裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

19日

水曜日

夏コミ夏コミまをす

 もろもろの、をたくのまがごと、つみけがれを御台場なるびっぐさいとにて、祓ひたまへ清めたまへと。朝7時起床。入浴、湯の中に身を沈めいろいろ思うこと多々。朝食8時。リンゴとポンカン。NHK番組圧力疑惑、一転して安倍晋三もNHKも反撃に出て、朝日不利の状況。なにやらプロレス試合を見るが如し。日記つけ、メール連絡して出勤。

 午前中はまだテンション上がらず。昼はオニギリ(シャケ。最近こればかり)、黒豆納豆、豚汁。午後やっと原稿にかかる。GBコラム5枚、書き出してみるとアッと いう間。編集部H氏とイラストのツチダマさんにメール。

 それからモノマガジン、6枚。書きかけていた原稿に手を入れて完成させる。ワークスのカンさんに四コマ原作の件でメール、なかなかこっちの意志が伝わらなくて数回やりとり。その間にフラワーショップ花代に電話、あすのうわの空公演に送る花の 手配。

 朝方だが、ちょっと私の中で大きな今年の個人的目標となっている某企画の関係者からメールが来ていた。いい報告(と、その関係者は脳天気に思っている)なのであるが、私にとっては、こちらの主体性が少し失われたことを意味するやや残念な内容だった。外部的にはうまく言っているように見えるが、内情はまだまだであることは 私が一番よく知っている。

 しかしまあ、ここであせるまいと自分に言い聞かせる。外部的にうまく行っていると見えるということは50%はうまく行っているということだ。急がずあせらず、正攻法で自分の陣地を築いていくこと。今年前半は相手サイドにいい目を見せるだけでよろしいと心を決める。最終的な結果を得られればこちらは文句ないのであるから。

 雑用すませ、6時タクシーで新宿に行き、サウナ&マッサージ。休息室のテレビで見たBBCニュースで、リトアニアでかつてのスターリンやレーニンの銅像を集めて遊園地を作ったキノコ栽培業者に、かつて弾圧されていた人々から苦情が出ていると いう報道をしていた。

 ちゃんと遊園地の脇に資料館も作られ、かつての共産主義時代の資料なども展示されて貴重なソ連政権下の記録となっているのだが、その時代にシベリア抑留を経験した人々からは、そういうものを記録に残すこと自体がスターリン賛美復活のきっかけ になりかねないと言われているという。

 私は絶対に記録は残すべきだと思う。どんな偏った記録であれ、歴史は記録されるべきであり、それをどう読みとり、分析し、利用するかは個人の自由である。個人の快・不快で残す記録を取捨選択しようということは歴史に対する冒涜になるだろう。 マッサージは50代のおばさん。
「あら、疲れているのね。飲み過ぎ? ダメよそれじゃ」
 などと揉まれながらお説教されるのがオモシロイ。

 終わってタクシーで神宮前・創作料理隠れ野原宿店。テレ朝『鈴木タイムラー』新年会。一階のブックオフでCD安売りをしていたので6000円ほど買い物したら、少し遅れてしまった。すでに会場には40人近い人が参加、朝4時台の番組とは思えず。カンさん司会で、金剛地さん、島根さん(¥ジェルスコーナー司会)らと一緒に挨拶させられる。金剛地さんも島根さんも、番組のあの格好とは全然違うリラックスした格好なのでちょっと見違える。少し遅れてきた津島さんはさすがに番組そのまま の美しいお姿。

 乾杯に先立って、カンさんから視聴率の件が告げられたので、一座のテンションが妙に上がり、やや常軌を逸する盛り上がりとなる。ことに普段はどちらかというと知性派ディレクターのIさんの盛り上がりぶりは、一次会のものでなし。三次会くらいのノリ。一部ではあるが狂乱状態と化す。まあ、それもやむなし。なにしろ去年の最終放映回の視聴率、3.5パーセントいったというのだから。その場にいた関係者全員がちょっとドヨめいた。これまた、朝4時台の番組と思えぬ数字である。

 11月に2パ行ったときも驚いたが、まあ、それくらいは他に見るべき番組もあまりない時間帯だし、それくらい行くかといった感じだったのだが、さらに1.5パ増しとなるとちと驚異、いったいなんでこんなに上がったのか(新シリーズ第一回の視聴率は1.3パーセント)、関係者もちょっと分析しかねているようである。チーフ ディレクターのTさんまでが
「なんでかね?」
 などと言っている状況である。まあ、何にせよ景気のいい話ではある。

 制作の某氏が奈良県事件の小林薫にそっくりだ、と金剛地さんたちが騒ぐので、カンさんは金正男に似てますよね、と私が言うと、みんな、あ、そうだ、似てる似てるとまた大喜び。
「私やおぐりはカンさんのことをムスコさんと呼んでます」
「本人はヨンさまと呼んでほしがってるんです」
 なるほど、名前はヨンミンなのでヨン様ではあるのだが。

 金剛地さんはスタジオ収録と外部ロケを含めると、一週間の大半をこの番組にとられているそうだ。大変である。エプソンのCM(出てるのを見たときは驚いた)の話も聞くが、なんとあの衣装は自前で、この番組が始まった時点(4月)で誂えたもの だそうな。衣装を用意してくれないCMというのも凄まじいが、
「まあ、番組と同じ衣装で出られるのは宣伝になるかなと思って」
 とのこと。あと、
「唐沢さんはどこの劇団におられたんですか」
 などと聞かれた。ド素人とは見破られなかったらしい。ちといい気分。

 スタッフたち、コミビアコーナー面白いと褒めてくれるので、どこが印象に残っているかと聞いたら、一様におぐりが白衣脱いでワンピになり、カメラの前で前屈みになった回での胸チラでハラハラしたと。それはただのエロ視線ではないか。

 そのおぐりは舞台の仕込みが終わって10時半ころやってくる。ヘアメイクのKさんとIさんがディープキスしている場面を眼前で見て呆れていた。まあ、私もノリでこの二人とキス(ディープではないぞ)しまくったが。音響効果の女性が優香そっく りな美女なのにもおぐりと驚く。

 カンさんには軍隊時代(韓国はいまだ兵役義務がある)の話を聞く。
「大変に勉強になり、今の生活にも役だっていますが、二度と行きたくないデスネ」
 と。韓国で流行りのバカ飲みも教えて貰った。真露をポカリスエットで割る飲み方で、吸収がいいので一発でベロベロになり、“ピョンガリ(べろべろ、とかめちゃく ちゃ、の意)スエット”と呼ばれているとか。

 11時半、一本締めで解散。Iさんはすでに裸足になり、ズボン脱いでパンツまで見せようというノリ。これでビールしか飲んでないとは信じられない。新宿まで、山手線でおぐりと。公演のこといろいろ聞き、こっちもちょっといま進行中の企画のこ とを話す。若い女性と一緒なのに仕事の話ばかりとは色気がない。

 帰宅、いろいろ雑用残っているがめんどくさくなって、全て明日のこと、と思い、寝る。気がついたが、今日の新年会、会費制なのに徴収されなかった。忘れていたの か、あるいは3.5パ取ったお祝いでワークスが出してくれたのか。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa