20日
水曜日
ミスマッチマーヤの冒険
マーヤ、あなた本当にそんな変な格好で人前に出るの? 朝7時45分起床。明方見たのはかなり幻想的な夢で、どこまでも続く広大かつ荒涼たる砂丘に、焼け木杭のようなものが無数に立っている。この杭がよく見るとゆっくりと移動している。砂丘の砂の下には数え切れない数の亀がおり、その甲羅に杭が立っているのだ。この砂丘は人類の情報全てを記録している天然のコンピューターで、焼け木杭一本々々が記録端子の役割をしており、亀の移動によってその全体の位置を変化させることで(ここらへんよく意味がわからぬ)データを読み取れる。ただし、なにしろ亀なもので移動のスピードが極めて遅く、一件のデータを呈示するまでに十数年かかる。やはり自然というのは悠揚せまらぬものだと半ば呆れながら感心したところで目がさめた。
朝食はマカロニサラダとトースト。果物はバナナとイチゴ。鈴木宗男のドウカツ録音テープというのが何度もテレビから流れる。“〜したんでないか”という言い方は典型的な北海道訛りで、私の小学校時代の最初の担任だったシモダイラ先生の口癖であったので懐かしく感じる。北海道弁というのはどうも恫喝にも迫力がない。
遅れに遅れているWeb現代をとにかく一本アゲ。背中に鉄棒が突き刺さったように重い。天気はいいのだが。昼は寿司屋でもらった(すがわらへ行った翌日の昼はまずたいてい、これ)稲荷寿司。それだけでは寂しいのでサヤエンドウで味噌汁を作って、あとセロリとエリンギを炒めておかずにする。背中ますます重くなり、マッサージを予約する。ゲラチェック、日経エンタ、コミックス解説原稿。外出しようと玄関を出たら、NHKの車両出口のところに女子中高生の群れ。フェロモンの靄がかかっていそうな雰囲気である。誰の出待ちか。
帰宅、山本会長のサイトの掲示板に書き込み。例のガス室はなかったの西岡昌紀氏が同じような内容の文面を何度もアップしている。この人の問題点はそのとなえている説そのものではなく、本人の性格というか人格というかの方ではないか。非常に幼稚くさいのである。……幼稚、と言えば、と思い出したが、“動物ヨーチ”なるお菓子のことを下記のサイトで取り上げている。動物型をしたビスケットに色砂糖を塗った、見るからにマズそうでしかも本当にマズい菓子である。あの色砂糖というの、せんべいに塗った気味の悪いのもあるが、あれもモトはこのヨーチ菓子だと思う。
http://www.ne.jp/asahi/100yen/rumba/jimi1/bijutugashi.htm
なんで“ヨーチ”というのか、と思って調べたら、明治時代、イギリスのキンダーガートンビスケットというのが輸入されたとき、それを直訳して幼稚園ビスケットとし、その園がいつの間にか取れてヨーチビスケットになったという。なるほど、そう言えば以前ロンドンの菓子屋のケースに並んでいたクソマズそうな菓子にも、あの色の砂糖がかかっていたな。元祖はイギリス菓子か、それではマズいはずだ、と思ったら、イギリスのキンダーガートンビスケットはただアルファベットや動物の形をしているだけで、砂糖はかかっていないとか。何なんだ。
仕事続ける。アスペクトの単行本のコラム書き、遅々として進まず。ちくま書房のM氏から電話、ちょっと口頭でお伝えしたいことが出来たので、と明日打ち合わせの件を約す。なんで電話で言えないのか、ちと気にかかる。モノマガの図版キャプション書き、ロフトの斎藤さんとオタアミ公演日取り打ち合わせなど雑用サクサクやるうちに、いつの間にか肩の凝りがとれている。救心をのんだのがよかったのかと思う。ナンダという感じだが、予約してしまったんで仕方ない。タクシーで新宿へ。運転手さん、新宿方面といって、少し表情が固くなる。“実はワタシ、新宿には滅多にいかないんです”という。この商売始めたころ、風林会館前で乗せた酔っ払いのヤクザ三人組に、さんざ脅かされたことがあって、そのときの恐怖がいまだ忘れられないらしい。都庁近辺の道も全然知らなくて、本当に新宿に長いこと行ってないんだな、という感じ。
いい塩梅に(と、いうのも変だが)ついたときにはまた肩が固くなっている。揉まれるのがムダでない、ということに満足。足の冷えから来ている凝りである、と先生の凝り批評。揉まれながら少し寝る。帰宅7時45分、夕食の準備にかかる。石原さんから久しぶりに電話あり、いろいろ相談を受ける。受けながら料理する。今日は豚バラ肉とダイコンの鍋。肉は角切りにしたものを昼から煮込んであるから柔らかく、豚の脂をたっぷり吸った大根が美味。脇皿でワカメとカニの胡瓜揉み、セロリの佃煮など。セロリは煮るととんとフキと区別がつかなくなる。山椒の佃煮を煮るときに入れて風味をつける。余ったセロリ、大根、胡瓜をスティックに切り、長野で買ったニンニクミソをつけて食う。これがうまい。ビデオで『カリキュラマシーン傑作集』。“おおよそとおのほおずきと……”“あいつのあたまはアイウエオ”をソラで歌ってK子に呆れられる。藤村俊二、宍戸錠、フォーリーブス、みんな若い若い。江木俊夫可愛かったなあ。この番組見るたび、斎藤太朗ってダレだろう、と不思議に思っていた。今見ると実に顔が大きい。