裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

19日

金曜日

かっぱでぶ専

「やめられない、とまらない」だと太るよねえ。

※NC赤英劇団葬

朝9時半、起床。
頭に白髪をいただいた、品のいい噺家のお座敷での一席。
まくらで正月の年始回りのことを言い、ご贔屓の家を数件回るのに
半日かかった、と言う。
「本当はもっと早く回らないといけないんでございますが、
ご贔屓とはいえ、お酒の席に出ますと、その後しばらく一人になって
気を鎮めないととても次の家には回れない、という扱いを芸人と
いうのはされるものなのでございます」
と話し、聞いているこちらは
「こんな名人でもやはりそうなのだなあ」
と意外の感に打たれる。

窓外の雪景色に驚く。道理で寒いはず。
朝食、焼き芋と黄ニラスープ。
すぐ病院へ出かけ検査。
ところがいろいろトラブルあって、検査は午後からとなる。
浦和の方で、志水さん宅の蔵書を明治大学に寄進し
志水一夫文庫を作る、その搬出の初日というので立ちあうつもり
だったのだが、これで無理となり、ガッカリ。
その旨を皆神さんにメール。

仕方なく一旦家で日記つけなど。
アンケートの依頼、某新聞社から。
書いた原稿の載った週刊誌なども来て目を通す。
そろそろ催促が来るだろうな、と思った語りおろし本の
催促、思った通りという感じで来て苦笑。

2時まで血液検査あるので断食。
再度病院に行き、血液検査とレントゲン。
いずれもあッという間に終る。待ち時間さえなければ病院は
むしろ楽しい。自分の健康のためにこんなに多くの人間が
立ち働いていてくれるのだな、という気分になれる。

帰宅、病院付属のナチュラルローソンで(次回からローソンチケット
で芝居などを予約したらここで受け取ればいいと気づいた)
五穀米クッパを買い、家に帰ってから食べる。
しゃぼしゃぼとして頼りない食い物だが、そこがいい。
それとお茶(黒ウーロン茶)、デザートにミニ羊羹一個。

次の原稿メモ書き。タイトルにいいアイデア出て気分よし。
皆神さんからメール。実は土壇場でちょっとドタバタあって、
今日の搬出は延期になったとのこと。ドタキャンの罪悪感払拭
されてホッとする。

オリンピック見るとそっちに意識が行って、原稿が書けなくなる
ので遠ざけている。昨日、神保町から帰宅の電車内で、
某夕刊紙を見たら国母が顔面を赤く染めている写真と共に
「国母、赤っ恥」
と大きな文字で見出しをつけていた。ネトウヨが“マスゴミ”と
書く気持ちがほんの一瞬だが理解できた気になったことであった。

一方で藤田まこと関係の追悼は見てしまうので、結局仕事ははかどらず。
白木みのるを久々に生放送で見た。

5時、家を出て阿佐谷へ。途中、ミフジ洋傘店に寄って、吉澤純子への
贈り物の傘を買う。乾きょんの退団のときの贈り物もここの傘にした。
しゃれたイラスト入り傘が豊富で、女性への贈り物に最適である。
純子は猫好きなので、猫柄のものを選ぶ。
何か彼女にしゃれた贈り物を、と思っている人、ここは修理なども
受け付けてくれるので一度足を運ばれては。
http://www.rakuten.co.jp/kasaya/556378/771650/

ロフトAに入って児玉さんに挨拶。
今日はNC赤英の劇団葬。延期になったとはいえ志水さん、それに赤英と、
ガンで逝った友二人に関わり合うというのは奇遇な日。
遺品をいろいろ置いた祭壇(?)に、持ってきた線香鉢(親父の仏壇のを
母に頼んでちょいと一日だけ拝借した)を置く。NCの残したネタ帖を見る。
初めて会ったときから稽古場で熱心にこれをつけていた。
開いてみると、細かい字でぎっしりと、何やらシュールなギャグが
書きつけられている。主人公(赤英)が使われない非常口で、退屈のあまり
近くの消火器や非常灯と会話をする、などという凄まじいのがあった。
ダダイストの詩みたいである。
あと、スケッチブックに落書のように描かれたイラストが大変に
おしゃれで都会的で、絵心のある松下あゆみと、
「これは上手いね!」
「そのまま雑誌のイラストに使えますね」
と感心しながら見ていた。

早めに会場入りしていたマイミクの反物質さん、おでっささんと
会話。9月の芝居の概要について、考証をお願いしているおでっささん
にちょっと話をする。大筋では史実を外していないつもりではあるが、
そこはコメディであるからして。あと、反物質さんには4月の芝居の
フライヤー仮デザインを見せてもらう。開田さんの描いた中では異色の
イラスト。

やがてお客さん、三々五々。およそ私の知っている劇団関係の人は
総嘗という感じ。私よりずっと古いハッシーたちにとっては、
まるで同窓会という感覚だろう。静岡での葬儀のときも思ったが、
改めて劇団というものの、ひとつの芝居を一緒に作っていた者同士の
同志的つながりを感じる。
ご両親もはるばる静岡から上京されて、丁寧なあいさつを受けて恐縮。

今日は客席でずっと見ているつもりだったが、ハッシーに
「落ち着いていちゃいけません、唐沢さんも上がるんです」
と言われて驚く。結局、団員に交じって壇上でつきあいのエピソードを
いくつか語るが、ハッシーやテリーたちの数十分の一しかつきあって
いないのだから、ちょっと困惑のまま。

後半になるにつれてお客さんの列陸続となり、焼香の線香も煙が濛々
たる有様となる。立ち見の人まで出ていた。ご両親のためにも
よかったと思う。赤英の残したネタの中から代表的コントを
二つやったが、そのうち『一休さん』で、赤英の代役を演じた岡田
が、驚くくらいネタを忘れてしまい、舞台上の全員が呆然となって
いた。そこが一番ウケたかも。
最後にお父さんが壇上に上がって挨拶。マイク遣いも赤英以上に
手慣れていて上手だった。

最後に純子の休団の挨拶。2年半の在籍だったが10年にも感じられた
というのは私も同感。同期のあゆみが泣きそうになっていた。

終って、来てくれた私の顔見知り(しら〜さん、アオキングたち、
やまぐちさん、Kさん、ルナコミュニティの方々、芝居関係者(なべかつ
さん、麻衣夢、佐藤歩、yukaさん、麻見さん、カラチャイ関係、
小林三十朗さん、おかおゆきさん、乾きょん、シヴさん、恵理ちゃん、
松ちゃん、希依ちゃん、舞ちゃん、ねこにゃんさん、ルナファンの皆さん)
などに挨拶。藤木吾呂さんと本多慎一郎さんの、長めの髪形がトレードマーク
だった二人が二人揃って短く刈ってきた。一瞬誰かと思うこと二回。

11時に深夜イベントがあるのであわただしく完全撤収、
しら〜、アオキング、シヴさん、希依ちゃん、おでっささん、反物質さん、
親川、親川の昔の芝居仲間の人とじげもんへ。後から別席になったが
ハッシー、乾きょん、麻衣夢、琴ちゃん、松ちゃんも加わる。
おでっささんと久しぶりにいろいろ話せたのはよかった。
おでっささんは9月の私の芝居の考証を担当してくれることに
なっている。ちなみに彼は三島由紀夫・作の芝居『わが友
ヒットラー』の考証をやっている人。戯曲の考証者だけで
言えば、私は三島に並んでいるんである。

ここの料理も酒もみんなに好評。いろんな話が出て盛り上がること。
希依ちゃんの天然ボケ、ますます冴え渡り神の如し。
私もかなり毒舌を吐く。
シヴさんの話を聞いてちょっと驚く。
人生いろいろ。

乾きょんは酔っぱらうと何か女が上がる。反物質さんに言わせると、
『2009円宇宙の旅』の編集中、ついうっかりすると主役の赤英
でなく、乾ちゃん中心に編集してしまうとのこと。
やがてメンツ入れ替わったりなんだりして結局2時の看板までいた。
食ってうまい飲んでうまいで、ちょっと支払いは廉ならざるものとなってしまった。

タクシーで帰宅。顔洗って、新しいシーツに替えられたベッドに
もぐり込む。明日は早い(病院の診察)のだが起きられるか?

*満席のロフトA。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa