裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

9日

土曜日

立ち飲み屋正仁親王殿下

いやあ、皇族なのに庶民に交わってこういところでお飲みになられる、えらいお方だよ。

変な夢(しかも長い)みたので何となく睡眠不足、8時半起床、あわてて入浴、9時朝食。アスパラガスのスープとスイカ。スイカが甘くて切れも大きく大満足。しかしスイカが好きな男だ。健康のために、ある母のアイデアを私も実験することになる。

自室で原稿、日記等。山田誠二氏の『化猫魔界少女拳』がスペインのシッチェス(シトヘス)国際ファンタスティック映画祭で上映されるらしい。私のあの演技もスペインのホラーファンたちの目にさらされるわけである。今度スペインに行って、サイン求められたらどうしよう、などと考えてニヤニヤする。
馬鹿である。

弁当使う。焼き肉と卵焼き。カニ味噌汁の素で作った味噌汁にナスを具として入れる。mixiのニュースなど眺める。郵政改革について
「11県149局で集配打ち切り」
という時事通信社の見出しに呆れる。
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=84240&media_id=4
マスコミの、勝ち逃げ小泉に対する最後の悪意か。よく読めば集配業務の合理化に過ぎない決定を、あたかも弱者切り捨てで郵便が来なくなったり、出せなくなったりする地域が出来るかのようなミスリードを誘おうとしている。
「小泉首相は国民を上っ面の言葉で騙そうとしている」
という文句はそのまま、こういうマスコミの上に投げ返せるのではないか?

1時、家を出て池袋。新・文芸座(文芸“坐”が正しい表記、とmixiで指摘あり)事務所にて永田支配人、文芸座Hさん、それに瀧川鯉朝くん、と学会IPPAN大会運営委員長と会談。新・文芸座の企画として、『トンデモ映画祭』をシリーズでやっていこうというもの。私が司会で、毎回、会長や皆神さん、植木さんなどの推薦する映画とトンデモ講義でつなげていく形はどうか、と提案する。ついでに、金沢21世紀美術館でのイベントについてもちょっとお願い事。快く受けてくれる。

思えば大学時代、大学での勉強など一切放ったらかしでこの文芸座、文芸座地下、ル・ピリエを学校にしたかのように通い詰めていた。その経験を無駄にしていないなあ俺は、とちょっと自画自賛。困った自画自賛だが。

鯉朝くんは、真打披露興業でいくばくかの黒字が出て、それで東映の『怪談せむし男』(西村晃主演、佐藤肇監督)をニュープリントしたい、と言っていたが、聞いたら白黒映画というのは普通のカラー作品に比べプリント代が1.5倍増しなのだそうだ。現在、白黒フィルムというのは常時生産されておらず、特注になるからである。それでちょっと悩んでいるようだ。

一応永田さんとの打ち合わせ終わり、風俗店ばかりになった文芸座近辺を歩いて、近くの(昔ながらの)喫茶店に入り、ちょっと詰めの打ち合わせ。
「昔池袋にはトーストとゆで卵食べ放題の喫茶店があったがオタク族がそこに一日居座ってトーストを食べ続け、とうとうその店をつぶした」
とかいう伝説(?)を聞く。そんな話をしていたところだったので、メニューにジャムトーストがあったのを見て、つい注文してしまった。IPPANさんとは運営委員との連絡、また大賞の件を。鯉朝くんとは末広亭の件を打ち合わせ。

別れてJRで新宿まで行き、タクシーで渋谷の事務所。明日のと学会例会に持って行くものをちょっと探す。それから帰宅。『ポケット』用の挨拶文、アップしていなかったことに気づき、あわてて書いて送る。今回は間に合うか?

それから原稿書き、『Memo・男の部屋』、5枚。8時までの2時間で書き上げる。内容はまずまずのものになったと思うが、一ヶ所、
青木正児の『華国風味』(岩波文庫)からの引用が必要なところあり、自宅で資料が探せなかったので、記憶で書いたが、ネットにも正確なそこの部分の引用がなく、何となく気分が悪い。ほんの小さな引用だが、小さいだけに魚の小骨がノドに刺さったようで気になって仕方がない。二度手間でタクシー代もかかるが、気分をスッキリさせるために事務所に行き、出典を確認。
まず『華国風味』の本、思った場所にあってすぐ見つかり、かつ記憶していた箇所のページをめくると、まさにその引用箇所がすぐ見つかり、またその内容も極めて正確であった。非常に気分がよくなる。

母が私のさっき帰ったあとに来て、机回りとかを片づけてくれたようでスッキリしている。そこでしばらくいて、9時10分、家を出てタクシーで下北沢。運転手さん、茶沢通りと淡島通りを間違えるという失態をおかすが、その“ありゃいけねえ、間違えちゃった!”という言いかたが可笑しく、腹が立たない。300円引いてくれた。

『虎の子』で九州から明日の例会に参加しに上京したぴんでんさんと獅子児さんの歓迎会。K子とアシスタントのしださん来る。水ナス、マイタケの豚肉巻き、白身魚のガーリックソテーなど頼むが金曜日の、しかも大混みなので切れている料理多し。酒は磯自慢。K子が“一番安いの!”と。ぴんでんさんは焼酎を
「天弧盛りで」
と頼んで、来たのを見て“こんなのは天弧とは言わない”と不満そう。まだ東京では酒のてんこ盛りというのは一般的でないのではないか? 獅子児さんからは熊本の馬刺しをおみやげに。オタクの結婚論を語り、かつてのAIQの名物男の話などでも盛り上がる。ちょうど、調べものでネット検索していて、彼のサイトを久しぶりにみたばかりなので懐かしい。明日が早いので11時解散、帰宅して水割り缶小一本で体内アルコール濃度を調整、寝る。

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