裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

22日

火曜日

人はパソのみにて生きるものにあらず

ただネットの書き込みによりて生きる(ダメだろ)。

※『週刊現代』電話インタビュー 『創』ゲラチェック

朝9時起床。
朝食優先にて、入浴は後回し。
札幌から帰ったばかりで果物等買ってないから、と
ご飯、ワカメ味噌汁、目玉焼き、タラコ。

自室に戻り、入浴。昼前くらいに『週刊現代』から
電話あるはずなので急ぐ。入浴中にかかってきたので
少しあせるが、阿部能丸くんからの新年挨拶の電話だった。
12時半くらいに、電話コメントインタビュー。
広辞苑の間違い発見について。

『創』対談ゲラチェック。
これも朝からコチコチと片づけ、昼過ぎにバーバラの元へメール。
日記つけ、その後も仕事山積なのだが、つい逃避で、ベータの
テープ整理などしてしまう。
潮健児さんの遺品のビデオなどもある。

昼は一昨日買ったシャケの塩焼きをほぐし、
これも一昨日のご飯と炒める“シャケ炒飯”。
ニンニクとタマネギを炒め、硬くなったご飯を入れて酒でほぐす。
黒胡椒をたっぷり振り込み、最後にキュウリのキューちゃんを
汁も一緒に入れて炒める。
元は何に書いてあったレシピだったろうか。
中学生のとき、初めて自分で調理して、弟と一緒に食った料理。
なをきはその美味さに感服して、親戚などにもこのシャケ炒飯
のことを吹聴していたが、今食って美味いと言うだろうか。
私は懐かしさもあって、実においしくいただく。

今日は珍しく打ち合せ等予定なし。
講談社M新書との会議の予定は来週以降にトンだ。
とはいえ雑用もあり、3時半、家を出てバスで渋谷。
車中、書評用読書。朝日で取り上げるにはちょっと軽い本だが
しかし取り上げたい本ではある。どういう扱いにするか。

渋谷仕事場、マンション一階の郵便受けがペンキ塗り替え。
そうか、それで各階に臨時の郵便受けが備え付けられていたのか。
冷えきった仕事場で少しメールチェックなど仕事。
朝日新聞社『論座』からの依頼説明FAXなどに目を通す。

新宿に寄って明日の相模大野行きのロマンスカーの予約を
するつもりが、東急本店で買い物したので、ついうっかり渋谷行き
バスに乗ってしまう。
帰宅して、原稿用資料DVDなど見る。
原稿も書くつもりだったが、結局見るだけ。

9時半、夕食の準備。
摘み菜の和風サラダと、釜揚げ桜エビ、それに何故かカツサンド。
発泡酒とホッピーで。
ビデオで『スタートレック/ファーストコンタクト』(1996)。
地球人と異星人のファースト・コンタクトを阻止しようとする
ボーグを追って21世紀(この作品の設定では過去)にタイムトラベル
するエンタープライズ号(新)クルーたち。一方、データは
ボーグにとらわれ、ボーグ・クイーンによって改造されてしまう。

過去の世界へのタイムトラベルという、スタトレお得意のストーリィ
と、エンタープライズ号内でのボーグたちとの戦い、そして
データとボーグ・クイーンの頭脳戦という三つの主要ストーリィを
平行して描き、最後にひとつにまとめるという手法が見事。
管見では『スターウォーズVI・ジェダイの復讐』あたりで
見せ所を多くするために取り入れられることが多くなった手法だが、
この作品で完成されたかな、という感じ。

ただし、ピカード艦長がボーグに同化されたというエピソードは
テレビでのものなので、映画化作品のみを追っていると意味が
わからない設定がいくつかある。……しかし、もはやアメリカ人
にとっては、スタートレックシリーズの設定は共通の認識事項
なのだろう。監督はライカー副長役のジョナサン・フレイクス、
脚本のリック・バーマン、ブラノン・ブラーガ、ロナルド・D・ムーア
らも、みんなスタトレシリーズのプロデューサー&ライター、
すでにスタッフや出演者たちも巨大なるスタートレック一家(という
より一族)を成しているという感じである。

ピカード艦長が自分を改造したボーグへの復讐心のため、
部下までを危険にさらす行動に出て、それを21世紀の人間に
指摘され、『白鯨』のエイハブ船長の台詞を引いて自分を戒める
シーンがある。後にピカードはテレビムービー版の『白鯨』
(『モビー・ディック』1998)でエイハブ船長役を演じるが、
このシーンからのインスパイアによるキャスティングだろう。
『モビー・ディック』は大したことない作品だったが。

やはり過去へのタイムトラベルシーンが、私の大好きな
『スタートレックIV故郷への長い道』(1986)を思わせていい感じ。
人類初のワープ航法発明者で、未来(新スタトレの時代、24世紀)
では英雄視されているのに、実際は飲んだくれのロック爺いである
コクレーン博士を演じるジェームズ・クロムウェルが大好演。
彼とカウンセラーのトロイが飲んだくれるシーンも面白い。
ラストは予想がつくが、しかしオリジナルシリーズファンへの
サービス満点の設定であり、非常に好感がもてる。
日本のリメイクものに欠けているのは、こういう、オリジナル作品への
敬意なんだよなあ。
クロムウェルは『クイーン』でエジンバラ公を演じた俳優。
本人自身、ヴィーガン(完全菜食主義者)で、ウェンディーズの
前で肉食反対デモをやって逮捕されたりとかしている、かなりの
奇人らしい。

ホッピー一本半。
ベッドの中で本読んだりしながら、就寝2時。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa