裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

20日

水曜日

キモカワ筋衛門

あんなに痩せてるのに可愛いなんて、キモ!

朝方の夢でずーっと室井佑月のことを。なんで彼女が(失礼ながらあの程度のキャラで)テレビや雑誌であそこまで重宝されているのか、そこらあたりを考えていたら、夢にまで見た。いや、あの程度のキャラに自分をとどめているから売れているのか。

9時、クリーニングのご用聞きのチャイムで起きる。また寝坊。二日続けて朝食を遅らせてもらい、母に
「おそようございます」
という古典的シャレを言われる。昨日今日と暑いようなのでスープがまた冷製に戻った。スイカ、いよいよ今日で終わり。夏は過ぎぬ。

K子と旅行の件を話していたら、明日からと改めて知って仰天。明日はテレビ(毎日放送)の録りが入っちゃっているのである。オノが旅行の日程をカン違いしていた。あわてて連絡、各所にお詫びと、明後日能登に直行の飛行機の手配。冷や汗をかく。

11時、家を出て渋谷へ。45分にTBSラジオI井くん、イニャワラさん、オノと、新番組内容打ち合わせ。まずは腹ごしらえとチャーリーハウスでランチ。定食(春雨炒め)と小トンミン。三人にここの店の由来因縁を食べながら説く。見ると、私等のすぐ後から入ってきた男女が、昼からビールと腸詰め、鶏とキウリの和え物でいい機嫌になっていた。
ちょっとうらやましい。

その後、時間割に場所を移して打ち合わせ。深夜番組のあの味を9時台に出来るだけ持っていきたい、ということと、ブジオ的なものを合わせたい、という基本路線は決まっているものの、サテそれはどうすれば出来るのか、という具体案は誰にもなし。
「第一回ゲストに中野貴雄さんはぜひ呼びたい!」
というのがI井さんの(強い)意向。中野監督のギャグを思い出すままに紹介したら、オノとI井くんは涙を流して(本当に)笑っていた。

1時間半くらいそのまま、馬鹿ばなしで時間がつぶれ、誰かがふと“ところで番組の……”と言い出すとみんな沈黙。それが数度、繰り返される。煮詰まってきたあたりで、ひょいと、“こういう風な形式でやるとか”と思いつきを口にしたら、イニャワラさんが
「あ、それで“見えた!”」
と叫び、そうだそうだ、それでポケットの形式とブジオの雰囲気が無理なく結びつく、ゲストの選択も楽になる、変に違和感のあるコーナーを作らないですむ、と、驚くほどトントン拍子に話が進み、大体の概要がほぼ10分くらいで固まってしまう。本当に打ち合わせというのは、ジグソーパズルの、最初の一片のはめこみ場所を探しているようなものだな、と痛感。『大人の時間割・唐沢俊一のポケット!』誕生の瞬間に(まあ自分の冠番組なんだから当然だが)立ち会えた気分である。

〆サバヒカル死去の報。劇症肝炎の後遺症(?)らしい。雨空ライポの頃はよくお笑いライブで見かけていたのだが。37歳か。芸人としてつらいところである。心労もあって、それが免疫力低下につながったのではあるまいか。と、思っていたら曽我部和恭死去の報。声優を引退していたとは知らなかった。食道ガン、58歳。『破裏拳ポリマー』のあの絶叫が懐かしい。亡くなったのが17日日曜ということだが、その日、原稿書きに悲鳴をあげながら、気晴らしYouTubeで『銀河旋風ブライガー』のOPを、何故か何度も何度も聞いていた。カミソリアイザック追悼を無意識にしていたわけか。

事務所に戻り、原稿書き。喉が渇いて困った(弁当に慣れていると外食のランチは塩気ありすぎ。夜はビール飲むので薄まるのだが)のであずきアイス食べる。談笑から、談之助さんのお母様が亡くなったとの報せが事務所に。官能倶楽部関係者に連絡し、とりあえずお花を送ることにする。その他事務仕事多々で、今日はオノ、大忙し。

6時、事務所を出て渋谷ネクサス。『文サバ塾』3回目。毎度々々、“オレみたいな人間がエラそうに話すことなんかあるのかいな”と思って赴くのだが、いざホワイトボードを背に立つと、いつものことながら止まらなくなる。オレもたった二十年ちょいしか文筆業経験がない割に、いろんな経験しているなあ。大手の専属になって収入が安定するといった幸運に恵まれなかった故の、これは財産かも。

あっという間に2時間話し(お題は『使えるテクニック・使えないテクニック』)、用意した資料を使う時間が無くなって終了。聞いている人たちの真剣さが伝わってきて心地よい。T社Aさんが聴講していて、“凄い内容です”と言ってくれる。渋谷井の頭線ガード下の居酒屋で打ち上げ&反省会&打ち合わせ。『サイゾー』編集部Iさんから広告原稿用資料受け渡し。NHKに出演していたという山口A二郎さんも来て、トイフェス用のビデオ映像を撮影。

そのあといろいろ雑談。11時半に出て、タクシーで帰宅。安倍晋三政権誕生のニュース、安倍氏得票率7割に届かぬことをどこも揶揄調で伝える。要するにこれって、案外な激戦だったということである。なれ合い無風選挙だの既定路線選挙だのとこの総裁選を批判していたマスコミは、この結果を見て、評価しなければいけないはずだ。それが掌を返してやれ求心力がない、やれ不安な船出だと騒ぐ。本当に、ただ自民憎し、小泉の後継者憎しの感しか伝わってこない。全てのマスコミが日刊ゲンダイ化しているわけでもあるまいに。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa