裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

17日

日曜日

蜂女のキス

仮面ライダーに色仕掛けでせまる怪人蜂女を描いたラテン文学。

台風接近とやらで終日天気ぐずつき気味、こっちも気圧でぐずつき気味。朝9時起床、朝食は半にしてもらって風呂入り、歯磨、洗顔等。
朝食はカボチャの濃厚なスープ、それとスイカ、梨。

ネットニュース散策。ローマ法王の“マホメットは暴力を肯定”発言に怒ったイスラム教徒が教会に爆弾を投げ込んだ、というニュースに、イスラムには悪いが笑う。落語みたいだ。
まあ、言うといろいろさしさわりがあるので誰も言わないのだろうが、この法王の発言には、聞いた人間の多くがうなづいたのではないか。うなづいてからハッとして、これでは自分は文化の多様性を認めない偏狭な人間に思われる、と考え、あわてて非難する方向にチェンジしたのではないか。胸に手をあててみよう。
イスラム全てが確かに暴力的ではないにしろ、現在の世界のテロリズム横行の多くにイスラムの教義が関わっていることは事実だ。911事件はじめ世界各地で行われている自爆テロに対し、イスラム教サイドが公式にこれらに遺憾の意を表したり、テロ犯を断罪したことは一度もないのである。そこをベネディクト16世は指摘したわけで、これに対し怒って謝罪を要求するというのは逆ギレなのではないのか?

食欲なし。弁当のお菜は夜の酒のつまみにすることにして、ご飯だけ、ミソタマゴを作って(マイタケ入り)ぶっかけて食う。

日記つけ。思えば土曜はいろんなことがあったのだなあ。ちなみに半田健人くんはいま、新しいドラマの撮影に入っているそうだ。まだ発表できないとは言っていたが、監督が長谷部安春というと……アレか?

K子から電話、仕事場の郵便受けに入れておいた図版用の雑誌がない、とのこと。たぶん、母が掃除に来て片づけてしまったものだろう。電話して確認するとまさにそう。あちゃあ、である。母が持って帰ってきたいたのでそれを受け取るが、K子は渋谷。仕方ないので夜に受け渡しということにする。

今日は一日自宅仕事かな、と思っていたら講談社モウラから電話、ゲラを仕事場に送ったのでよろしく、と。これまたあちゃあ、で、仕方なく7時半に渋谷に出勤。タクシーに乗ったら運転手さんに
「これからお仕事ですか」
と訊かれた。日曜日の夜に乗った客に滅多にそうは訊くまい。よほど“仕事だよこれから。タルいなあ”という顔をしていたのであろう。

仕事場、モウラ原稿チェックして返送。講談社の校閲は非常に書き手の自尊心を踏みにじるような訂正をしてくる場合が多く(15年前、『パーティ』誌に『蒸気王』を連載したときにそれで毎回大げんかした)、前々回までのここもそうだったが、人が変わって、訂正多々なのは同じだが、指摘の文章がだいぶマイルドになっている。

それを送り返してまた講談社の原稿、週刊現代マンガ評。古屋兎丸さんの『ライチ☆光クラブ』を取り上げるが、短い文章の中でこの作品の素晴らしさを全て伝えるわけにはいかず、ちょっと自分では不満の(こういう短文評には自信があるのだが)ものとなる。

帰宅、母の室で夕飯、サンマ塩焼きと大根の煮付け。サンマはまだ脂が少ないが、やはり美味。大根の煮付けは八角入り。パイデザが日本橋に事務所を引っ越すかも、とのこと。

NHKテレビビッグブルーで、イワシの群れをシロナガスクジラがむさぼり食う映像を見て、悲鳴をあげたくなる。ナレーションでは、普段はシロナガスはアミを食うのだがイワシの方が美味なのでこちらの方を好む、とあった。まあ、だいたいこういう番組はクジラびいきなのだが、水産資源のことになぜ触れない。
普段アミを食うクジラは、そもそも口の造形がアミを食うに適した形(下に向けて口が開く構造)になっている。アミより利口なイワシはそれだと海面方向に逃げてしまうため、クジラは仰向けになり、腹を上にした形でイワシを大量に食い散らかす。ナレーションも“不思議な食べ方”と言っていた。要は不自然なスタイルなのである。最近になってイワシの味を覚えて、それを食うために習得した体勢なのである。早く何とかしないと、イワシが人間の口に一尾も入らなくなるぞ。

自室に戻り、乾きモノつまみでホッピー。獅子児さんからいただいた熊本の馬刺しをつまみに。たてがみが甘いのなんの。ばくばく食っていると太りそうだが。

DVDでロバート・ワイズ『アンドロメダ……』を見る。ドキュメンタリータッチを出すために地味な俳優ばかり使った映画だが、ストーン博士役のアーサー・ヒル、ダットン博士役のデビッド・ウェイン共に、脇役ファンとしてはおなじみの顔で私には嬉しい映画であった。黒人看護婦役のポーラ・ケリーが美人。本業はダンサー兼歌手で、テレビドラマ版『ピーター・パン』でタイガー・リリーの役などをやっていたそうである。

その彼女の尻を触っていたスケベ患者の老人役のジョージ・ミッチェルが、“スクイーズ”を飲んでいた、と言うシーンがある。コンピューターのモニターにすぐ、そのスクイーズの説明が出るのだが、すぐにそういう解説が出てくるというのは、今で言うグーグルみたいな機能か? で、その説明によると、スクイーズとは“エチルとメチルを合わせたアルコール飲料”とある。そんなのを飲んでたら死ぬと思うが。画面の字幕を静止画でよく見てみたが、確かにETHYLとMETHYLという文字はあったがよく文章までは読めない。メチル入りエチルアルコールを加工した飲料と言えばバクダンだが、そんなものがアメリカにもあったのか? ちなみに、見ながらネットの書き込みをしていて、ついこのシーンの一〇分前くらいに、バクダンの解説をmixiに書き込んでいた。えらい西手新九郎である。

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