裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

14日

金曜日

シュニッツラーに蜂

 ミツバチの輪舞。朝8時起き。朝食8時半。こないだのイカのカレー煮を仕立て直してアラブパンで。さて、仕事を、と思ったらインターネットに繋がらない。ログオンまでは行くんだが、そこから先がダメ。これはてっきりパソコンがイカれたか、と思って、試しにワープロ経由でパソ通でつなげてみたらつながって、情報を入れる事ができた。@ニフティのトラブルらしい(パソ通でつながるのは回線が違うのか)。昨日、ギリギリの原稿を全部入れてしまったところでホッとする。このトラブルが昨日のことだったらヒステリー起こしてニフティを脱会していたかもしれない。

 12時近くなってやっと回復。SFマガジンから、昨日の図版にキャプションがついてないというのでそれをメール。北海道新聞から、トンデモ本五番勝負原稿、今日が〆切との電話。すっかり忘れていた。これはあわてて取り掛かる。ネタとかは揃っているので別に困らない。とはいえ、原稿を書く段になればもう一度ザッと読み返さなければならない。今日は雑用を片付ける時間が持てる、と思っていたのが半日つぶれる仕儀となる。書庫に入って床に座り込んで読書。小池壮彦『幽霊物件案内』の中の、高田馬場にあるオカルトな喫茶店の話。
「古くからある喫茶店で、外から見たかぎりでは、営業しているのかどうかも定かでない。幽霊屋敷ではないかということで、一度、私は友人を誘って入ってみた。 客はおらず、奥に白髪の老人がいて新聞を読んでいた。(中略)私たちの席の前にやってきた老人は、ただ立っているだけで、水も持ってこない。レモンティーにしよ うかな、と友人がつぶやくと、
“コーヒーでいいですね”
 と仁王立ちになった老人が言った。レモンティーはありますか、と友人が聞くと、
“むずかしい話はなし。コーヒーにしなさい”
 と老人は言い、十分ほど待たされてから、コーヒーがふたつ運ばれた。
 以来、ここに出入りしたことはないが、いまもこの店はある」
 って、これはオカルトでもなんでもない、単に変人がやっている店、だわな。

 他に、懲りない五島勉センセイの『聖母マリア悲しみの大予言』など。昨日、村崎さんが私に“五島勉って、いまどこに隠れているんですか?”と質問した。ノストラダムスが外れて、面目なくてどこかにイントンしていると思っていたらしい。イントンどころか、こうやって堂々、まるきりおんなじような本を書いております。

 それやこれやで昼飯喰い損ね。今日はヌキ。駅前まで出て銀行に寄り、金を下ろして紀伊国屋と東武で買い物。帰って、道新原稿書き上げ、送ろうとするがアドレスを書いたメモが見つからない。電話して、出た男性にメールアドレス教えてくれるよう頼んだら、困惑したような笑い声で“あの、私、そういうの弱いんです”“弱いっても、わからないと困るんですが”『電脳炎』ならここでOA仮面が飛んできて私をブチのめすところである。仕方ないので担当のMさんに伝言を依頼。3時に時間割、メディアワークスTくん。『鳩よ!』の連載を単行本にまとめる打ち合わせ。出版業界人ビンボーばなしをいろいろ聞いて笑う。笑ってはいけないが。

 終わって帰宅するがまだ道新からメール来てない。また電話して何とか今度は聞きだし、メールするが、なんとユーザーアンノウンで戻ってきてしまった。トラブるときは徹底するな。なんとかそっちを片付け、買い物に出る。帰って、好美のぼる復刻本の解説を書き始める。書いているとノってくる。9時、夕食。ナス煮びたし、カブのサラダ、鴨豆腐。ビデオでK子に『オースティン・パワーズ』を見せる。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa