2日
土曜日
半立ち王子
連投で疲れた? まだ若いのに〜。
昨日就寝前にノドをいたわって、浴室に熱湯を張り、湿気を十分にしていた。そのおかげか、咳は出ず。ただ、タンのみやはり3時ころ、ちょっとからんだ。8時に起床、シャワー等あびて、8時半、階下の
レストランで朝食バイキング。うーん、豪貴の結婚式のとき、ここで朝食バイキングをとって、安い割に豪華で結構、というイメージあったのだが今日食べてみたら安いなりのものだった。スイスホテルとか、神戸ポートピアホテルとかの朝食バイキングに慣れてしまったか。和食を選んで納豆めしと味噌汁。
食べて、11時のチェックアウトぎりぎりまで、ベッドで寝る。スケジュールも今日は移動日ということで何もなし。ならば、徹底して何もしないことを選択。今の私には最高の贅沢である。
モバイルでジンギスカンのうまい店を検索するが、どこも五時から、とか。じゃア、とおなじみの札幌ビール園にする。モモちゃんから電話で、妹を連れていっていいかとのこと。そりゃにぎやかな方が結構。
11時、ホテルを出て、北四条西六丁目のからさわ薬局まで大通公園のフードランドを冷やかしつつ歩く。豪貴が一人で店に出ていた。土曜は隔週で昼までの営業にして、自分だけ出ているそうである。お客がひとり、薬を調合してもらっているのを待ち、その間にモバイルのパソコンでビール園に予約を入れる。
豪貴にノドのことを告げ、薬を処方してもらう。漢方系のものと、あと頓服用にベリコデのせきどめ顆粒を。いろいろとこの近辺のうわさ話。変わらないようでずいぶん変わる。母の話、K子の話。辞去して、時間があるので、さらにゆっくりしようとマッサージの店を探す。モバイルで検索して(しかしこういうときには便利だね)駅前に『なごみ』というよさげな店があることを知って、そこに行く。あいにくいっぱいで30分ほどかかるというので、予約のみして、千歳行きの時間を確認しに駅にもどる。信号待ちのところで、隣にならんでいた大学生ぽい人が、うわ、と声をあげ、
「唐沢俊一さんですか。何でこんなところにいるんですか」
と言ってくる。何でって、まあ、いろんなとこに行くこともあります。私の場合、姿形がテレビで観るそのままの格好なのでUMAなみに驚かれるのだろう。
出来ればのんびりバスで千歳というのもいいな、と思ったが時間がどうもキュウキュウぽい。やはりスカイライナーがいいようだ。それだけ確認して、『なごみ』に戻る。個室にくぎられていて、床に敷かれた布団に腹ばいに寝て、女性のマッサージ師さんにきつめに揉んでもらうシステム。暗めの照明といい、なるほどリラックス出来そう。足の裏(ことに親指の第一関節の裏側)を揉み込まれたときには痛さに思わず悲鳴をあげたが。
一時間コースだったがあっという間。途中で寝ていたかも。ゆっくり身支度して、サービスのジャスミンティ飲んで、ゆうゆうとタクシーでサッポロビール園。受付のところで少し待つ間に、オミヤゲをいくつか買う。やがてモモちゃん、妹さんと一緒に。妹さんとは初対面。まだ18歳。三日後に試験だというが、ぜひに、とねだって来たそうな。
席に案内され、東京の話、オタクの話、高校生活の話など、いろいろ聞きながらジンギスカン。最近のブームによるヘルシーなものでなく、昔ながらの圧搾肉のトラデショナル・ラムを。
野菜類をなべ底に敷きつめ、その上に冷凍肉を並べると、溶けた肉汁が鍋に垂れて熱せられ、蒸気になって野菜と肉を蒸し、肉からは余分な油が抜け、野菜には味がつき、結構なものとなる。
昔はいきなり肉をジュージューと焼いて喰ったものだが、そうすると油がきつくて、必ず胸焼けをした。私はそのうち、この蒸し焼き方式で油を落とすことを発見したが、幸島のサルのイモ洗いではないがこの発見は同時期に多くの人間が思いつき、みんながやりはじめてポピュラーなものとなり、現在ではビール園のジンギスカンの喰いかたの基本方式になっているようだ。客も進化するのである。
食べ方ばかりではない。いろいろと変わった。まず、鍋がガスでなく電熱式になった。それから、鍋底が平たくなった。油がハネないように、だろう。そして、煙がどんどん四方に吸い込まれていく無煙式ローストになり、昔のように、ビニール袋に上着やカバンを詰め込んで匂いが染みないようにする(ま、無駄な努力なのだが)サービスもなくなった。年々歳々花相似たり、歳々年々ジンギスカン同じからず。ただし、そうやって蒸し焼きにした肉をタレにつけてほうばると、昔ながらの、これは変わらぬ甘味たっぷりの羊肉の味。おろしニンニクを頼んでタレに入れるのは、最初に誰がやっていたのを見て真似したのだったっけ。
生ジョッキ中、それから小ジョッキのみのサッポロクラシック、さらにワインを頼んで。飲みかつ食い。2時間ほどですっかりでき上がってしまった。タクシーでそれでも女性二人を送り、駅でスカイライナーの指定席チケットを買い、乗り込んで車内でのドタバタ(足の悪い老婦人が間違えて指定席に座っていたのを、後できたその席を買った人が“あ、立たないでいいです”と制して自分は自由席に行ったが、その後で来た検札係が規則だといって無理に彼女を立たせてその席を買った人を探し回るという騒動)を遠目で見ていたが、もうそこまでで、後は千歳空港までずっとグーと寝たまま。
千歳空港で飛行機に乗って、これもジュースサービスまでは起きていたが(機内放送の寄席で神田陽司さんが『競走馬物語』をやっていた)、その後また前後不覚。眼が覚めたときは眼下に(やっぱり窓際)東京の夜景が見事に広がっていた。タクシー使って帰宅。急いで『ポケット』の挨拶文のみ書き、ベッドに倒れ込んでグーと寝る。いくらでも寝られる。
起きたのが10時ころ。半身浴を1時間ほど使って、またベッドに、とにかく全身を休ませようと、意地で寝る。また、寝られるんだね、これが。