裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

27日

木曜日

メリーさんの出自、出自、出自

 伝統あるわが家に羊飼いの娘を嫁になど、許しません! 朝7時起床、ベッドで読書、入浴。8時朝食、バナナ一本とリンゴ二切れ、ブロッコリの冷ポタティーカップ 一杯。

 海老さま顧問居残りという報に膝を叩く。昨日の辞任のときの顔が妙に“いい人” の顔で、母など
「ああ、やっぱり権力欲を捨てた人はいい顔になるわね」
 などと言っていたのだが、私はいや、まさかこの男がそのままスッキリ今の地位を手放すわけはないと思っていたのである。昨日の今日でもうこういうツラリとしたことを発表するとは、実に悪役らしくていい。悪党であれ人殺しであれ、キャラ立ちを している奴は憎めない。

 9時家を出る。コンビニで週刊誌、納豆など買い物。昨日は店に入って棚をみたら 黒豆納豆がなかったのでそのまま出たのだが、
「なんですぐ出ていっちゃったんですか」
 とスネられる。バーとかじゃなし、そんなこと言われてもな。久しぶりにバスで通勤。客の顔というか種類があきらかに地下鉄と違う。なんというか、第一線でないと いうか。

 仕事場で雑用しばし。トリビア四コマ、早めに次回のネタ出し。お題が季節モノでバレンタインデーと決まっているので。昼はオニギリ(貝柱飯)、黒豆納豆、アサリ 汁。正月太りは無事解消、ベスト体重に。

 2時、神宮前京セラビル『ザ・ワークス』本社。地図上で言えば私の仕事場から歩いて7〜8分の距離なのだが、JRの線路をはさんでいるので、大回りしていかねばならず、くたびれる。講談社FRIDAYのK副編集長、担当Tくんと。

 もともとこのザ・ワークスと結びつけてくれたO氏いないのでちょっと話進まず。と、いうかややこんがらかる。向こうも腹芸見せる。ちょっと気圧される感じ。なんとか言質与えずに、来週もう一回打ち合わせ、ということで引き下がる。やはり相手の縄張り内に足を運ぶと、それだけで不利。K副編集長と近くの喫茶店で少し話し、 帰宅、すぐO氏から電話。善後策を立てる。

 フジテレビ『ポンキッキーズ』から電話。Nと言いますというから、ポンキッキのNと言えばあのNさんと何か関係が、と(SFマニアなら必ず頭に浮かぶことを)訊 いたらいや、全然と笑っていた。よく訊かれるらしい。

 話はポンキッキではなく、3月にフジ『広告大賞』の解説者として出演お願いできないか、という電話。フジテレビでは例の番組以外では久々の大仕事、よっしゃと引き受け、かなり意気上がる。テレビの仕事増やすのもモノカキとしては善し悪しなのだが、春の時期の特番出演依頼もこれで三局め。こうなるとコンプリートしたくなる のがオタクの性というもの。

 お仕事もひとつ、学研の女性誌からインタビューの依頼。こないだクリクリで話のあった皆神さんのお仕事の件も正式に依頼が来た。スケジュール管理がもうパンク状態か。マネージャー必要かなあ。編集氏と約束している週刊誌の連載用に極力空ける ようにしているのだが。

 TBSのK氏から花まるマーケットのサイン入りエプロン届く。前に酔ってK子がねだったのである。幻冬舎原稿にかかる。こういう状態でかかるのはよくない原稿で あるな、と思う。意識がとっちらかる。まあ、書いていて楽しくはある。

 7時家出。K子と待ち合わせて東横線。ひさしぶりに武蔵小杉『おれんち』。おまかせで十分に味わう。突きだしがおから、それから芝エビの唐揚げ。自家製くんせいホンのちょっと。お造りがホタテ、ホシガレイ、マゴチ、すずきなど。カマス、キンメ、イカの西京焼き。つみれあげ。なまこ酢、珍しい焼きなまこ。焼き空豆、酔蟹。 最後の〆は蕎麦で。

 ファンからサイン求められる。私の日記でこの店を知って常連になってしまった人で、このおれんちばかりでなく、『バジリスク』のファンにもなり、さらにこないだはうわの空に初めていき、それにもハマッて、土曜にもう一回行くと予約したそうである(おぐりさんもいいですが尾針さんもいいですね、とのこと)。これくらい影響されてくれると日記を書くにも力が入るというものである。じゃあ次はミクシィにお 入んなさい、おぐりも尾針もいますよ、とこっちにもハメる算段。

 日本酒三合にビール、ちょっと酔って立とうとしたら、カウンターの並び席にいた 人が、
「実はボクもファンです」
 と告白してくれる。俄然後援会武蔵小杉支部の様相を呈する。帰り道、途中でカバン忘れたことに気がつき、引き返す。往路も復路も、この長距離をまるで気にせず行き来しちゃうのがこの店の不思議。帰宅、いろいろ面倒なことはあれど基本的前向き というところか、などと意味不明なことをひとりごちつつ就寝。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa