんKANAMEさん、それから川瀬ゆきこさん一党などが
わざわざ東京から見にきてくださっていたのに驚き。
明木先生も風邪気味とおっしゃっていたので心配していたが
いらしてくださった。
階下では快楽亭のCDや私の単行本(『魂食』『雑学授業』など、
なぜかおぐりがらみのものばかり)を売っていたので、それにも
サインする。オノが見ていて、“なにげによく売れていました”と。
同人誌を持ってくるんだったな。

終わって打ち上げ、ハモしゃぶ鍋で。
メンツがメンツだけに話題尽きず、ビール、日本酒、焼酎(熊笹焼酎
『野ざらし』というやつ。落語会にふさわしいか)と
やって、まだ時間は早いがかなり酔う。
本日の席亭のゆめすけさんは会が終わるとすぐ、厨房に立って包丁を
ふるわねばならず、気の毒であるが、それでもまあ、乾杯だけつきあって
もらって。なんと、大入りということで出演料に足し前が出た!
こういうことも珍しい。
ゆめすけさんは明日は定休日で、快楽亭と温泉旅行だとか。
「名古屋衆道クラブということで、明日はゆめすけさんとしっぽりと」
と快楽亭やって笑わせていた。

スタッフの和服美人さんにも挨拶に行く(快楽亭が“さすが抜け目ない”
と嫉妬していたとか)。昔からの私のファンもスタッフにはいらっしゃる
そうで、まことにありがたい。
9時ころ、タクシー迎えに来て、快楽亭と乗り合わせ、駅前の方面へ。
三交ホテルというところに私はチェックイン。
酔いですぐに眠るが、12時ころ目が覚める。
仕方なく、小雨の中、近くのコンビニで買い物し、水割り缶を
買ってきて、日記メモつけなどしながら飲み直し、
一時半、改めて就寝。
いや、楽しい一日だった。

※楽屋のモニターで三人のトークの様子
※三人の色紙(以上二つ撮影、ゆめすけさん)
※クマザサ焼酎『野ざらし』軽くて飲みやすい。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa