裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

2日

火曜日

シャアザク税法違反

「この赤いザクは親の形見で……」

※仕事ばかり(どれも不捗)

朝4時に目が覚め、そこから携帯の充電が切れるまで
ニュースなどを見まくり、6時半ころ眠くなって二度寝し、
結局起きるのが昼近くという最悪のパターンが繰り返されている。
どうにかならぬかと思う。

その二度寝の際にえらい快楽感があるのがよろしくない。
うつらうつらの中で意味不明な夢を見るのがまた楽しい。
今日のはフラッシュみたいな夢で、学校の校舎のような建物の屋上に
カラフルな民族衣装を着た中国系の子供たちがずらりと並んでいる。
後ろにいる、顔の見えない指導者の命令一下、子供たちが
みんな屋上から下に飛び降りる、といういささかブラックなもの。

読書などダラダラやって起き出せば、身震いするほどの寒さ。
庭を覆う積雪あり。
北海道生まれの人間は朝の(もう朝ではないが)積雪風景を見る
だけでノスタルジーにひたれる。

昼食に向う。銀ダラの味噌漬け焼き(自家製)、煮豆腐。
ご飯、途中からお茶漬けにして一膳半。
朝青龍関係ニューステレビでつまらなく見て、自室に帰って仕事。

資料で引っ張り出した昭和42年の『漫画OK』(新星社)8月号
が案外オモシロイ。資料用の掲載作品はアタリであったが、それ以外
の記事を読むと、漫画探訪で、オリンピックのために開発された
ところと取り残されたところの落差が激しい渋谷の風景が描かれて
いたり、ちょうど『007は二度死ぬ』の公開年なので、二番煎じの
和製スパイもの小説が載っていたり(『二度死ぬ』に関しては
“連日「満員御礼」は結構だが、映画の内容はちっとも結構でないという
声が多い”というクサシ記事あり)、加山雄三も渥美清もまだ結婚前で
いろんな噂で周囲をヤキモキさせているし、長門裕之はもう浮気の噂で
記事になっている(お相手は藤純子!)。
昭和42(1967)年と言えば怪獣ブーム真っ盛りで私は寝ても
覚めても怪獣、怪獣であったが、オトナの世界はいろいろあった。
吉田茂死去、南アフリカでの心臓移植、賛否両論あった初の建国記念日
などの事項をかなり明瞭に記憶しているのは、『サザエさん』を読んで
いたからだろう。ああいう時事マンガは最近で言うと何なのか。

長々とし忘れていたメールなど。
とりあえず締め切り日などを自分から向うにメールし、背水の陣を敷く。
雪、すぐに消えるかと思ったら夕方過ぎてもまだ残っている。

アプリは絶対やらない、という信念でいたのだが、案外便利なツールも
ある、と知ってすぐ宗旨を変えて、とりあえずマイミクをやめた人の
名前がわかるという『そうしてあなたは去っていくのね』に入ってみた。
ところが、入ってもうしばらくたつのだが、誰もやめてくれない(笑)ので
果たして本当に役に立つアプリなのかどうかもわからぬ。
毎日、秘かに“誰かやめぬか”と期待している自分がどうにも。

夜8時、夕食。
塩味手羽(昨夜の残り)と、オクラおろし、カツオ手こね寿司、
クリームコロッケなどを少しずつ。黒ホッピー二杯、マッコリサワー
二杯。

DVDでエルンスト・ルビッチ『生きるべきか死すべきか』(1942)。
『イングロリアス・バスターズ』の元ネタの一つ(ヒトラーが劇場に
やってくるという設定。向うは映画、こっちは芝居だが)だが、
それよりも、ナチスへの抵抗劇と艶笑喜劇をからませるという、抜群にして
大胆きわまりないそもそものアイデアに脱帽。こういう偉大なる先例が
あると、同じテーマで芝居の台本を書くのがイヤになる。

ヒロインのキャロル・ロンバード(クラーク・ゲイブルの妻。この映画
の撮影終了直後に飛行機事故で死亡)が演じるマリアが名女優かつ
不倫癖がある人妻、という不道徳きわまりない設定にしびれる。
映画が知的娯楽作品であり、安っぽいモラルを云々しなかった時代の設定。
しかも、この不倫が結局、ナチスの陰謀を阻止し、ポーランドの
人民を救うきっかけになるという皮肉な台本にはため息が出るほど。
不倫相手の若い青年(後にTV『アンタッチャブル』でエリオット・ネス
を演じるロバート・スタック)と一緒にその陰謀阻止に動くハメになる
夫役のジャック・ベニーがまた達者で、その複雑きわまりない状況の
中で必死にならざるを得ない悲喜劇的立場を見事に演じ切っている。

いつか『ベニスの商人』を演じるのが夢の売れない役者がおとり役に
なってナチスの前でそのセリフを朗々と吐き捨てるシーンがクライマックス
となるのも粋。チャップリンの『独裁者』はこの映画の2年前の公開だが、
たぶん、ルビッチにはチャップリンの、あのラストでの大演説が野暮な
ものとして映ったに違いあるまい。“こうやるもんだヨ”という、ルビッチ
のメッセージのように思えた。

とにかく、伏線の張り方が絶妙で、前半のほぼ全てのセリフに含みが
あるんじゃないか、と思わせるほど。ラストがまた、キツいというか
何というか。マルクス兄弟映画に顔を見せていたドイツ出身のコメディアン、
シグ・ルーマン(シグはジークフリートの愛称)がいい味。最後に死ぬのか
と思ったら……。

と、大満足だったのだが字幕がひどい。それを指摘しているブログもあるが、
何故か男のセリフなのに女言葉になっていたり、ゲーリングを“ゴーリング”
と言っていたり。安いDVDだから仕方ないとは言え……。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa